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【レビュー】RAYE『THIS MUSIC MAY CONTAIN HOPE.』が示す新しいポップの条件

2026.4.14

#MUSIC

photo by Aliyah Otchere
photo by Aliyah Otchere

イギリスのシンガーソングライターRAYEの2ndアルバム『THIS MUSIC MAY CONTAIN HOPE.』が2026年3月27日(金)にリリースされた。映画音楽作曲家ハンス・ジマー(『パイレーツ・オブ・カリビアン』『ライオン・キング』)、ソウルシンガーのレジェンド=アル・グリーンの参加でも話題の同作を、文筆家つやちゃんが紐解く。

時代に逆行するような、長くて複雑なアルバムだが……

RAYEの最新アルバム『THIS MUSIC MAY CONTAIN HOPE.』が話題だ。英メディア『NME』は、本作を彼女の「all-in」(全部入り)なマキシマリズムとして高く評価した。『The Guardian』は過剰さや散漫さを指摘しつつ、「unbridled self-expression」(解き放たれた自己表現)の野心作と評している(※)。商業的なインパクトは大きく、リリース直後から各国チャートで好成績を記録。とりわけUKではアルバム部門1位となり、複数チャートで上位にランクインした。一方アメリカではBillboard 200で11位にとどまったものの、インディ系チャートでは上位に位置しており、セールスと批評が絶妙なバランスを保っている。単なるヒット作というより、2020年代のポップの方向性を示す作品として受け止められている点が特徴的だ。

RAYE – ‘This Music May Contain Hope’ review: showstopping musical maximalism at its grandest. NME

Raye: This Music May Contain Hope review – a wildly ambitious epic of unbridled self-expression. The Guardian

評価の背景には、作品のスケールそのものがある。全17曲、約73分という長尺に加え、R&B、ジャズ、ポップ、さらには映画音楽的なオーケストレーションが複雑に絡み合う構造は、現行のチャートにおいては異例と言っていい。そう、『THIS MUSIC MAY CONTAIN HOPE.』は一度聴いただけでは把握しきれない構造を持っている。長く、多層的で、一部で錯綜してもいる。それにもかかわらず、多くのリスナーに受け入れられているのはなぜか。楽曲の即時性と単機能性を強めてきた現在のサブスク時代において、本作は一見、時代の流れに逆行しているように感じられるだろう。けれども、この逆説の中に、現在のポップの変化を読み解く鍵があるのではないか。

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