7月31日に最終話を含む2話が配信となる、PrimeOriginalドラマシリーズ『犯罪者』。太田愛の同名小説を松永大司監督が映像化した本作は、高橋一生、斎藤工、水上恒司がトリプル主演し、白昼の駅前広場で起きた無差別殺傷事件を契機に、3人が翻弄されながらも警察、政治、巨大企業が絡み合う社会の暗部へと足を踏み入れていくクライムミステリーだ。
高橋が演じる相馬は、強い正義感を持ちながら、組織の論理に適応できず、周囲から孤立していく人物だ。その生きづらさに、高橋は自身との共通点を見いだす。
周囲から与えられるイメージと、本人の実像がずれていくことへの思い。そして、「バズる」ことや即座の理解が求められる時代に、表現者として何を目指すのか。高橋の言葉から浮かび上がるのは、他者の評価を拒絶するのではなく、それさえも受け入れながら、自らの「志」を手放さずに表現を続ける姿だった。
INDEX
「みなさんがつけてくださったイメージのおかげで、今の僕がある」
——今作の相馬は強い正義感を持ちながら、警察組織の中には居場所がない、ただの熱血刑事というステレオタイプには収まらないキャラクターです。高橋さんはこういった一言では形容できない、掴みどころのない人物を多く演じている印象があります。
高橋:僕自身がそうなんだと思うんです。といいますか、「みなさんそうじゃないですか」と思っているんです。人間は、そんなにわかりやすくない。わかった気になっていると、全然違う側面が見えてきたりするので。そもそも人間は複雑怪奇な生き物だから、人間を演じるにあたっては、どうしてもそういう芝居になってしまうんでしょうね。
PrimeVideoにて世界独占配信中
配信URL:https://www.amazon.co.jp/%E7%8A%AF%E7%BD%AA%E8%80%85/dp/B0H415TRNL
——人間を演じようと思ったら、自然とそうなるという。
高橋:特に今回の作品では、そういう節がたくさんあったような気がします。土臭いというか、皮膚の匂いがするような人間を演じたかったというのはあったかもしれません。
——高橋さんご自身についても「プライベートが謎」「本心がわからない」というようなことが言われがちですよね。インタビューを受けている動画のコメント欄には「地球にものすごく適応出来てる宇宙人みたい」と書かれているものもありました。
高橋:すごくうれしいですよ。みなさんが屈折したイメージのようなものをつけてくださったおかげで、いまの僕もありますし。自分がやらせていただいた役や、ついてしまったイメージは、僕が到底コントロールできるものではないです。いろいろな名前が知られている方々がそれに苦しんだという話も聞きますけれど、僕は喜ぶべきことだと思っています。

1980年12月9日生まれ、東京都出身。ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。舞台『天保十二年のシェイクスピア』で第45回菊田一夫演劇賞、NODA・MAP『フェイクスピア』で第29回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。近年の主な出演作に、ドラマ「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」「ブラック・ジャック」「1972渚の螢火」「零日攻撃ZERODAYATTACK」「リボーン~最後のヒーロー~」、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』『岸辺露伴は動かない 懺悔室』『脛擦りの森』『ラプソディ・ラプソディ』などがある。
高橋:「私の高橋一生はこれじゃなきゃ駄目なんだ」というものを抱えながら見てくださっている姿は、とても面白く感じます。世界を見たり見なかったりすることを、高橋一生を通してやってくださっているんだなと。
——みんなが別々の角度から高橋さんを見て、高橋一生像を形づくっていく。その行為全体を面白く感じているんですね。
高橋:人間は、不定形なものを枠に入れ込まないと不安になる生き物なんだと思います。どうしてもその人のパーソナルな部分を知りたくなってしまう。にじみ出てくるパ—ソナルなものを見つけないことには、人間をわかったと思えないんだろうなと、対外的な評価を見ていると思います。
裏を返せば、それほど僕自身を見ていないということでもある。僕としては、そのほうが仕事はやりやすいので、このままでいいかなと思っています。
