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荒谷翔大編:揺らぎこそが安定。yonawo脱退後に見つけた自分の軸

2026.4.15

#MUSIC

バンドは誰かが「独裁」した方がいい時もある

手島:足並みを揃えるのは大変ですよね。若いバンドだと、誰か1人のアイデアを1度ちゃんと具現化してみることが大事だったりします。3人とか4人のメンバーがいて練習してそれぞれ上手くなってくると、みんなが「75点ぐらいの演奏」ができるようになるんですよ。そうすると、取り立てて何かが悪いわけじゃないけど、作曲した人にはちょっと違和感が残っているんです。だから、1度最初にアイデアを出した人のものを、「こういうアレンジでこういうふうに弾いてほしい」とか完全に形にしてみて、それで、うまくいかなかったら素直に謝る(笑)。そういう「何が好きで何が嫌いか」を整理する作業が、結局は必要になってくるんですよね。

キャリアを重ねた人たちなら阿吽の呼吸でできることもありますけど、若い人ほど、1度誰かがあえて「独裁」してみたほうがいい時もあります。

手島将彦(てしま まさひこ)
産業カウンセラー、音楽専門学校講師、保育士。ミュージシャンとして活動後、マネジメント・スタッフを経て、専門学校ミューズ音楽院で講師と新人開発を担当。「文化・芸能業界のこころのサポートセンター Mebuki」所属カウンセラー。著書に『なぜアーティストは壊れやすいのか?——音楽業界から学ぶカウンセリング入門』『アーティスト・クリエイターの心の相談室——創作活動の不安とつきあう』などがある。

荒谷:「独裁」……僕がそれをするべきだったんだろうなと、今でも思います。でもそれができない自分に無力感を感じていました。言語化もできないし。

手島:そこに至るまでには頭がパンパンになる時期も必要だったんでしょうね。音楽に限らず生きていく上で人間は誰かと何かをやっていく必要があり、ソロだろうがバンドだろうが完全に単独での活動は難しいですから。なので、自分が何が好きで何が好きではないか、それはなぜなのか、というようなことを詳しく分析して言語化しておくことが周囲に伝えるためにも必要ですね。

荒谷:自己分析をマジで何もせずにバンドをやっていたので、みんなの「好き」がふんわり集まって「いい感じだね」となっていたんです。そこをどうにかしたいけど歩みも止められない、という流れの中で立ち止まった瞬間が今(ソロ)という感じです。今は自分の好きなものを研究して言語化しようとしています。この作業、今までしてなかったなと思って。

バンドの時は、曲は全部自分が作っていましたけど、アレンジはみんなで作り上げていく感じでした。それがバンドとしてのあるべき姿だと勝手に思っていたんですよね。The Beatlesみたいにもう全員が書いてもいいよというモチベーションで始めたので、メンバーにも「(曲を)書いてよ、書いてよ」とずっと言っていました。そうじゃないと自分にとってやる意味がないと思っちゃっていたから。でも最後の方は、それを求めるのも自分のエゴだなと考えるようになりました。曲を作りたいという思いは言われて生まれるものじゃないし。自分は「みんなも曲書きたいでしょ?」って思っていたんですが、そうじゃない人もいる。そこに葛藤はありましたね。

─脱退という大きな決断についてはどうでしたか?

荒谷:自分は活動休止してソロとして1回やりたいという感じだったんですけど、メンバーはバンドを止めたくない、活動休止もその発表もしたくないと。今もしてないですし。そうなると僕が「脱退」という形がいいんじゃないかと話し合って決めました。みんなの発案を受け止めた、合意の上での決断でした。

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