六本木の国立新美術館にて、現代アーティスト・荒川ナッシュ医(あらかわなっしゅえい)の個展『ペインティングス・アー・ポップスターズ』が開催されている。本展は国立新美術館の開館以来初となる、パフォーマンス・アーティストの大規模展だという。
このアートは事件です
パフォーマンスアートとは、アーティストが自分の体を使って、その日その時その場所に何かを巻き起こす、というもの。ダンスや演劇のように事前に稽古して披露するパフォーマンスではなく、ハプニングの創生&共有、といった意味合いが強い。鑑賞者を巻き込むアートなイタズラ、とも言えるだろう。
そんなわけでパフォーマンスアートは、アーティストと「何か」を目撃する観客との間で初めて完成し、それは非常に記録しづらい。素晴らしい舞台を観た夜のように、「こういう物語をこういう俳優たちが演じた」と記録を残すことはできても、その興奮や一体感、去来した想いは、決して持ち運びできない性質のものなのだ。
では、荒川ナッシュ医は、国立新美術館で1ヶ月半にわたって一体何をするのか。そしてこの展覧会は一体どんなものなのか。広大な会場の中には「美術館でこんなことしていいの?」「こんなのあり?」が溢れている。以下、その一部をご紹介していこう。