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Ye『BULLY』、BTS『ARIRANG』など3〜4月の注目新譜を音楽ライター3人が語る

2026.4.30

#MUSIC

音楽にまつわる今のトピックについて、ライター / 批評家に語り合ってもらう座談会。今回は、hiwatt、風間一慶、井草七海の3人から、2026年3〜4月の注目アルバムを紹介してもらいつつ、6年ぶりの復帰作となったBTS『ARIRANG』、過去の言動を謝罪し「改心」した後初のリリースとなったYe=カニエ・ウエスト『BULLY』について聞いた。

UKラップ、中華系アンビエントポップ、エレクトロソウル……音楽ライターの注目新譜

—みなさんがここ数ヶ月で注目したリリースタイトルについて教えていただければと思います。まずhiwattさん、いかがですか?

hiwatt:はい。先日の『コーチェラ』でも目立った活躍をしていたセントラル・シー(Central Cee)やfakeminkと同じようなところで活躍している、Rico AceというUKのラッパーがいまして、彼の新作『Blackjack』が素晴らしかったです。

hiwatt:UKアンダーグラウンド=UKUGと略されたりもするんですけど、その中で去年はEsDeeKidというラッパーが大ブレイクしまして、彼もこのアルバムに参加していたりとか、Bladeeという、スウェーデンのレーベル「YEAR0001」あたりから出てきて、最近Skrillexなんかとも一緒にやっているVarg2™︎というプロデューサーも、2曲参加しています。ジャークと呼ばれるラップのジャンルが、レイジやクラウドラップを通過して最近リバイバルしているんですけど、彼もそういうふうなことをやっています。UKならではの「訛り」が魅力で、このジャンルはどんどん新しいタレントが出てくると思うんですけど、Rico Aceの新作はその入門にもいいかなと思いますね。

風間:僕はビッグリリース以外で言うと、SY3というプロジェクトの『梦游 SLEEPWALKER』というアルバムを挙げたいです。ケリー・グアン(Kelly Guan)、アレックス・ホ(Alex Ho)、フィル・チョー(Phil Cho)という、ロサンゼルス拠点の中国系アメリカ人3人のプロデューサーがはじめたプロジェクトで、「Music From Memory」というレーベルから出ました。この「Music From Memory」というのは、2010年代からの(ニューエイジ等の)リバイバルを推し進めた再発レーベルのひとつで、いろいろな音楽をリイシューすることによって現代に再提示しているレーベルです。最近はリイシューではない新作も出していて、その中でもこのアルバムはものすごく良いと思います。

風間:内容はアンビエントポップというか、ちょっと昔のアイドルポップ歌謡、たとえばフェイ・ウォンとかとすごく親和性があって。ダウンテンポやトリップホップの潮流を、さらにダンスミュージックと引き離したような内容で、すごく不思議な聴きやすいアルバムです。UKや北欧から出てきそうな感じの内容を、中華系のアーティストが作るということで、いわゆる「オリエンタル」なメロディを使っていたりするんですけど、そういう「Music From Memory」系の作品の中でも一歩抜きん出ていると思います。

—井草さんはいかがですか?

井草:そうですね。ジェシー・ウェア(Jessie Ware)の『Superbloom』というアルバムが、この座談会の収録時点では3曲先行リリースされていて、楽しみにしています。

井草:ジェシー・ウェアはもともと、UKのネオソウル / ビンテージソウルを、フォーキーなアレンジも踏まえつつやっているような作品を3枚出していて、1枚目は鳴り物入りでデビューしたものの、2、3枚目で停滞期があって、音楽を辞めようと思っていたそうなんです。キャリアの転換期になったのが『What’s Your Pleasure?』という2020年のアルバムで、エレクトロダンスミュージックに振り切った、ディスコっぽい作風になったんですね。かなりプロダクションを変えたことで、一気に再ブレイクしました。

井草:『What’s Your Pleasure?』は、1980年代のNYのクィアブラックコミュニティへのリスペクトも内包したディスコテイストではあるんですが、もう少しひんやりとした質感の、ダークな印象もあるエレクトロニックなアルバムです。2023年には同じ系統で『That! Feels Good!』というアルバムを出してるんですけど、これは完全に華やかなパーティー感の強いディスコアルバムだったんですね。それが個人的にはちょっと大味な印象もあったんですけど、今回の『Superbloom』に関しては、先行曲を聴く限り『What’s Your Pleasure?』と『That! Feels Good!』の良いとこ取りのような仕上がりになっていて、オーケストラルなアレンジもあり、ブレイクのきっかけになったモダンでクールな感じのトラックもあり、ここ数作の集大成っぽい感じの作品になりそうな手応えを感じて、期待しています。

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