映画『オールド・オーク』の公開に先駆け、特別映像が公開された。
同作は、イギリスの映画監督ケン・ローチと、脚本家ポール・ラヴァティがタッグを組んだ最新作。『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』に続く、「イギリス北東部3部作」の最終章とされている。2023年の『カンヌ国際映画祭』コンペティション部門に出品されたほか、『ロカルノ国際映画祭』では観客賞を受賞している。
今回解禁された特別映像は、ケン・ローチ監督のこれまでの功績に迫る内容となっている。
また、新たに公開されたコメントは、移民政策学会常任理事であり、入管収容問題、難民問題に取り組んできた弁護士の児玉晃一、イギリス文学・文化研究の河野真太郎、メディアNPO Dialogue for People副代表であり、フォトジャーナリストの安田菜津紀、地球に移民としてやってきたバクの子どもを主人公にしたマンガ「バクちゃん」で文化庁メディア芸術祭新人賞を受賞したマンガ家の増村十七、イギリス在住の作家のブレイディみかこ、映画監督の山田洋次ら、6名のジャンルの垣根を超えた各界著名人からのコメントだ。
<著名人コメント(順不同/敬称略)>
どこの国でも、移民・難民の心や体を傷つけるのは人。でも、共に食事をし、語らい、音楽に触れ、その心や体を救うのも人だ。
悪意に満ちた言動に挫けそうになるけれど、最後は善意に救われると信じさせてくれる映画。シュクラン(ありがとう)
みんな。
児玉晃一(弁護士)分断のあるところに、共感と連帯をあらしめよ。ケン・ローチ監督は、冷笑と分断に苦しむ私たちの社会に、
この世には善意というものがあり、それが社会をつなぎとめているという、祈りのような「最後のメッセージ」を届けてくれる。
劇場で受けとめてほしい。
河野真太郎(イギリス文学・文化研究)この映画は小さな町の背景を描きながらも、「差別する側にも理由がある」という安易な正当化を拒否する。
社会の脆弱さや失政を「外国人のせい」「難民のせい」と転換し、「分かったふり」をする暴力の露骨さを描く。
一筋縄ではいかない「共に生きる」をなお、諦めない意思も。
安田菜津紀(メディアNPO Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)寂れつつある炭鉱町の住民たちと、そこに移住してきた難民たち。過去を持ち合わない隣人同士が、
食事をし、働いて、悲しんで、たがいの人間としての姿を知る。
特別ではない人間たちが互いを知るとき、特別な、思い出が始まる。
増村十七(マンガ家)「多文化」が共生するのではない。
「人と人」が共生するのだ。
どんな時代にあっても同じことを言い続けてきた
ケン・ローチの声が聞こえる。
ブレイディみかこ(作家)人種差別という、人間の醜い行為から始まるドラマが
鮮やかに描き出される。名匠ケン・ローチは健在。
山田洋次(映画監督)世界でも、日本でも至る所に蔓延している人と人の「分断」。この最も厄介な手に負えない病巣を前にしてもケン・ローチは諦めない。『オールド・オーク』は人と人が差異を超えてどうしたら共に生きられるかを正面から問い続ける。
これほどまでに一貫した「眼差し」を世界に、人間に向け続ける彼の存在こそが、映画にとっての希望であると改めて確信した。
是枝裕和(映画監督)押しつけられた理不尽に苦しむ者同士、噛みつき合うのか、助け合うのか、それとも黙ってやり過ごすのか……
それは明らかに、2026年現在の日本社会に生きる、我々自身にも向けられた問いだろう。
ケン・ローチ渾身のまたしても大傑作、劇場公開されて、本当に良かった!
宇多丸(RHYMESTER)ローチが見つめるのは、難民そのものではない。「分断を生む社会の構造」だ。怒りと不信の底に、なお残る連帯の可能性を探る。2016年の英国北東部を描いたこの物語が、2026年の日本に重なって見えるとき、私たちは何を選び取るのか。
松尾潔(音楽プロデューサー・作家)パブはpublic house、つまり「公共の家」という単語からきています。お酒を飲むだけではなく、人々が集まるコミュニティの中心としての公共的な機能を持っています。そんなパブが地域社会のためにどういう機能を果たせるのか、果たすべきなのかを描いた映画です。
北村紗衣(英文学者)
映画『オールド・オーク』

4月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、
新宿武蔵野館他全国ロードショー
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァティ
出演:デイヴ・ターナー、エブラ・マリ、クレア・ロッジャーソン
2023/イギリス、フランス、ベルギー/英語・アラビア語/113分/カラー 原題:The Old Oak 配給:ファインフィルムズ 映倫:G
文部科学省特別選定(高等学校生徒、青年、成人向き) 文部科学省選定(中学校生徒、家庭向き)東京都推奨映画 後援:ブリティッシュ・カウンシル
© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023
<ストーリー>
イギリス北東部、とある炭鉱の町で唯一のパブ、「オールド・オーク」。活気溢れる時代から30年の時を経て、今は厳しい状況に陥っているが、町に住む人々にとっては最後の砦となる止まり木のような存在だ。店主のTJ・バランタインは、試行錯誤しながらなんとかパブを維持しているが、町がシリア難民を受け入れ始めたことで、パブは居場所を争う諍いの場になってしまう。先行きを危ぶむTJだったが、カメラを持ったシリアの女性ヤラと出会い、思いがけない友情を育むことになる。果たして彼らは、互いを理解する方法を見つけられるのだろうかー?