メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

河合優実と藤元明緒に取材 難民キャンプで見た少女たちの表情に思うこと

2026.5.11

#MOVIE

世界で最も迫害された少数民族の一つといわれる、ロヒンギャ。2017年、ミャンマーでロヒンギャに対する弾圧が起こり、75万人以上が隣国に逃れたことは世界的なニュースにもなった。現在も100万人以上が避難生活を強いられ、ミャンマーの情勢不安により帰還は困難な状況が続いている。藤元明緒監督による劇映画『LOST LAND』は、総勢200名を超えるロヒンギャが出演する世界初の作品。難民キャンプで暮らす姉弟が、キャンプ地からマレーシアへ旅する様を描き、リアルな描写と息を呑むような容赦ない展開に引き込まれる。本作は『第82回ベネチア国際映画祭』オリゾンティ部門で審査員特別賞を受賞するなど、ミャンマーで語ることがタブー視されていたロヒンギャと世界をつないだ。

今回は、映画『LOST LAND』の監督・藤元明緒と、予告編ナレーションを務めた俳優・河合優実に取材。河合は本作に感銘を受け、さらに監督とともに3日間難民キャンプを訪れ、ロヒンギャの暮らしを目の当たりにした。二人が現地で目にした人々の営みや、世界的に蔓延する「他者を排除しようとする空気」、ロヒンギャが辿ってきた歴史とのつながり。遠い国の話と私たちの足元がつながっていることを感じられる対話となった。

長年迫害されてきたロヒンギャの人々。藤元監督が抱いた罪悪感

─お恥ずかしながら、ロヒンギャのことを、本作をきっかけに知りました。ドキュメンタリーといわれてもわからないような作り込みに、鑑賞後しばらく呆然としましたが、河合さんは映画を拝見されていかがでしたか?

河合:私も同じく呆然としました。試写後に藤元監督がスクリーンの前で本作について話してくださったのですが、映画で描かれていることは現実なのだと改めて突きつけられて、受け止めきれず動揺してしまって。感情を整理できないくらい、心が大きく動きました。

河合優実(かわい ゆうみ)
2000年生まれ、東京都出身。21年に映画『由宇子の天秤』『サマーフィルムにのって』での演技が高く評価され、各賞の新人賞などを受賞。最近の出演作はドラマ『不適切にもほどがある!』『RoOT / ルート』、映画『少女は卒業しない』『あんのこと』『ナミビアの砂漠』『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』『ルノワール』『旅と日々』など。

─監督は、在日ミャンマー人家族を描いた『僕の帰る場所』(2017年)、ベトナム人技能実習生を描いた『海辺の彼女たち』(2020年)などアジアを舞台に映画を制作されています。本作を手がけたきっかけは?

藤元:2013年に「ミャンマーで長編映画を撮影する監督募集」という案内を見かけて応募したことをきっかけに、10年以上ミャンマーの人や仕事に関わり続けてきました。ミャンマーに初めて訪れたときから、ロヒンギャに対する迫害や差別の話を聞くことがありましたが、ミャンマーではロヒンギャの話題に触れることが「タブー」だったんです。

藤元明緒(ふじもと あきお)
1988年、大阪府生まれ。ビジュアルアーツ専門学校大阪で映画制作を学ぶ。在日ミャンマー人家族を描く初長編『僕の帰る場所』(2018年)が第30回東京国際映画祭アジアの未来部門 作品賞&国際交流基金アジアセンター特別賞を受賞。2021年、ベトナム人技能実習生を描く長編第二作『海辺の彼女たち(日本ベトナム国際共同製作)』を公開。主にミャンマーなどアジアを舞台に合作映画を制作し続けている。

─調べたところ、ミャンマー政府はロヒンギャを不法移民集団とみなして国籍を認めておらず、2017年にはミャンマー国内でロヒンギャに対する大規模な無差別の武力弾圧が起こった、と拝見しました。その背景には、宗教の問題など複雑な歴史的経緯があるかと思いますが、監督はタブーに切り込むべきだと思われたのですね。

藤元:何度かロヒンギャの映画を作ろうと試みたのですが、ミャンマーの友人や自分が積み上げてきたキャリアを失うかもしれないという怖さがあり、動き出せずにいました。ずっと沈黙してしまったことへの罪悪感と、今やらないとずっと無視し続けるだろうなという思いもあり、2023年に映画化へ向けて動き始めました。

─「今やらないと」という切実さは、何かきっかけがあったのでしょうか?

藤元:僕が帰国した3年後の2021年に、ミャンマーで軍事クーデターが起きました。国軍が権力を持ち、現地の情勢は大変なことになった。僕も映画を通して支援活動や声をあげる動きをしたのですが、なぜ2021年のクーデターでは声をあげて、2017年のロヒンギャの弾圧では声を上げなかったのか。明らかにダブルスタンダードな態度を持ってしまったことに自覚的になり、年々切実な思いが募っていきました。

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS