INDEX
元市役所勤めに元消防士。現役ホスト3人による春画ガイドが始まった
さて、ここからはいよいよ『ホストと観る!ワイワイ春画ツアー』の開始である。今回アテンドをしてくださるホストの御三方、深夜澪仁(ないと れいじ)さんと風人さんと新美拓也さんと合流し、あらためて会場をまわってゆくこととなる。



まあ、当たり前だが御三方とも大変なハンサムガイで、華があるというのか、そこにいるだけで周囲の空気が光り輝くのが解る。ホストの方々は、はたしてどのように春画を読み解きレビューしてくれるのか……オレはまず、ジャブがわりにこんな質問をぶつけてみた。
「あのー、アートとかってお好きですか?」
すると、元市役所勤めという異形の経歴を持つ風人さんは、すこし考え込んだあとこう答えた。
「アート。アートですか……なんか家に、知らない人の絵は飾ってありますけどね」
風人さんの回答に便乗するように、元消防士というこれまた異形の経歴を持つ澪仁さんが口を開いた。
「オレ、観葉植物なら飾ってますよ」
ヤバい、すでに面白すぎる。このノリなんだ。このノリでホストが春画を解説してくれるなんて、もう人生で二度とないであろう。ふたたび会場へ入ると、風人さんが手を叩き、もっともらしい口調で語り出した。
「まあ、春画っていうのは……江戸時代のエッチな絵ですよね。で、この頃にこういうプレイがあったのかとか、こんな道具使ってたんだとか、そういうのを見るとすごく面白いんですけど。まあ、もうなんでも聞いてください。全部答えるんで」
なんとも頼もしい言葉である。オレはさっそく展示されている『水滸伝』シリーズ(歌川国芳が手がけた、春画ではない作品群。すげえわかりやすくいうと元祖バトルマンガみたいな武者絵)を指差し尋ねてみた。
「えーっと、じゃあ、これはなんなんですか?」
「あ〜これですか……これは……これは、なんなんですかね?」
もうだいたい解ると思うが、一事が万事この調子だった。あけすけな性愛が超ドアップで描かれた絵を観ながら、御三方はもっともらしい口調で解説する。

「これはもうすごいですよ。レクチャー要素もあって、ためになりますよね」
「なるほどぉ。艶かしいですねぇ」
「あ、なまめかしいっていう言葉があるんですね。どういう意味なんですか?」
「うーん、エロっちい、みたいな」
「へー。なるほどぉ。初めて聞きました」
くどいようだが一事が万事この調子だ。こんなもん面白いに決まっていて、オレはゲラゲラ笑いながら会場を回遊した。爆笑の連続だった。対面で相手を楽しませる、接客業の究極ともいえるホストのプロフェッショナルぶりをとくと見せられた。ファニーで朗らかなその空気は、江戸の町人が「笑い絵」を囲んで語り合っていた当時のオープンな鑑賞文化を、現代の歌舞伎町で追体験しているようであった。
