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莉子が巡る『“ひみつの庭” inspired by 羊文学 – 12 hugs(like butterflies)』

2024.6.24

『”ひみつの庭” inspired by 羊文学 – 12 hugs (like butterflies)』

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クリエイティブチームHUGが羊文学の最新アルバム『12 hugs(like butterflies)』を再解釈する企画展『“ひみつの庭” inspired by 羊文学 – 12 hugs(like butterflies)』が神保町・New Galleryで7月7日(日)まで開催されている。変化し続けるバンドそのものを「庭」、それを耕すクリエイターやスタッフたちを「庭師」と定義し、これまでも羊文学のアートワークを支え続けてきたクリエイティブディレクターのharu.(HUG)が核となって、様々な分野で活躍するアーティストたちが独自の方法で各楽曲を表現。さらには衣装、写真、アルバムの制作資料なども展示され、羊文学の世界観が存分に味わえる空間となっている。

今回はかつて羊文学が主題歌を担当した配信ドラマ『DISTORTION GIRL』に出演し、バンドのファンを公言しているモデル・女優の莉子がこの企画展を体験。各展示物や空間の魅力を語ってもらうとともに、『12 hugs(like butterflies)』のテーマである「バタフライハグ=自分で自分をハグすること」についても話を聞いた。

これは新しい表現「羊文学さんの世界観により近づけた」

―莉子さんには先ほど企画展をご覧いただきました。まずは感想を聞かせてください。

莉子:正直に言って、最初「展示をやります」というお話を聞いたときは「展示? どういうことなんだろう?」と思ったんです。普段から美術館に行くのが好きで、絵とかアートに触れる機会は割と多いんですけど、今回はまず音楽があって、それを元に展示をやられるということだったのではてなでいっぱいで。でも実際に会場にお邪魔して、作品の説明もしていただいて、「そういう解釈の仕方もできるんだな」とか、いろんなことがすごくはっきりした感覚がありました。

羊文学さんの曲を聴くときって、羊文学さんの世界観を理解したくて、歌詞を見ながらいろいろ考えたりするんですけど、今回展示にお邪魔したことによって、羊文学さんの世界観により近づけた感じがすごくして。これは新しい表現の仕方だなと思いましたし、すごく贅沢な空間だと感じました。

莉子(りこ)
モデル・女優。ドラマ『ブラックシンデレラ』で主演を務めて以降、『ファイトソング』(TBS)や映画『女子高生に殺されたい』『なのに、千輝くんが甘すぎる。』など数々の話題作に出演。2024年公開の初主演映画『違う惑星の変な恋人』は東京国際映画祭の「アジアの未来部門」に選出される。公開待機作には6月28日(金) 公開の短編オムニバス映画『GEMNIBUS vol.1』の中のひとつの「フレイル」、8月23日(金)公開の映画「恋を知らない僕たちは」が控える。

―楽曲に対する理解がより立体的になる感じがありますよね。

莉子:そうですね。私は音楽を聴くのが本当に好きで、家に帰ってきたらまずは音楽を流しますし、朝起きて目覚ましを止めたら音楽をかけるくらい、常に音楽ありきの生活で、だいぶ手放せない存在なんですね。

特に好きなアーティストの曲を初めて聴くときは、ノイズキャンセルのヘッドフォンで、歌詞を見ながら、「こういうことかな?」って想像しながら聴くんですけど、羊文学さんの曲はすごくいい意味で一回聴いただけだとわからなくて、何回も聴きたくなるんです。一回では理解できない世界観みたいなものがあるから、より沼に引きずり込まれるんだろうなと私は思っていて。『DISTORTION GIRL』で“Step”を歌わせてもらったときも、最初は「これはどういう意味なんだろう?」と思いながらずっと聴いてて、そうやって何度も聴いて深く理解したくなるのも羊文学さんならではだなと思います。

―TikTokだとわかりやすい言葉で、すぐに意味が理解できるものが受けやすかったりもするけど、羊文学は聴く人によっていろんな解釈ができて、だからこそ今回みたいな企画展も可能なんだと言えるかもしれないですね。

莉子:自分で解釈したり、いろいろ連想するのが楽しいので、こういう展示をやっていただけるのはファンとしてはすごくありがたいなと思います。

『“ひみつの庭” inspired by 羊文学 – 12 hugs(like butterflies)』では、お手紙の形をした作品解説が来場者へプレゼントされる

全12曲をモチーフにした作品、グッズ

―ギャラリーに入るといきなり植物があって、その奥に小屋があり、最初から「なんだこの空間?」ってなりますよね。

『人魚 by Christopher Loden』

莉子:ギャラリー自体は特別大きいわけじゃないのに、いろんな要素が詰まっているからずっといられるような感じがしました。1個1個の作品を全部丁寧に見たくなるような空間で、すごく居心地がよかったです。

レコーディングされるときのギターのコード譜とか、ジャケット写真の色味の調整の紙とか、ああいうのって普通は現場にいる人だけが見るものだと思うんです。それがあんな風に貼り出されてたら、それはもう全部見ちゃいますよね。じっくり見てたら1時間くらいすぐ経っちゃいそう。

莉子:入口の扉からすごく面白くて。そもそも小屋が全部ドアでできてて、その中の一つのドアに取っ手が集中してて、でも実際開くのは1個の取っ手だけっていう、そこも遊び心があって面白かったですし、地面に書かれているGO!!!の文字はメンバーのみなさんが書かれたということで、これは踏めないなと思いました(笑)。私的に手描きの感じがすごく羊文学さんっぽいなと思って、そこもかわいいしオシャレだなって。

『GO!!! by 羊文学 / DODI』

―他にも、印象に残った展示をいくつか挙げていただけますか?

莉子:バットの展示はすごく印象に残ってます。「自分を傷つけるような選択をしてしまう少女」をバットで表すっていう発想がまず面白くて、おさげの少女を三つ編みでイメージしたり、絆創膏を貼ったり、そうやって表現していることにすごくびっくりしました。展示物としてかわいいし、オシャレなんだけど、でもちゃんと意味があって、こんな表現の仕方もあるんだなって。

『countdown by konomad』

莉子:しかもこの企画展は作品がグッズになっていて、それもびっくりしました。種が入ってる紙(シードペーパー)を生まれて初めて見て、衝撃的でした。「本当にお花が咲くんだ!」みたいな。私が小学生の頃にあれがあったら自由研究でレポートを書いてると思います(笑)。

楽曲“more than words”、“永遠のブルー”、“Flower”、“深呼吸”、“FOOL”にちなんだオリジナルグッズが販売されている。(左)莉子が衝撃を受けたシードペーパー

―ジャンプスーツが購入できるのは僕も驚きました。

莉子:あれも本当にかわいくて、もったいなくて着れないですよね。ずっと家に飾っちゃうかもしれない。でもライブとかに着て行くのもいいかな……キービジュアルの蝶々の刺繍が入ってたり、袖に羊文学っていう文字の刺繍が入ってたり、細部までこだわってるのもさすがだなというか、ぬかりないなと思いました(笑)。

莉子のお気に入り『つづく』

ー写真映えのするポイントもいくつかあって、莉子さんは『つづく』のフラワートルネードがお気に入りだったようですね。

莉子:超かわいかった! 「実際には存在しないお花をデザインしていただいた」という解説をお伺いして、パッと見では実際にありそうなお花なんだけど、でも確かによくよく見るとトランプっぽい、紙みたいなものが真ん中に混ざってたりとかして、あのお花1個1個を見るだけでも楽しかったです。しかも、あの場所に飾られてることによって、空調でいい感じにずっとくるくるしてて、それもすごく素敵で。あの場所は本当に写真映えスポットだなと思いましたね。

『つづく by finaleflwr』

―ちなみに、莉子さんご自身も何か作ったりすることがお好きだったりしますか?

莉子:いや、全然しないです(笑)。手先は典型的なB型で、すごく不器用なので全然できないですけど、でも展示とかを見たり、自分でデザインを考えるのはすごく好きです。もともとファッションとかおしゃれが好きでこの業界に入ったので、そういうのを見るのもずっと好きで、今回だとビーズの衣装がめっちゃかわいくて。

衣装をあんなに間近で見られる機会なんてないじゃないですか。衣装展示だけ単体でやられたりとかもあるぐらいなのに、あの展示物の中に衣装も混ざってるなんて、なんて贅沢なんだと思って。ジャケット写真だとちょっとぼやけてるけど、あんなに繊細なビーズで作られてたんだっていうのもわかるし、しかも白に赤がちょっと混ざった感じと真っ黒の正反対な二つがあって、どっちもおしゃれで魅力的だなと思いました。

―楽曲をモチーフにした展示物、さらには衣装、写真、作品の資料まで、羊文学というバンドを様々な角度から楽しめますよね。

莉子:そうですね。当たり前かもしれないけど、本当に隅から隅まで全部、1個1個考えて作られたんだなっていうのがすごく伝わってきて、一つも見逃せないというか、全部見ないと! みたいな気持ちに自然となりましたね。すごく充実感があって、「ありがとうございます!」っていう気持ちでいっぱいで……満腹でした(笑)。

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