グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
7月10日は、The Breakthrough Company GOのクリエイティブディレクターである小林大地さんからの紹介で、編集者の小田明志さんが登場。高校在学中にアートマガジン『LIKTEN』を創刊し、その経験をもとにしたオークションシステム「ハンマーキット」を開発した際のエピソードや、現在企画している新たなオークション企画についてお聞きしました。
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高校在学中に雑誌を創刊した経験をもとに、本を売るオークションシステムを立ち上げ
Celeina(MC):まずは、プロフィールをご紹介します。小田さんは、1991年の東京生まれの編集者です。高校在学中に創刊したアートマガジン『LIKTEN』がAmazonの雑誌ベストセラーランキングで2位を獲得し、話題を呼びました。その後、出版社兼編集プロダクション「LIKTEN.LLC」を設立し、雑誌制作、執筆業のほか、様々なメディアや広告、イベントの企画 / 編集を行いつつ、現在は部数限定の書籍を販売することをきっかけに開発したオークションシステム「ハンマーキット」の運営会社代表も務められています。
タカノ(MC):高校在学中に雑誌を創刊されたんですか?
小田:17歳ぐらいの時に初めて本らしきものを作って、本屋さんで売っていました。
タカノ:すごく早いですね。どういう経緯で?
小田:みんながバンドを始めるのと同じ感覚で、家にイラレ(Illustrator)のソフトが入ったMacがあったので、それで作りました。
Celeina:えっ、イラレで作ったんですか?
小田:もともと文章や絵を描くことが好きで、それを配置しただけのものではあるんですけど。
タカノ:すごいですよ。そして、小田さんが代表を務められているオークションシステムも気になります。こちらは、どういうものですか?
小田:大体の本屋さんに置いてある本は、ジャンルにもよりますが、最低でも3000部から5000部売ることを設定されているものがほとんどだと思います。だけど、今は価値観が多様化しているので、紙の本を売ることは本当に大変で、5000部を売れる人は本当にレアなんです。
でも僕の周りには、500人なら集められる人はたくさんいるし、僕自身そういう方に惹かれることが多かったんですよね。そういう方と一緒に仕事をするにはどうしたらいいんだろうと考えた時に、2,000円の本を5000人に売ることは難しくても、500人から平均2万円ぐらいのお金を落としてもらえるシステムができれば、おそらく同じ売り上げが出て、本を作れるんじゃないかと考えました。それが、オークションで本を売るというアイデアのきっかけです。
タカノ:限定的な部数で作って、本の値段をみんなで釣り上げていくみたいな感じですか?
小田:そうですね。例えば、200部の本に300人から入札があったら、201人目以下の方には当然支払いが発生しないですが、上位の200人にはそれぞれの入札金額で本が買えるというシステムになっています。
タカノ:それは書いた方にも還元されると。
小田:はい。基本的にギャランティーは普通の印税と同じようなパーセンテージということも多いんですが、写真集に出てくださるタレントさんには、いわゆる普通の本のやり方で作るよりも、ギャランティーがよかったと言われることが多いですね。
タカノ:小田さんは、ビジネスマンですね。
小田:ビジネスとして回したほうが楽しいと感じるタイプではあるかもしれないです。
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きっかけは、自身の雑誌が転売された苦い経験
タカノ:思いついてもやろうというところまでいかないと思うので、すごい行動力ですよね。このシステムを実際に形にすることはすごく大変だったんじゃないですか?
小田:そうですね。オークションで本を売るというアイデア自体は昔からあったので、Yahoo!オークションなど、既存のシステムを使うことも考えたのですが、1度のオークションで本を200冊や300冊も売ることはできないですよね。なので、自分で作るしかなかったんです。最後の手段として、自分の知り合いづてにエンジニアを見つけて、一緒に会社を作ったのが3年ぐらい前のことです。
Celeina:そのアイデアを思い付いたきっかけは、何かあったんですか?
小田:僕が初めて作った『LIKTEN』という本は、結構な冊数が転売されてしまったんですよ。当時高校生だったので、友達に買ってもらいたいと思い、すごく安い値段にして本屋さんで売っていたんですが、ラジオ番組に出演させていただいたりすると本が売れて在庫がなくなってしまったんです。そうするとAmazonで売られている古本の値段がどんどん値上がりして、そっちが売れていったんですよ。当然、僕には1円も入らないので、それを教訓に、2号目からは、作った本の半分だけを売って、あとは僕が古本屋のふりをして売っていました。
Celeina:転売価格をチェックして、そこに値段を合わせて売るという感じでしょうか?
小田:転売ヤーの中で、僕が1番安い値段で売っていました。だから、そもそも自分の本の価格を決めて売らなくてもいいという感覚があったんですよね。値段は需要によって変わるんじゃないかと感じていたので、オークションで売るというアイデアはそこからインスピレーションを受けていたりもします。
Celeina:すごく面白い概念ですね。
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新たな企画は、アートなトレーディングカードの販売
タカノ:これまで、小田さんが運営されているオークションサイトでは、具体的にはどのような作品があったのでしょうか?
小田:最初に作ったのは、当時、水沢柚乃という芸名でタレント活動をされていたモデルさんで、今はyunocyというお名前でストリーマーとしてゲーム配信で活躍されている方の写真集です。写真集のほうが、オークションで値が上がるんじゃないかなと思ったからそうしました。
タカノ:なんとなくそういうイメージありますよね。
Celeina:実際に反響はいかがでしたか?
小田:熱いファンが多い方だったので、200冊に設定したら「少ないよ!」という声もいただいたんですが、入札を開始してからは、皆さん、オークションのバトルを楽しんでくれたという印象はありますね。
タカノ:僕も先日、自費出版で本を作って、部数も限定にして、500円で販売したんですよ。あとで相談に乗ってもらいたいぐらいです。このサービスは他の方でも使えるんですよね?
小田:僕の友達づてが多かったりしますが、基本的には、ホームページから応募していただければ、一緒にオークションの戦略を考えさせていただきます。
タカノ:心強いですね。そして最近だと、オカモトレイジさんが関わっているクリエイティブチーム「YAGI」のメンバーが中心になったプロジェクトがオークションに参加されているとか。
小田:はい。レイジくんとは昔からの知り合いで、「YAGI」は僕たちが一緒になって始めた、イベントなどをやっている集まりなんです。そこのメンバーが中心となり、「トレーディングカードをテーマにしたアート作品を作りたい」という話になったんです。アート作品として作っているので、一般的なトレーディングカードと同じ価格よりも、人それぞれ値付けをしてほしいという気持ちがあり、オークションを活用して販売する「ミックスミュージアム」という新しい企画を始めようということになりました。
Celeina:では、これからは本以外のことにもチャレンジしていこうとしている段階という感じでしょうか?
小田:そうですね。個人的に、紙の本に限らず、アナログレコードなど、手触りのあるものが好きなので、そういったものをこれから予定しています。
Celeina:手触りのあるものって、この時代だからこそすごく価値を感じますよね。さあ、「FIST BUMP」はグータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介していただいています。どんな方をご紹介していただけますか?
小田:僕が紹介するのは、指示待ち世代のカリスマでSF作家、プロ知ったかぶりの山塚リキマルくんです。ちなみに、この「SF作家」というのは、「ソウルフル作家」の略で、かなりユニークな書き手の方です。
タカノ:以前『GRAND MARQUEE』でも、選曲とコメント出演していただいたり、僕も展示を観に行ってご挨拶して、そのレポートをさせていただいたりしました。この繋がりが偶然なので、すごく嬉しいです。明日が楽しみです。
Celeina:「FIST BUMP」今日は編集者の小田明志さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann