ライブの告知やチケットの予約管理にはじまり、セットリストの記録やメンバーの募集……ライブハウスを主戦場とする音楽活動には、演奏や楽曲制作以外にも数多くの事務作業が伴う。特にアマチュアやインディーズのアーティストは、その多くを自分たちの手で担わなければならない。
そうした現場の課題に寄り添うサービスとして注目を集めているのが、音楽活動に伴うさまざまな業務を一つのアプリに集約し、アーティストたちの活動をサポートするプラットフォーム「muside(ミューサイド)」だ。
本記事ではmuside発案者や、JASRACのKENDRIX担当者に話を聞いた。また2026年5月に福岡で開催されたサーキットイベント『スイゾクカン』の会場を訪れ、イベント主催であるライブハウスオーナーや出演アーティストに、ライブハウスでの音楽活動についてインタビュー。各方面から、インディペンデントに活動する際に参考になるお話を伺ったので、ぜひ、音楽活動の参考にしてほしい。
INDEX
自身の音楽活動の中で感じた課題を解決するために立ち上げた「muside」
2024年2月にリリースされ、主にインディペンデントな音楽シーンで利用者を増やしてきた「muside」は、西日本鉄道株式会社の社員が、自らの音楽活動の中で抱いてきたモヤモヤを解決するために、発案したサービスだ。


musideの発案者で、現役のシンガーソングライター「hako」としても活動する近藤真由は下記のように語る。
近藤:音楽活動を始めたばかりの頃、一番困ったのが、自分と同じようなアマチュアのアーティストがどこで活動しているのか分からなかったことです。ネットで検索をしてもカフェやバーなどの小規模なライブ会場の情報が少なくて、私自身、不安を感じながら、恐る恐る会場を訪ねたこともありました。
だからこそmusideでは、ライブができる場所や、そこで活動しているアーティストの情報を集めるところから始めたんです。土地勘のない場所でライブハウスやスタジオを探したり、ツアーの計画を立てたりする際にも情報源としても活用してもらえます。
音楽活動を始める前は、「ステージに立つ人は特別な存在」というイメージを持つ人も少なくありません。しかし実際に、自分と同じようなアーティストたちの活動を知ることで、「自分にもできるかもしれない」と一歩を踏み出すきっかけになればと思ったんです。

西日本鉄道株式会社の新規事業創出プログラム内で提案され、2024年2月にサービスを開始した音楽活動支援プラットフォーム「muside」の発案者のひとり。シンガーソングライター「hako」としても活動しており、自身の経験をもとにアーティスト目線のサービス開発を行っている。

そんな近藤も出演者のひとりとして参加した、サーキットライブイベント『スイゾクカン』では、出演アーティスト全員にmuside上でセットリストを作成 / 登録することを促している。musideでセットリストを登録すると、抽選で特典がもらえるKENDRIXとのコラボキャンペーンが当日からスタートしていたためだ。このキャンペーンは、将来的には、musideに登録されたセットリストの楽曲が、ライブハウスからJASRACに支払われる著作権使用料の分配対象となることを目指し、運用面における課題等を把握するための検証を兼ねている。
近藤:セットリスト機能は以前から搭載していましたが、実際に利用しているのは一部のユーザーに限られていました。そこで今回の取り組みにあわせて機能のアップデートを行い、楽曲ごとの詳細情報やJASRACの作品コードを登録できるようにしました。
自分で楽曲を作って活動しているアーティストの中には、権利登録の対象になる人も少なくありません。しかし、制度を知らなかったり、難しそうだと感じて利用していないケースも多いと思うんです。
今回の取り組みを通じて、普段のライブ活動の中でセットリストを登録することが、将来的な権利の管理や適切な対価還元につながる可能性があることを知ってもらいたいです。
