終のすみかの舞台『it’s too late.』が7月18日(土)から7月31日(金)まで、東京・祖師ヶ谷大蔵のムリウイで上演される。
「自分ひとりと自分ではないひとのたくさんしかいない」という基底のもと、現代を舞台とした演劇作品を制作している、終のすみか。生身の人間同士の間で発生する細かなコミュニケーションを、明文化 / 言語化しないまま作品にのせ、コミュニケーションの内容が変化していく様を、舞台と客席とで共有することを目指している。2023年には、第13回せんがわ劇場演劇コンクールに参加し、『 S U N R I S E 』でオーディエンス賞を受賞した。
終のすみかにとって2年ぶりの新作となる同作は、深夜のクラブハウスを舞台に、変わらない社会を静かに受け入れていく20代の若者たちを描く。ナイトクラブ文化への取材をもとに創作されており、将来への展望を持てないまま、冷笑と諦念を身につけていく若者たちの会話や沈黙から、現代社会に漂う疲弊や停滞感を浮かび上がらせる。
作 / 演出を務めるのは、坂本奈央。出演者には宮地洸成、片平友里絵(文学座)、日和下駄(円盤に乗る派)、高橋あずさ(終のすみか)が名を連ねている。
なお同公演は、ムリウイのバルコニーを活用し、夜のみの上演を予定している。
ある程度のひとが共通で感じたことがあるように思いますが、自分よりも下の世代と話すとき、どうも、相手の感情が見えづらいように思うときがあります。表情の変化が乏しくみえる、返答から気持ちが読み取れない、声の抑揚を感じづらい、好きなものや趣味を聞いても的を射た言葉が返ってきていない感じがする、など。でもそれは、まさに自分も、自分よりも上の世代に思われていることに感じます。
作・演出 坂本奈央
この共通性はなんなのでしょうか。
気さくに話しかけてくれる年上のあのひとも、何を考えているか分からない若者であったときがあったのでしょうか。
最近、自分が子供の頃に流行ったものの名前をよくメディアで見かけるようになりました。子供の頃に流行ったゲームは、その世代だった大人がいまも夢中になって遊んでいます。同世代のお笑い芸人が出す単語にノスタルジーや共感を覚えることが、私はおそろしく感じます。
社会の中心になっていくことは、世界が自分のものになっていくこと。知っているもの、知っていることで自分のまわりをかためていくこと。社会から「若者」と呼ばれ、客体化されていた時代を終えること。
だから、年齢をかさねると、味方をふやそうとするのではないでしょうか。となりの同世代をみれば、同じ言葉をしゃべっている。同属意識の心地よい渦にまかれ、その私たちが社会や経済の中心を担っていく。そして、自分たちに都合のいい世界を形成しようとしていく。
社会が敵にみえていた若者の時代を抜けて。
それが、いまの私には、とてもおそろしいことに思えてならないのです。

終のすみか『it’s too late.』

作・演出:坂本奈央
出演:宮地洸成 片平友里絵(文学座)日和下駄(円盤に乗る派)高橋あずさ(終のすみか)
2026年7月18日(土)~7月31日(金)全12ステージ/全公演19:30開演
※7/22,28は休演日
場所:カフェムリウイ
舞台監督:伊藤美雪香 照明:男山愛弓 音響:大嵜逸生 記録映像:稲川悟史 写真撮影:坂本菜美 宣伝美術:はぎわら水雨子(食む派) フライヤーテキスト・執筆補助:宮澤大和 制作:石塚晴日 主催:終のすみか 助成:アーツカウンシル東京【東京ライブ・ステージ応援助成】