Netflixシリーズ『ガス人間』の独占配信が、7月2日(木)より開始された。
同作は、『ゴジラ』の生みの親である本多猪四郎が監督を務め、1960年に東宝製作 / 配給で劇場公開された映画『ガス人間第一号』を、現代日本を舞台とした完全オリジナルストーリーで描いたもの。そんな『ガス人間』を映画評論家のバフィー吉川がレビューする。
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1960年の『ガス人間第一号』を現代的に再構築したリブート作品
本作のもととなっているのは、変身人間シリーズとして製作された特撮映画『ガス人間第一号』だ。シリーズ第1作目の『透明人間』が先駆的作品となり、のちに『美女と液体人間』(1958年)、『電送人間』に続く第3作目(『透明人間』をカウントする場合は4作目)である。
『ガス人間第一号』というのは、H.G.ウェルズやレイ・ブラッドベリが手がけた作品のようなSFを、日本独自のテイストで映画化することを模索していた東宝チームが、ジョン・メレディス・ルーカスの構想や構成に着目。それを基に木村武(馬淵薫)が脚本化した作品だ。
だが、本作には原案の詳細は現存しておらず、「ガス人間が連続犯罪を起こす」という程度しか判明していないため、ルーカスの原案を直接映像化したのではなく、『ガス人間第一号』を現代的に再構築したリブート作品といえる。

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監督は社会風刺が専売特許ともいえる片山慎三
監督の片山慎三は、ポン・ジュノの助監督を務めた経験を持ち、過去作の『さがす』(2022年)や『岬の兄妹』(2019年)などを観たことがあれば、社会風刺が彼の専売特許のようなものであることはわかる。そのため、本作にもそうした視点が盛り込まれていることは容易に想像でき、脚本にヨン・サンホとリュ・ヨンジェという韓国映画業界の最前線で活躍する二人を起用したことで、日本のクリエイターとは少し違った視点も加わっているように感じられる。
そんな制作チームが手掛けているのだから、やはり『ガス人間第一号』が直接的なリメイクであるはずがない。ストーリーや時代背景、視点も全く違う。ところが「科学によって人間が異形の存在へ変貌する悲劇」をテーマとしている点では共通していて、作品の根底にあった「社会的不安」というテーマを現代的に拡張した作品となっている。作中でもこの「社会的不安」というワードが印象的に使用されており、大きく分けて1990年代後半と現代という二つの時代が舞台となっている。

