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「記憶」「恋人」そして「過去」の喪失

さらに、第3回は「記憶」の喪失の話だった。「団地に住んでいた頃の記憶だけははっきりしているのに、息子のことは思い出せない」という野枝の初恋の人・春日部(仲村トオル)の母・恵子(島かおり)を通して、認知症によって記憶を失っていく人と、その人と向き合う人たちの切ない思いを描いた。そして、第4回で描いたのは「恋人」の喪失。団地で同棲していた恋人を失った森山(ムロツヨシ)が主人公だった。住民たちのおせっかいを通して、彼もまた、団地を自分の居場所にして、孤独と共に生きる方法を模索していく。

一方、全10回の折り返し地点である第5回は、団地の夏祭りという、「ハレとケ」の「ハレ」の日を描いた回だ。強いて言うなら、第5回における「喪失」は、団地そのものの今と昔だ。野枝と奈津子がまだ幼かった頃、にぎやかだった過去の団地には戻れない。でも、元ヤン風若夫婦・沙耶香(田辺桃子)と翔太(前田旺志郎)が新たな住民に加わり、一騒動を起こしたり、春菜とコンビニのアルバイト店員“ユンくん”こと尹賢友(ソンモ)が、カラオケ大会の野枝と奈津子のチームに加わったりと、新しい住民の存在や出会いが団地に新鮮な風を吹き込んでくれている。団地のところどころで新たな出会いが生まれている。