メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

高橋一生が『犯罪者』を通して語る、イメージを規定されることと、人間の複雑さ

2026.7.30

#MOVIE

いつの間にか外部から定義される「自分」

——強い正義感から居場所を失い、うまく生きられない相馬を、高橋さんはどのように捉えましたか?

高橋:相馬はたぶん、学生時代や警察を目指した時期、「これはこういう決まりだから」というなかで、とても真面目にやってきた人だと思うんです。でも、それが結果的にうまくいかなかったり、同僚や同期に否定されたときに、「じゃあ、なぜこのシステムがあるんだろう」と考えてしまったんじゃないか。

構造自体が間違っていると気づいてしまったとき、「信じてきたものは一体何だったんだろう」となると思います。そのうえで、これまで経験してきたことや考えてきたことを見つめ直すと、自分が信じる「正しさ」すら、その頃には人とずれてしまっている。

高橋:僕を含めた日本人の多くは、空気を読んでしまったり流されてしまったりすると思うんです。それは利点でもあるけれど、危うさでもある。彼は、そういうものを持ちたくなかったのかもしれないなと。そうやっているうちに、「自分はこうだ」というものが強固になりすぎて、「嘘はつけない、黙っていられない」ということが増え、積み重なっていった人間なんだと思います。

生きづらさも、嫌われていることも十分自覚している。ただ、自分が気持ち悪い、居心地が悪いと感じるものに対して、潔癖なまでに流されることがない。それを周囲や組織の人間たちは、「行き過ぎた正義」と捉えているのかもしれません。いずれにしても、社会との間に齟齬が起きている人間です。ですが、とても共感できる人間だったんです。突き詰めていったら、僕もそうなるだろうと思うので。

妥協ができなくなってしまえば、周りも「相馬はそういうやつだよね」とレッテルを貼るようになる。相馬のパーソナリティがどんどん明確になっていき、「俺だったら、こんなことはやらないよな」などと、自分でも自覚しやすくなっていく。このパラドックスが、彼の中で延々と起きているんじゃないかと思いました。

——周囲から定義されることで、相馬自身のあり方がさらに強化されていくんですね。

高橋:本来なら、自分の内部から外部に向かうものなのに、いつの間にか、外部からの反応によって自分が定義されてしまう。その窮屈さに、彼は柔軟に対応できていないんでしょうね。だから、相馬という人間がああいう立ち位置になってしまう、という感覚はあります。非常にシンパシーを感じました。

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS