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第65回メフィスト賞を受賞。小説家の金子玲介は、挫折を乗り越えてエンタメ小説を綴る

2024.11.8

#BOOK

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

9月25日は、ひとり出版社「石原書房」の石原将希さんからの紹介で、小説家の金子玲介さんが登場。第65回メフィスト賞受賞作『死んだ山田と教室』の執筆秘話や、純文学からエンタメ小説へ転向した理由について伺いました。

『死んだ山田と教室』で第65回メフィスト賞を受賞

Celeina(MC):タカノさんと金子さんはお知り合いだとお伺いしています。

タカノ(MC):以前この番組にもご出演いただいた清繭子さんのエッセイ刊行を記念した会で初めてお会いしたんです。

金子:以前清さんからインタビューを受けたご縁でご招待をいただきまして、そこでご挨拶させていただきましたね。

Celeina:金子さんはラジオに生出演していただくのは初めてということで、気楽に楽しんでください。さて、プロフィールを紹介させていただきます。金子さんは1993年神奈川県生まれ、慶應義塾大学を卒業されています。『死んだ山田と教室』で第65回メフィスト賞を受賞され、8月に2作目となる『死んだ石井の大群』を発売。そして、11月には3作目となる『死んだ木村を上演』の発売が決定しています。

タカノ:凄いペースで作品を発表されていますよね。

Celeina:これらの作品はもともと書き溜められていたんですか? それとも、書いて発表を繰り返されている?

金子:メフィスト賞受賞のご連絡をいただいたのが、2023年の5月だったので、『死んだ山田と教室』の発売までに1年間あったんです。その期間で改稿をしながら、『死んだ石井の大群』と『死んだ木村を上演』の原稿を準備しました。

タカノ:私は『死んだ山田と教室』を読ませていただいたんですが、最高でした! 面白いし、泣けるし、怖さもあって、色々な感情を刺激される作品で。死んでしまったクラスの人気者である山田の声が突然スピーカーから聞こえてくるところから、物語が進んでいくんですよ。クラスメイトと山田の交流が進んでいくかと思いきや、山田がとんでもないことになっていくという。今までにないストーリーでしたね。

金子:ありがとうございます! スピーカーに転生する設定は、多くの方に面白がっていただけたと思います。

純文学の賞で3度の落選、友人のアドバイスでエンタメ小説の道へ

タカノ:物語の始まりだけではなく、ラストシーンも衝撃的で。金子さんは、これまで純文学畑で活動されていたとお伺いしています。

金子:長らく純文学の賞に投稿していたんですが、最終選考で3度落ちてしまったこともあって、心が折れてしまったんですよね。そこで友達に相談したら「エンタメに転向してみてくれないか」と言われて。それを機に転向して、2年ほどで今回の賞をいただくことができました。

タカノ:作品からも、生きることを考えさせられる純文学的な要素も詰まっているなと感じましたね。YouTubeにてPVも公開されていますが、こちらはどのようなきっかけがあったのでしょう。

金子:メフィスト賞の受賞に伴って、PVを作ってくださることになったんです。まだ本も刊行されていないのに撮影の見学をして、自分の小説が目の前で映像になっていく過程を体験させてもらいました。まだ本も発売されていない段階で映像化されるのは、不思議でしたね。

タカノ:映画の予告編さながらのPVになっているので、小説と合わせてぜひチェックしてみてください。

大切にしてきた会話劇にミステリー要素を足して生まれた『死んだ山田と教室』

Celeina:ここまで作品のあらすじを聞いただけでもワクワクしますが、アイデアはどのようなプロセスを経て形になったんですか?

金子:エンタメに転向することを決めた後の1作目が、探偵が犯人を捜していくミステリー小説だったんですよ。でも、無理しすぎている感覚があって。純文学作品では会話劇を大切にしてきたので、会話劇にミステリー要素を足していきたいなと思ったんです。人が亡くなってしまった時って、会話は重くなったり形式的になったりしてしまうじゃないですか。人が亡くなっても軽快な会話を続けられる状況を考えていたら、スピーカーに憑依させることを思い付いたんです。

タカノ:Celeinaさんに見てほしいんですが、山田が考えたクラスの最強の座席表が小説に登場するんですよ。

Celeina:文章の間に図があるんですね⁉

金子:山田はクラスのみんなが大好きなので、「こいつはここの席が良い」みたいな座席表を完成させるんです。

タカノ:こうやってクラスメイトそれぞれのキャラが確立されていて、そこも見どころなんですよ。

Celeina:30人くらいキャラクターがいますが、設定を考えるのも大変だったんじゃないですか?

金子:台詞が多いメンバーは厚めに設定を作りつつ、35名分全ての部活や名前を考えました。

タカノ:10回ほど書き直されたそうですが?

金子:メフィスト賞は受賞から刊行まで1年ほど期間が空くので、その時間で何度も打ち合わせを重ねながら、改稿していきました。

Celeina:そういった打ち合わせをしながらも、2作目と3作目を書いていらっしゃったと。

タカノ:『死んだ石井の大群』はどういったお話なのでしょう。

金子:『死んだ石井の大群』は、所謂デスゲームものですね。333名の石井さんが白い部屋に閉じ込められて、いきなりゲームをしていくという。物語のスタートはベタなデスゲームなんですが、途中で色々な展開を用意しています。

Celeina:『死んだ山田と教室』『死んだ石井の大群』『死んだ木村を上演』いずれの作品も読みたくなりました。皆さんもぜひチェックしてみてくださいね。さて、「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介していただいているのですが、金子さんがご紹介してくださるのはどんな方ですか?

金子:芥川賞作家の高瀬隼子さんです。

タカノ:お会いしたかったです。いつ頃からのお知り合いなんですか?

金子:お話しするようになったのは、今年に入ってからですね。デビュー前から町屋良平さんと仲良くさせてもらっているんですが、町屋さんの文学賞受賞パーティーで初めてお会いしたんです。高瀬さんから「『死んだ山田と教室』面白かったです」と言ってもらえたんですよ。そこから段々とお話しするようになり、『新しい恋愛』が刊行されるこの機会に名前を挙げさせていただきました。

Celeina:明日も楽しみです。今日は小説家の金子玲介さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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