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NEWS EVENT SPECIAL SERIES
「音楽×お笑い」の実験ノート(「深夜のハチミツ」連動企画)

ゼロカラン×ウマシカて対談。嫉妬と悔しさで歌う、爽やかで、ちょっと悲しい応援歌

2024.8.21

#MUSIC

ハチミツ芸人8組がお笑い界のトップになるべく、話題になりそうなことに全力でチャレンジしていく芸人総合バラエティ『深夜のハチミツ!! Bee The TOP』通称『深夜のハチミツ』。数々の人気番組を輩出してきたフジテレビ深夜のお笑い番組の最新形だ。

ハチミツ芸人と新進気鋭のアーティストがそれぞれタッグを組み、「タオルをブンブンしたくなる曲」というテーマで楽曲を制作する「メジャーデビュー争奪戦!ハチフェス」が始動した。TikTokの再生数と、8月25日に『お台場冒険王』の特設ステージで行われるライブパフォーマンスへの観客投票をもっとも集めたユニットはソニーミュージックから正式にCDデビューすることができる。

ここでは8組による、「音楽×お笑い」の化学変化を記録するために対談連載を実施。今回は『ハチミツ』に参加したてのゼロカランと、ストレートなギターロックを鳴らすウマシカてに語ってもらった。

たいが(ゼロカラン)は本気でシンバルを練習

ーこの企画に参加することが決まったときはどう思いましたか?

ワキ(ゼロカラン):率直にうれしかったですね。ただ、自分に何ができるんだろうというプレッシャーもありました。逆の立場だったら、ちょっと思うところもあると思うんですよね。だから組むミュージシャンの方には絶対に嫌がられへんように、低姿勢でいこうと決めてました。

たいが(ゼロカラン):僕らが『ハチミツ』に入って最初の企画やったんで、これをどう面白くすればええんやろうと思って。他の人はいろんな企画をやって、面白いとわかってもらった上での歌ですけど、僕らはみんなに知ってもらってない状態で曲を作らなあかんから不安でしたね。

ゼロカラン
1995年11月10日生まれ、大阪府出身のワキユウタと1995年6月24日生まれ、大阪府出身のたいがからなる、吉本興業所属のお笑いコンビ。高校の同級生だった2人がコンビを結成。フリーで活動し、2023年4月から吉本興業に所属。現在は、神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動中。

ー『ゴッドタン』の「マジ歌選手権」も、みんなが知っている芸人さんが歌うから成立してますもんね。

たいが:そうなんですよ。劇場でも、ちょっとカラオケ歌うみたいな機会が何回かあったんですけど、ガチで歌う以外は全部スベるんですよね。だから、今回もガチで音楽をやるしかないなと。色々考えて、僕は本気でシンバルを叩くことにしました。

ーウマシカてのお2人はどうでしたか?

フクダ(ウマシカて):2人ともお笑いが好きなので、お話がきたときはびっくりでしたね。

てざわり(ウマシカて):「めっちゃ面白そうじゃん……!」って。

ワキ:ああ、そうなんや。よかったよかった。

フクダ:楽曲制作の締切がけっこう短かったので焦りましたが、なんとか出来上がったので本当によかったです。

てざわり:ワキさんに関しては深夜練も入ってくれてました。たいがさんはシンバルもすごく練習してたし(笑)。ゼロカランの2人はライブも観にきてくれたんですけど、終わった後にたいがさんがボソッと「俺も歌いたい」って言ってたんですよ。

ワキ:もう芸人やめるやつやん。

たいが:ステージで歌ったら気持ちいいやろなと思ってしまって(笑)。

フクダ:その段階ではたいがさんの歌のパートはなかったんですけど、「絶対歌わせなきゃ!」と思って作りました。

お笑い好きとインディーズバンド好きのペア

ーウマシカてのお2人は普段どんなお笑いを見てるんですか?

フクダ:YouTubeだと東京03、粗品さん、ラランド、令和ロマンとか見てます。

てざわり:私はキングオブコメディが本当に好きで。いまだに。

たいが:ほんまに面白かったもんな。

ウマシカて
クソ男に対するヘイトをひたすら歌うスリーピースバンド。相次ぐ退職により現在の正規メンバーはフクダとてざわりの2人。サポートドラムは7人ほどおりシフト制。フクダ、てざわりがそれぞれ曲を手掛けているが“拝啓、クソ男様”“1998”といったそれぞれの代表曲がある。最近はライブ中宗教と思想の話をしている。

てざわり:あと、スクールゾーンのYouTubeも見ちゃいますね。あの長いコントのやつ。こないだゼロカランを観に劇場に行って、終わった後挨拶に行ったら、スクールゾーンさんもいて。「おお……」ってなりました。

ワキ:俺らのネタ忘れてますやん。

ーゼロカランのお2人はどんな音楽を聴いてるんですか?

ワキ:僕はめっちゃ有名な曲よりは、YouTubeとかの関連動画を転々として新しい音楽を聴くのが好きです。まだ世に見つかってない人を探すのが楽しいというか。ちょっと天邪鬼なところがあるんで。

たいが:「『鬼滅の刃』おもんない」って言ってましたからね。

ワキ:ドライブで僕のプレイリスト流しても誰1人盛り上がらへん。

たいが:ドライブは知ってる曲であればあるほど盛り上がりますから。

ワキ:でも、あんまりバンド名とか曲名を覚えられないんですよね。最近だとDENIMSは覚えました。やっぱり、自分たちがまだこれからやから、そことリンクしてインディーズのバンドを聴いてるのかもしれないです。

たいが:僕は逆で、流行ってるやつを聴いてますね。バンドだとMy Hair is Badとか、かりゆし58とか。でも、気を使わない友達と行くカラオケで歌うのは、(やしき)たかじんです。あの人の女性目線の恋の歌が、めちゃくちゃすぎて追いつかないんですけど、それがいいんですよ。

お互い望んでないマッチングだったことが発覚

ーちなみに、このマッチングは希望通りでしたか?

ワキ:もうだいぶ仲良くなったので正直に言えますけど、2位か3位でした。1位はvövさんだったかな。

たいが:単純に、僕がTikTokで聴いたことがあったので。僕はウマシカてさんを2位にしようと思ったけど、ワキが3位にしたんです。

ワキ:その理由ははっきり覚えてるけど、曲にめっちゃ魂が入ってるから、俺らの入る余地がないんちゃうかと思ったんですよ。

https://youtu.be/mvrpGJLtZGE?feature=shared

たいが:ほとんどラブソングやしな。

スーツを着ている男たち

自動的に生成された説明
左からワキユウタ、たいが

フクダ:気を使ってラブソングの歌詞書いてきてくれましたよね。

たいが:そうそう、最初ラブソング持っていったら「全然違う」みたいになって。もうあの歌詞はいつか1人の曲で使います。

ワキ:ウマシカてさんは、僕ら何位だったんですか? ほんまのこと言ってくださいよ。

てざわり:うちらは意見をまとめるのが面倒で、それぞれの希望をスタッフさんに送ったんですよ。

フクダ:私は、1位は9番街レトロさんでした。それは名前を知ってたから。ゼロカランさんは3位です。

ワキ:おー、上位ですね。よかった。

フクダ:優しそうだし、声もいいなって。

てざわり:私はめっちゃ怖そうだと思った。

ワキ:まあ、怖そうとは言われますよ。

たいが:で、何位だったんですか?

てざわり:……7位。

たいが:ええ!

ワキ:今まで普通に話してたのが怖すぎるでしょ(笑)。

悔しさや嫉妬がモチベーション

ー最初の顔合わせの段階で、曲のベースはできていたそうですね。

フクダ:「タオルを回す」というテーマだったので、サビのリズムをサンバっぽくしようということは決めて、それに合わせてギターをいじってたらコードが浮かびました。うちのバンドは毎回てざわりが4つか5つのコードで曲を作っていて、今回も4つです。

ワキ:ほとんどできていたからびっくりしました。じゃあ僕らは何をしたらいいの? と(笑)。

たいが:その後色々話して、僕らの思う「盛り上がりそうな曲」の要素も入れてもらったんですよ。ネタにあるボケのフレーズとかも入れてくれて、それが曲とすごくマッチしていて、いい形になったと思います。聴いた感じは爽やかで、でもちょっと悲しいみたいな。

フクダ:ワキさんが持ってきた歌詞にいいフレーズがあって。<レシートで厚みを増した財布 / エリートではない僕の人生>っていう。

ワキ:さすがにクサいから否定されると思ったんですよ。でも好評だったから、この曲はこういう方向なんやと。

フクダ:顔合わせの後はワキさんと2人で喫茶店にこもって歌詞書いて、その後4人で飲みに行ったり。お互いのライブも観に行って。

左からフクダチナツ、てざわり

ワキ:普通に気が合いました。性格の悪さが似てるんですよ。

フクダ:人気があるやつが嫌いだったり(笑)。

てざわり:「ポッと出のやつはダメだ!」ってフクダと前から話してたんですけど、同じ感覚でした。

ワキ:僕らもずっとそんな会話してますから。

フクダ:その感じが歌詞にも入ってます。

ワキ:売れてて稼いでたらこんなこと1つも言わないですけどね(笑)。悔しさとか嫉妬がモチベーションなのが似てるのかもしれない。

『ハチミツ』のロケは、死ぬ前に思い出したいくらい楽しい

ー一緒に曲を作ってみて、ネタ作りとの共通点はありましたか? それとも全く別物でしたか?

ワキ:音楽は想いを込めてるじゃないですか。飲みに行ったときに、サポートドラムの知花さんから「どういう想いでネタ書いてるんですか?」と聞かれたんですけど、想いなんか1ミリも込めてないですから(笑)。むしろ、そういう想いみたいなものをコントとかに込める人を芸人はいじりますよ。

たいが:ネタは出番直前まで「あのボケ変えよう」とか「もうちょっと強く言おう」とか、一生調整してるんです。曲は1回発表したら変えられないですもんね。そこは全然違うなと思いました。

ワキ:曲は何回聴いてもいいですもんね。芸人のネタは飽きてくるんで。

たいが:ギャグは笑いから「あれが見れた」の拍手に変わっていきますし。

ー逆にウマシカてのお2人は感じたことありました?

フクダ:この企画に参加する人全員でロケに行ったときに、芸人さんはずっと面白いことしか喋ってなくて。

てざわり:誰も見てないのにコントしたり。

フクダ:ノールックでツッコんだりしてて、それはすごいなと思いました。

ワキ:あれはハチミツ芸人だけです。明るい人が集まってます。

たいが:あと、かましですね。ミュージシャンがたくさんいたので、笑かしたいという。

フクダ:すごく楽しかったですよ。

てざわり:死ぬ前に思い出したいくらい楽しかった。

ワキ:これからも楽しいことありますよ(笑)。

てざわり:芸人さんって『M-1』を目指してるじゃないですか。それに比べてバンドはゴールがなさすぎるなって思うことはあります。

ワキ:ゴールないんですか?

フクダ:個人的には日本武道館に立ちたいとかありますけど、そこに向かう道も1つじゃないので。

たいが:『M-1』獲っても、もっとウケたいとか色々湧いてくると思うんですけど、確かに明確な目標ではありますね。

フクダ:『M-1』はかっこいいですよ。

たいが:かっこよすぎて、変になってきてます。楽しく漫才できないっす。

ワキ:最近みんなかっこいいですからね。

(ウマシカての2人、うれしそうに拍手)

ワキ:悪いなあ(笑)。まあ、もともと芸人はクズがやってたもんなんで。

フクダ:バンドもそうですよ。

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