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ステレオタイプなキャリアは辿らない
それで気づいたのが、彼女が10代でデビューして、誰もが通るような、高校生の恋愛映画などの相手役としての出演がほとんど見られなことだ。これは、別にそのような役を演じるのがいいとも悪いとも思ってはいないのだが、そのような役をしていないことも、ひとつの彼女の在り方として、特徴的だと思う。つまりは、規範的なジェンダーロールにとらわれない役を演じてきたと言えるのではないか。
そんな彼女は、朝ドラには、2作品に出演。2020年の『エール』では、ヒロインで作曲家の妻・金子の娘である華を演じた。母が終戦を機にかねてからの夢であった歌手を目指したり、父が有名な作曲家であったりするのに、華自身は、自分には何もないと悩んだり、好きになった高校球児との関係性に一喜一憂し、その感情を率直に表現するキャラクターとして演じていたていた。
また2025年の『あんぱん』では、中尾星子役として終盤に登場。魅力的な役だけに終盤だけの登場はもったいないし、もっと見たいと思ったら、『あんぱん 特別編 第4回「受け継ぐもの」』では、主演も務めた。特別版で、これだけ物語を引っ張る力があるのであれば、もしかしたら、朝ドラヒロインの道もあるのではと思わされた。
『十二人の死にたい子どもたち』(2019年)にも出演していた。古川は、ゴスロリの少女を演じている。衣装やメイクで自分の殻を作っているような繊細さを持つ役で、いつもは、かなりリアリティに寄った作品が多いだけに、このような役も演じるのかと驚かされた。
こうして、さまざまな俳優の作品を追っていると、同世代でもそれぞれに個性があって、決して重なることが少ないなと実感する。そんな中でも、古川琴音と言う人は、淡々としていて、少々のことに動じない、そして、周囲の「あたりまえ」に流されない、まさに「フラット」な役を演じることが本当に似合う役者だなと思う。これからも、どこかにいそうなのに、でもなかなか映像作品では描かれないような人物を演じてくれるのではないだろうか。