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ドラマ『宙わたる教室』が一貫して伝えようとしている「諦めたものを取り戻す場所」

2024.12.10

#MOVIE

©NHK
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映像表現であるドラマ版ならではの「種明かし」

元上司・石神(高島礼子)と向き合う藤竹©NHK
元上司・石神(高島礼子)と向き合う藤竹©NHK

何よりドラマ版と原作の違いが顕著になるのは原作の第六章と同一の副題であるドラマ版第9話「恐竜少年の仮説」である。原作の第六章は、ミステリー小説で言うところの種明かしの章だ。それまで生徒たちの人生の物語を引き立てるための黒子として存在していた教師・藤竹の視点から、彼自身の思いと過去、「定時制高校に科学部を作る」という彼自身の壮大な「実験」の全貌が明かされる。同時に、なぜ彼ら彼女らを集めたのか、その理由であるところの、彼が見抜いた一人ひとりの資質、能力が発揮された結果、科学部という最高のチームができあがったのだということが明らかになる。

では、それを映像として表現しなければならないドラマ版はどうしたかと言うと、それぞれの資質を藤竹自身が言及するのではなく、科学部の仲間たちそれぞれの気づきとして描かれていたのが興味深かった。例えば、佳純の「科学部活動ノート」が長嶺に読み返されることで、「あとで振り返った時、このノートが科学部の轍」にちゃんとなっていることが証明される。さらにアンジェラが科学部の面々にとって「いるだけで安心」感を与える「いてくれないと困る」存在であることが、長嶺と佳純によって強調される。つまり、ドラマ版は、彼ら彼女らがその時点ではまだ知らない藤竹の実験の真意を、自分たちで発見していくのである。

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