秘密を抱えたまま愛し合う夫婦が、ささいな勘違いから殺し合いにまで発展していく──映画『昨夜は殺れたかも』は、運命的に出会った光弘(吉野北人)と咲奈(鈴木愛理)が織りなすラブサスペンスだ。平凡な会社員を装う光弘は元ヤクザ、ごく普通の主婦として暮らす咲奈は若き敏腕社長。互いに素性を隠したまま結婚し、幸せな日々を送っていた二人だったが、相手の浮気を疑ったことから、それぞれが殺害計画を企てていく。
本作で初共演を果たすのは、吉野北人と鈴木愛理。吉野はTHE RAMPAGEのボーカリストとしてデビューし、2025年からは「HOKUTO」名義でソロアーティストとしても活動中。一方、鈴木は℃-uteを解散後、2018年からソロアーティストとして活動している。
グループとソロ、その両方で活動してきたアーティストである二人。その中で、「本来の自分の姿」や「自分らしさ」とどのように向き合ってきたのか? グループとソロで感じる自分の役割や意識の違い、そんな中での自分らしさの伝え方、「本当の自分」との向き合い方を語ってもらった。
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グループでの自分とソロでの自分、どちらが本当の姿?
―本作は、お互いに秘密を持った夫婦が、勘違いから殺し合いにまで発展するストーリーです。お互いに自分の素性を隠して結婚生活を送っていますが、まずこの二人の人物像にそれぞれどのような印象を抱きましたか?
鈴木:私が演じた咲奈ちゃんは、孤独の辛さや一人の苦しさを知っているからこそ、一人の人をまっすぐ愛する人なので、愛情が空回りしてしまうのもちょっとわかるというか。やると決めたらしっかり遂行する正義感の強いところもあって、かっこいい女性だなと思いました。
吉野:光弘もすごくまっすぐで、信念があって義理堅いですよね。そういう人としての強さはありつつも、繊細だったり不器用だったりする部分もあって。すごく人間味のある人だなと感じました。

―吉野さんはTHE RAMPAGEに所属しながらソロでの活動も広げ、鈴木さんは℃-uteを解散してからソロで活動されていらっしゃいますが、グループにいる時とソロでの「自分らしさ」について、役割や意識の差はありますか?
吉野:グループはちゃんとコンセプトがあって、そこに向かって活動していますが、ソロは自分がやりたいことを自由にやらせてもらっているのでまったく別物ですね。THE RAMPAGEにいる時の自分とソロの自分も、全然違うなと思います。THE RAMPAGEで歌っている時はどちらかというと眉間にグッと力が入っている感じというか。でも、ソロの時はふわふわしているかも。

THE RAMPAGEのボーカル。2014年『VOCAL BATTLE AUDITION 4』を経て、2017年にメジャーデビュー。⽢い歌声に加え⾼い演技⼒も兼ね備え、近年では俳優としても精⼒的に活動。主演映画『遺書、公開。』など話題作に出演している。昨年2025年には「HOKUTO」名義でソロデビューを果たし、写真集『Orange』でオリコン1位を獲得。瑞々しい表現⼒で、⾳楽・俳優・モデルと多⽅⾯で活躍している。
鈴木:どっちが本当?
吉野:どっちも本当。いや、でもソロなのかなあ。
鈴木:私もソロの時かなあって思う。振り返ると、グループで活動していた時は驚くぐらい喋らなかったんですよ。自分の本当の気持ちはお母さんにしか話していなかったし、話し合いもめっちゃ苦手で、絶対に挙手しないタイプでした。
ソロデビューする時も、スタッフさんから「鈴木はMCができないので心配」って言われていたんですけど、今は逆に「喋りすぎてライブが押すのが心配です」って言われているくらい(笑)。だから、ソロになってから本来の自分を取り戻せている感じがしています。小学1年生ぶりに「これが本当の自分なのかな」って確認作業に入っている感じですね。

2002年にハロー!プロジェクト・キッズに選出され、℃-uteやBuono!のメンバーとして圧倒的な歌唱⼒とパフォーマンスで国内外の⽀持を集める。グループ解散後の2018年にソロデビューを果たし、⽇本武道館公演を成功させるなどボーカリストとして活躍。俳優として『ただいまって⾔える場所』で映画単独初主演を果たす。2026年4⽉1⽇にはwacci 橋⼝洋平が作詞・作曲を⼿がけたデジタル・ダウンロードシングル『嘘だよ』が配信された。
吉野:喋らなかったなんて想像できないです。二人で喋ってたら全然止まらないから(笑)。
鈴木:喋らないのはもう無理だと思います(笑)。でも、吉野さんもイメージとは違って意外と人見知りで。お会いする前はギラギラしたイメージがあったんですけど。
吉野:めちゃくちゃ人見知りなんです……。
鈴木:隣に座っているのに前だけ見て全然喋らなくて。でも打ち解けたら、すごくフランクで、穏やかで、ほわほわした方でした。
―吉野さんは鈴木さんの第一印象はいかがでしたか?
吉野:綺麗な人だなって。
鈴木:ねえ、今日どうした? 雨だから?
―(笑)。
吉野:(笑)。歌番組やドラマで僕の先輩後輩とも共演されていたので、一方的に見ていて、ちょっと強めの女性なのかなって思っていたんです。なんかこう……全部見透かされるような感じなのかなって。だから、ちょっと気が抜けなさそうだと思っていたんですけど、実際に会ってみると明るくて、すごく自然体に話してくださったので、僕自身も自然体でいられました。
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作ったり取り繕ったりしない。ありのままの「自分」を届けたい
―先ほど、吉野さんは「ソロのほうが自分かも」というお話をされていましたが、求められることを全力でやるTHE RAMPAGEと、すべてが自分軸で動いていくソロ、それぞれの活動にどのように向き合っていますか?
吉野:グループでもソロでも、何をするにしても、求められていることをやらないといけないと思っていますし、それが表現者としてすごく大事なことでもあると思うんです。そのうえで、ソロはより自分を表現することができるものだと思います。
でも、僕自身、THE RAMPAGEありきの自分だと思っていますし、「THE RAMPAGEの吉野北人」を好きになってくれるファンの方がベースにあるので、その方々を疎かにしたくないんですよね。だから、ファンの皆さんが求めているものをちゃんと考えながら、自分はこういうふうに表現しよう、という感じでバランスを取って活動しています。
―THE RAMPAGEの自分を土台としながら、ソロとグループの自分を行ったり来たりしているのですね。
吉野:そうですね。ソロは自分の好きなことをする表現の場ですが、それを充実させるためには、まずは土台である「THE RAMPAGEの吉野北人」をしっかりやりたいんです。それをファンの皆さんも見たいんじゃないかなと思っています。

―鈴木さんは℃-uteが解散してから、一度歌から離れることも考えたそうですね。現在は曲選びから衣装までセルフプロデュースをされるなど、活動にまつわるすべての決断を自分で下しています。自分で選ぶようになって、活動への向き合い方や意識に変化はありましたか?
鈴木:℃-uteにいた12年間は、自分の意思というよりも、「これを歌ってください」と言われるものの中で自分がどう表現するかだったんですよね。解散した直後は、0から1を生み出す時に自分の意見を言うことがわがままなことなんじゃないかと思って悩んだ時期もありました。グループの時よりは、自分の決断でいろいろなことが動いていくぶん、一喜一憂の波は大きいです。
でも、悲しみだけじゃなくて喜びも倍増しますし、改めて現場に足を運んでくれる人のありがたさを実感します。こうやってお話しすることもそうですし、自分の作るものや世に発信するものには、全部責任を持てるようにしておきたい。どれを深掘りされても「私です」と言えるように、嘘のない姿で出ていくこと──それこそがファンの方々に正面から向き合うということなのかなと思います。ファンの方への愛が相当重くなりましたね。たぶん迷惑なくらい重い(笑)。
―吉野さんも鈴木さんも、ファンの方とエネルギーを交換し合っているのですね。お二人はソロで活動をするうえで、どのように「自分らしさ」を伝えていますか?
鈴木:私は、家にいてもメディアに出る時も本当にこのままなんですよね。たまたまステージでスポットライトを浴びる仕事をしているというだけで、芸能人であるということが特別ではないですし、応援してくれる人や知ってくれている人が多いから私が何かに長けているわけでないと思っています。
生活の場がたまたま違っただけで、目線はファンの方々と同じというか。私自身がこのまま素直でいることが、自分らしさや生きやすさ、ファンの方々と同じ目線で愛を交換できる関係に繋がっている部分だと思います。
吉野:僕も似ているかもしれないです。ステージで歌っている時は、音楽をしっかり表現したいので、素の自分とは違いますが、それ以外の自分に差はないです。作った自分を演じるのはすごく疲れてしまうので、変に取り繕ったりはせずに、なるべく自然体の自分を好きになってもらえたらいいなと思っています。だから、「これが僕ですよ。それでも好きですか?」っていうスタンスでいますね。
鈴木:吉野さんはめちゃめちゃスイッチがあるタイプなのかなって思っていたから意外でした。「アーティスト吉野北人」みたいなのがあって、それを脱ぐと素の吉野さんが出てくる、みたいな。
吉野:ないない(笑)。
