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映画『ウィキッド ふたりの魔女』レビュー 分断の時代に抵抗する魔法

2025.3.7

#MOVIE

第97回アカデミー賞で作品賞を含む10部門にノミネートされ、美術賞と衣装デザイン賞に輝いたミュージカルファンタジー映画『ウィキッド ふたりの魔女』が、3月7日(金)から公開されている。

名作児童文学『オズの魔法使い』(1900年)の前日譚として、「悪い魔女」と「善い魔女」の誕生秘話を描いたグレゴリー・マグワイアの小説『ウィキッド』(1995年)。2003年にブロードウェイミュージカルが上演されると、批評的にも興行的にも大きな成功を収めた。

本作は、このミュージカルを映画化した2部作の前編にあたる。このレビューでは、ジョン・M・チュウ監督の過去作との共通点を探りながら、映画ならではの魅力と社会的なテーマについて考察していきたい。

※以下、映画本編の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

『ウィキッド ふたりの魔女』とジョン・M・チュウ監督過去作の共通点

物語の舞台は、魔法と幻想の国オズ。魔力を持ちながらも、緑色の肌ゆえに周囲から疎外されて育ったエルファバ(シンシア・エリヴォ)と、人気者であり、特別でありたいと望むグリンダ(アリアナ・グランデ)。シズ大学で出会った正反対の2人は、最初は反目しながらも徐々に友情を築いていく。しかし、2人はオズの国の重大な秘密に直面し、決断を迫られる。

(左から)エルファバ(シンシア・エリヴォ)とグリンダ(アリアナ・グランデ)

監督に起用されたのはジョン・M・チュウ。アジアのセレブリティの生活を描いた『クレイジー・リッチ!』(2018年)や、ラテン系コミュニティのミュージカル映画『イン・ザ・ハイツ』(2021年)などで高い評価を得た監督だ。

前者はシンガポールのリッチな生活を金や緑などの色彩を用いて表現し、後者はニューヨークの街並みを非常にカラフルな色彩で映し出している。本作でも、オズの首都エメラルドシティの緑をはじめとする鮮やかな色彩など、チュウ監督の華やかな世界観にまず惹き込まれるだろう。

エメラルドシティ

色彩のほかに『イン・ザ・ハイツ』で話題になったものとして、壁の上での無重力にも見えるダンスがある。そこでは、『恋愛準決勝戦』(1951年)の回転するセットでフレッド・アステアが踊るシーンが参照された。

そして本作の図書館で踊る場面も、『恋愛準決勝戦』にインスパイアされている。ハシゴ付きの円形の本棚がいくつも並び、それがグルグルと回転する中、時には落下しながら大勢が踊る。この大掛かりなセットと高難易度のダンスは、映画の大きな見せ場になっている。

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