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牛丸ありさ(yonige)編:心の傷はなくさなくていい。日付が壊れた記憶をしまうまで

2026.8.24

#MUSIC

それは、世界との途切れたつながりを一つひとつ結び直していく作業でもある。yonigeのVo / Gt牛丸ありさは、心の傷や孤独感、特性ゆえの生きづらさを抱えながらも、歌詞を書くことで自分の現在地を確かめてきた。

上がったり下がったりしながらもこの2年間で本来の自分らしさを取り戻してきたというトラウマからの回復過程を、産業カウンセラーの手島将彦との対談でつぶさに振り返る。

再生の前提条件となる信頼できる人たちとの安心・安全な環境をいかに作るか。心の傷をそっと置いておけるようになるまでの道筋を辿った。

「自分の心の中に欠けた部分があるように感じる」(牛丸)

心のことについてお話しするのは、少しハードルを感じる場合もあると思うのですが、何か今回ゲストアーティストを引き受けてくださった理由はありますか?

牛丸:ずっと小さい頃から、自分のメンタルのことを考えてきたんですが、そういうことを話す機会ってなかなかないから面白いなと思いました。私の中で、すごく大きく2つの心の傷があって、1つ目は小中学生ぐらいの時期。両親がとても仲が悪くて、私が仲裁しなければいけない立場だったんですよ。いわゆるアダルトチルドレンというのかもしれません。もちろんその当時は自分でもわからなかったんですが、ここ数年でそういう言葉を知って、もしかしてあれは自分がすごく無理していたことだったんだと客観的に思い返せるきっかけが増えていきました。それが最初の傷です。

牛丸:その後、最近まで交際していた相手が典型的なモラルハラスメントの傾向がある人で、私もそこから離れられず、7年ほど一緒にいたことが大きな傷として残っています。その影響で、自分の心の中に欠けた部分があるように感じ、周囲に迷惑をかけてしまったり、人に心を開きにくかったりすることがあります。

手島:大きな心の傷、いわゆるトラウマといったりするものだと思うのですが、トラウマから回復していく道筋の一つとして、まず、安心・安全が確保されること。その次に、過去の傷を思い出すことは辛いんですが、それを思い出して受け入れていくこと。そして最終的にはつながりをとり戻す、という順番があります。

牛丸ありさ(うしまる ありさ)
大阪寝屋川出身。yonige(2013年結成)のVo / Gtを担当。ソリッドなバンドサウンドとポップなメロディ、恋愛や人生観をリアリティのある言葉で綴った歌詞が10〜20代を中心に共感を呼んでいる。2015年リリースの“アボカド”MVが話題を集め、2017年メジャーデビュー。2019年には日本武道館公演をソールドアウト、2025年の日比谷野外音楽堂ワンマンでは2000人を動員した。2025年5月からは47都道府県ツアーを完走。2026年春に、ソニー・ミュージックレーベルズと再メジャー契約、併せて新曲“芽吹くとき”が4月クールのTVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』OP主題歌に決定した。

手島:どういうことかというと、トラウマや心の傷というものは、別の見方をすると、つながりが切られた感覚なんですね。自分にとって大きなことが起きた時に、自分も周囲の人も信じられないし、そんな理不尽なことが起きる世界も怖くなる。それによって、身近な人との関係性が切られたり、世界との関係性が切られたりしてつながれなくなってしまいます。そしてそのつながりを最終的に回復する過程は、良かったり悪かったりを繰り返しながら進んでいく。

yonigeの最新シングルに収録された“芽吹くとき”や“Don’t”の歌詞もそうですが、「未来なんて見えない」というような割り切りや「正解がほしいわけじゃない」みたいな感じが出てきていて、正解は一旦置いておいて曖昧な中につながりを回復しようとしている感じが自然と作品に出てるのかなと、僕はちょっと勝手に解釈していたんですよね。昔からyonigeの作品を聴いていましたが、今回改めて順番に曲を聴いてみたら、回復の過程にいるような変化を感じるんです。今はまだ周りとの関係はギクシャクするかもしれないですけれど。

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