マームとジプシーを主宰する藤田貴大と、SUPER EIGHTのメンバーである丸山隆平。かねてより丸山がマームとジプシーの作品に感銘を受けていたことから交友関係のあった2人がタッグを組んだ舞台『water』が、9月27日(日)から東京グローブ座、11月7日(土)から京都劇場で上演される。
作・演出を務める藤田が、京都出身の丸山の半生と、京都という土地から着想を得てつくった本作。丸山はこの半自伝的な物語の中で、主人公の「わたし」を演じる。
土地の歴史や人の記憶といったこれまでもマームとジプシーが扱ってきた事柄と、俳優としても意欲的に活動する丸山が、京都、そして「水」というテーマのもとどのように混ざり合うのか。
稽古のただなかにある2人からは、互いへのリスペクトと、このコラボレーションへの確かな手応えが感じられた。
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『cocoon』で初対面。「行き詰まっていた感情を洗い流してくれた」(丸山)
ーまずはこの『water』という作品がどのような経緯で立ち上がっていったのかを伺えればと思います。
藤田:マームとジプシーが京都で『cocoon』の公演をやったとき(2022年)に丸山さんが観に来てくださって。その前から観てくださっていたとは聞いていたんだけどコロナ禍だったから、やっとロビーで面会ができる時期になって、初めて会えたんです。めちゃくちゃ喋りやすかったし、そのときに丸山さんが京都出身ということも知って。
それとは別に、個人的に京都のおじいさんおばあさんにインタビューするリサーチを行っていたんです。というのは、京都芸術大学で授業やワークショップをやっていたときに集まってくれたおじいさんおばあさんたちと、コロナ禍で会えなくなって。「いつかまた会いたいね」という話をしていたから、一人ひとりに会いに行っていました。そのことと、丸山さんが京都出身ということがオーバーラップしていって、京都を舞台に丸山さんを描いた作品をやろうということになったんです。

1985年生まれ。北海道伊達市出身。2007年マームとジプシーを旗揚げ。以降全作品の作・演出を担当する。2011年6月-8月にかけて発表した三部作『かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。』で第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2013年に太平洋戦争末期の沖縄戦に動員された少女たちに着想を得て創作された今日マチ子の漫画『cocoon』を舞台化(2015年、2022年に再演)。同作で2016年第23回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。近年の作品に『equal』、『Dream a Dream』、イタリアとの共同製作『Chair/IL POSTO』などがある。演劇作品以外では展示作品や書籍の執筆にも取り組み、昨年、初の長編小説『T/S』(筑摩書房)を発表した。
ー丸山さんは最初にマームとジプシーのどの作品をご覧になったんですか?
丸山:『てんとてん』ですね(2020年、『てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。 そのなかに、つまっている、いくつもの。 ことなった、世界。および、ひかりについて。』)。友人に誘ってもらって、コロナ禍に初めて観た舞台だったんです。皆さんあの時期にいろんな感情に出会ったわけじゃないですか。僕もいろんなことを感じていたけれど、自分の中で行き詰まっていた感情を洗い流してくれたというか、なにかが引っかかっている状態を「いいんだこれで」と思わせてくれたのが、『てんとてん』だったんですよね。
丸山:その時期、エンタメって後回しになっていたじゃないですか。やっと舞台ができることを目の当たりにして、エンタメ界にいる人間としては、エンタメは心を前に進めてくれるもので、人間に必要な営みだなと勇気をもらった。同時に演出としても新鮮で、美しくて、でも肉体的なものを観たなというのが最初の感想ですね。それで僕は事務所のスタッフに、「すっげえものを観に行ったんだ」と話したことがあったんですけど、その熱量を見て「丸山はやりたいんだ」と思ったらしくて(笑)。そのあと『cocoon』のときに藤田さんに会えたというのが僕視点からの話です。

SUPER EIGHTのメンバー。2004年のCDデビュー以降、個性あふれる楽曲を次々と発表している。音楽活動のほか、バラエティ、ラジオ、情報番組の司会など多岐に渡って活躍し、俳優としても、ドラマ / 映画 / 舞台とジャンルを問わず高い評価を得ている。