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OddRe:インタビュー 音楽に導かれた異色の3人が2026年に掲げる世代交代

2026.7.3

OddRe: “睡る君”

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AirA、ユウキ サダ、SOI ANFIVERからなる新進気鋭の3ピースバンド、OddRe:。2026年2月にIRORI Recordsからメジャーデビューを果たした彼らが、5月1日に2ndシングル“睡る君”をリリースした。

作詞・作曲を担い、社会を書き換えたいと語る野心家のSOI。2年前にベースへ転身し、音楽に救われたと語るサダ。そして、圧倒的な表現力で、人に寄り添うボーカルのAirA。一見バラバラで、不揃いな3人。しかし、そんな「三者三様の人間味と強烈な個性」が奇跡的なバランスで融合した、オリジナルな音楽を鳴らしている。

そんな彼らは今、何を考え、何を音楽に託しているのか。7月には初の東名阪ワンマンツアー『OddRe: 1st ONEMAN TOUR “CODA”』も控える中、シングル“睡る君”の制作背景や、彼らの見る「世界」そのものについて話を訊いた。

「それぞれに役割分担があって、三位一体となって相乗効果を生んでいるっていう感覚」(SOI)

ーOddRe:は、最近だとVaundyやChilli Beans.、古くはYUIや絢香を輩出した「音楽塾ヴォイス」で結成されたバンドですよね。不思議なのは、なぜこの3人で、バンドという形態を選んだのか、ということです。それぞれソロでも活動していけたはずですよね?

SOI:うーん、成り行きっちゃ成り行きだとは思うんですけど。性格とか色々なことが奇跡的に噛み合ってる感じはありますね。そもそも、僕は自分のことをバンドマンだって思ったこと、あんまりないんですよ。「バンドマンなんて、ライブ終わったらテキーラ飲んで馬鹿騒ぎしてるだけだろ。だったら、家帰ってAbleton Live触って曲作ってる方がいいわ!」って思ってるタイプだったんで。まあ、それは冗談にしても(笑)。OddRe:は、それぞれに役割分担があって、三位一体となって相乗効果を生んでいるっていう感覚があります。結成して結構時間が経ちましたけど、このバンドを始めてからずっと曲作りのスキルは上がり続けていますし、2人と一緒にやっていると「自分ってこんなにできたっけ?」って思う瞬間が多々あるんですよね。

(左から)ユウキ サダ(Ba / Vo)、AirA(Vo)、SOI ANFIVER(Gt / Comp / Trackmaker)
OddRe:(オドレ)
類いまれな作曲センスを持つトラックメイカー / ギタリストのSOI ANFIVERを中心に、独自の存在感を放つベース / ボーカルのユウキ サダ、そして圧倒的な表現力を備えたボーカリストのAirAで結成。ブルースロック、ファンクディスコ、ヒップホップ、ハウスなど国外のサウンドをベースに、J-ROCKやボーカロイドなど国内のメロディアスかつ変幻自在なサウンド構成が融合し、ロックバンドの新世代を定義する。2026年2月、IRORI Records / PONYCANYONからメジャーデビューを発表、2026年5月には新曲“睡る君”がリリース。

AirA:元々はソロ志望だったんですけど、これまでの経験や2人との出会いを通して、音楽の楽しさを改めて実感してます。SOIの作る曲はカッコいいし、サダのベースも最高だし……出会ったときからずっとそう感じていて。いいバンドになったなあ、って最近特に思いますね。

私もSOIと同じで、自分が知らない自分を2人に引き出してもらっている感じがあって。例えば“FEVER TIME”って曲のレコーディングのときは、キーが高すぎて「ちょっと無理かも……」と思ってたんですけど、SOIが「大丈夫、出るよ!」って言ってくれて。実際、やってたら出るようになったんですよ。バンド活動のすべての面でそういうことがありますね。

サダ:レコーディングとかライブのたびに思うけど、AirAは、本当にスポーツ選手みたいだよね(笑)。

AirA:バレーボールやってたしね(笑)。

ーサダさんはいかがですか?

サダ:私がヴォイスに入ろうと思ったきっかけがChilli Beans.だったので、私はバンドがやりたくてヴォイスに入ったんですけど。ヴォイスには全員が1人で弾き語りをするパフォーマンス授業というものがあったので、そこでは一人で弾き語りをしていました。そもそもメンバー全員が立っているバンドが理想だったので、OddRe:を組んだときに3人とも同じような考え方だったのが嬉しくて。だからこそ、このバンドでベースを弾きたいっていう思いは強くありますね。

SOI:僕は2人の中に自分を見るんですよね。サダとはチョイスするセンスがすごく似ていて、相棒として託せる感じがある。AirAは、僕だけじゃなくて、大きな括りとしての日本人の感性に寄り添える稀有な存在で。そんな「ごく自然的な19歳の女の子」が、人の心を動かす凄まじい歌声というスーパーパワーを持っているっていうところが面白い。僕が音楽やカルチャー的にヘビーなことをやろうとしている中で、そういうオーディエンスに寄り添えるAirAの歌声が乗ることで、自分の曲がどこまでも遠くに飛んでいくような……世界に馴染むような気がするんですよね。

三者三様のロックバンドとして音楽を鳴らす理由。

ーそもそもの話ですが、なぜ「音楽」だったのかということが気になっていて。個人でも手軽に様々な表現活動を行える今、それでも「ロックバンド」で音を鳴らす理由をまず聞かせてください。

サダ:そうですね……。私個人としては、ポンコツだから……ですかね(笑)。音楽以外に本当に何もできなかったんですよ。多分、音楽がなかったら文字通り、今頃、息絶えてると思います。初めてのバイトがスーパーのレジ打ちだったんですけど、本当に毎日同じミスばかりしちゃって……。レジの締め作業とか、どうやっても数字が合わなかったんです。なんでかわからないけど、私が計算するといつも合わなかったんですよね。どう考えても普通の仕事ができてたとは思えない(笑)。だから本当に音楽に出会えてよかったです。

ユウキ サダ(Ba / Vo)

SOI:サダらしいね(笑)。

AirA:私は小さな頃から歌うことが大好きだったんです。親が音楽をやっていたこともあって、Queenの“Love Of My Life”をよくお母さんと一緒に歌ったりしていて。何か嫌なことがあっても、歌を歌って忘れることが一種のストレス解消法みたいな感じでした。

AirA(Vo)

SOI:僕は……小さい頃から色々なことに興味を持って実践してみるタイプだったんですよ。描いたり、立体造形したり、映像制作したり、基本的になんでも合格点は取れちゃうタイプだったんですけど、唯一やりたいのに、一番上手くできなかったのが音楽だった。だからこそ、突き詰めてやってみたいと思うようになったんです。

SOI ANFIVER(Gt / Comp / Trackmaker)

J-ROCKとUKニューウェーブの交差点。“睡る君”のサウンドアプローチ

ー5月1日にリリースされたシングル“睡る君”は、これまでのOddRe:の楽曲とは一風違った、静謐な音像の中に切ないエモーションが宿る楽曲ですが、そもそもどのようなコンセプトがあったんでしょうか?

SOI:デモの段階では、ニューウェーブとか1980年代のポップスを感じさせる懐かしいUKっぽい曲が書きたくて。ギターのアルペジオから始まって、シンセベースが8分で刻んでいて、メロディーラインもどこか蒼い感じがする。でも、完成形にしていく制作作業の中で、コード進行とメロディはJ-ROCKをやりたいなと思ったので、そこは日本の青春ロックやメロコアも参考にしました。

実は裏テーマにシューゲイザーというのもあって。勝手になんですけど、シューゲイザーとニューウェーブって親戚関係にあるものだと思ってるんですよね。だから、The PoliceとかTears for Fearsみたいなあの辺のサウンドをすごく研究していて。それと、僕にとってはNUMBER GIRLとかASIAN KUNG-FU GENERATIONって、シューゲイズの日本的な解釈に思えるので、そういうものをミックスしたサウンドを作ってみたかったって感じですね。

ーなるほど。サダさんはどう感じましたか?

サダ:いつもと違うサウンドの曲だなって思いました。8分のベースって、やったことなかったんですよ。だから最初は「どうしよう……」って思ったんですけど、やってみたら意外と得意で(笑)。歌詞に引っ張られて、プレイに感情を入れると、変に溜めちゃったり過剰に情熱的に弾いちゃうんですけど、「睡る君」は80年代ニューウェイブをリファレンスにしてるとSOIから聞いて、淡々と心を無にして弾きましたね。

SOI:ドラマチックな楽曲だからこそ、そこを強調しすぎるとダサくなってしまうので、楽曲の中で、ドラマを語る部分と、そうではない部分の棲み分けが必要だったんです。だから、ギターもすごく抑制されたものになってるんですよ。この曲は英題が“The Signal”なんですけど、ギターのサウンドも信号っぽいニュアンスを出すために、コーラスのエフェクトをかけてるんです。コーラスって常にギターの音に周期的な揺れが均質に加わるものなので、どこかリフレイン感のある波の形がみえるサウンドとプレイになっています。

寂しさを埋める「寝落ち通話」。終わらないテクノロジーが繋ぐ2026年の親密さ

ーリリックと英題のお話がありましたけど、この曲は距離を超えて、夜を超えて繋がっていく関係を描いた楽曲ですよね。具体的にどのような情景を描こうとしたのでしょうか?

SOI:僕らとしては自分たちの世代の実感を、普遍的な情景としてちゃんと入れたかったんです。その象徴が何かなと考えた時に「寝落ち通話だな」って思ったんですよね。10時間ぐらい電話を切らずに通話をして、ずっと繋いだまま、眠りに落ちる……というような。それって、僕たちよりも年上の世代だと難しかったんじゃないかなと。携帯電話の料金プランにもよるとは思いますけど(笑)。

僕らの世代は遠く離れた場所に暮らす人とも一緒に眠りに落ちることができる。でも、まだテクノロジーの進化が追いついていなくて、実際に一緒に寝ているような感じにはなれていないのが、2026年という時代だと思います。ホログラムや触覚を感じさせるようなシステムはまだ発明されていない。でも、音や映像だけは距離を超えることができる世界に今、僕らは生きている。スピーカーからリアルタイムで届く音に耳をすませば、そこにその人がいるような気がする——この2026年の温度感を残したかったんです。

AirA:ボーカルとしては、かなり世界観を表現するのが難しい曲でした。私自身は遠距離恋愛の経験はないので、かなり想像力を働かせましたね(笑)声色的にはボーイッシュというよりも、乙女っぽいガーリーな声を意識しました。

SOI:AirAが今言ってくれたように、すごくパーソナルなドラマを描いた曲ではあるんです。でも、歌詞の最後のラインは<The signals find a way>と、視点が「電波」にいって終わる。つまりそれは、この曲の中で描かれているような物語をのせて、今日も電波は飛んでいく——というような、昔話で言えば「という話がありましたとさ」って俯瞰的な視点で終わっているんです。つまり、何十年も先の未来から今を振り返っているような感じになっているんですね。

ーなるほど。OddRe:は楽曲のバリエーションが本当に幅広いですよね。“睡る君”も3人の新たな一面を発見する楽曲で。自分たちとしては、OddRe:らしい音って一体どんなものだと思っていますか?

AirA:今回の曲もそうですけど、とにかく自由だと思います。だから私も、好きなように歌えています。

サダ:色々なことを考えて、SOIは楽曲を作っていると思うんだけど、根本のところはすごくシンプルだと思います。大事にしたいポイントが何個かあって、それ以外に余計なものが混じっていない。それがカッコいいと思います!

SOI:1枚目のアルバムを出すまでは、楽曲ごとに違うサウンドにチャレンジしながら突っ走りたいんですよね。でもそれには、ジャンルに囚われない、普遍的な自分の感性の軸を自分でも見てみたいし、自慢もしたいっていう意識があって。どんなジャンルの曲を作っても「OddRe:っぽい」って言われるようなものを作れる自信はあるんです。だからある意味で、ナチュラルでピュアなものをお見せしても恥ずかしくないバンドなんじゃないかなと僕らは思っていて。ちゃんと聴いて、観てもらえたら、ひっくり返ってもらえると信じてます。あとは、ものの伝え方くらいな気がしてますね。

https://youtu.be/XV-F1wkoxts?si=o6xrCkzuj8kP6w-f

「演奏中にお客さんと目が合うと“通じ合っているな”って感覚を覚えるんです」(AirA)

ー2025年の『Rolling Stone Japan』のインタビューで「2026年は世代交代を目標にしている」とおっしゃっていましたが、OddRe:にとって「世代交代」というのは、どのような意味をもつ言葉ですか?

SOI:僕らは、今の日本の音楽に対してやっぱり満足しきれないから、自分たちで音楽をやってるんです。だから、やるからにはしっかりとパンチを打っていきたい。リスナーの中の「今」を僕たちで塗り替えて、世代交代していきたいっていう思いを込めて、あのときは「世代交代したい」って言いましたね。

ー今現在、その達成度ってどれくらいですか? その基準は自分の中にあるのか、それとも単純にセールス的なものが指標なんですかね?

SOI:そうですねえ、10%いってるかいってないかぐらいかな……(笑)。基準という意味で言うと、自分の内側でもあり、外側でもあるって感じですかね。内側という点では自分が持っている、闘争心や野心って鬱屈していて、そのグチャグチャしたカオスな部分を塗り替えたいみたいな気持ちがまずある。加えて、ちゃんと世の中と対話したいって気持ちがある。地球に生きる全人類のみなさんと分かり合って、話し合えるようになりたい。いや、うん、実は、懐に入って、ほんの少し世界を自分好みに書き換えてしまいたいだけなのかもしれない。

AirA:なんか、すごい話になってきたね(笑)。

SOI:俺って、やっぱり厨二病だと思うんですよね(笑)。今話しながら思ったんですけど、目標ってもしかすると突然ふわっと達成してしまうものなのかもしれないです。すべては自分の心の中の話で、あるとき突然すべてが変わって満たされるのかもしれないし、全くの空虚な物語で終わるのかもしれない。でも、結局のところはさっき言ったように、自分の話に全世界を巻き込まないと僕の物語が完結しないんですよ。終わらせるためには、みんなに理解してもらわなきゃいけない。そのために音楽を作ったり、こういうインタビューで論理的に喋っているって感じですかね。

ー他のお2人も同じ気持ちなんでしょうか?

サダ:私はカッコよさってどんどん変わっていくものだし、数年後の自分が今の自分を見たらダサいと思うかもしれないと思ってて。でも、その時々で自分がいいと思う音楽を鳴らしてたら誰かがついてきてくれる気がする。

AirA:なるほどね。私は自分の身の回りにいる人から常にエネルギーをもらってるんですよ。演奏中にお客さんと目が合うと「通じ合っているな」って感覚を覚えるんです。

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