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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

奇妙礼太郎×TENDREが紡いだ一夜をレポ。「KLEW」を使った新しい交流の形

2026.3.19

KLEW

#PR #MUSIC

2025年1月からコンスタントに開催されている音楽イベント『StoriAA』。その最新公演として、奇妙礼太郎BANDとTENDREによるツーマンライブが、3月5日(木)に東京・SHIBUYA CLUB QUATTROで開催された。

『StoriAA』は、リアルとデジタルの両方を横断しながら、参加アーティストとオーディエンス一人ひとりの心に新しい「物語」を生み出す場としてスタートしたイベントシリーズだ。たとえば、オープニングアクトにiVyを迎えたkurayamisakaとTHE NOVEMBERSのツーマン(渋谷WWW X)や、Base Ball BearとPEDROのツーマン(Spotify O-EAST)など、主催側が「この組み合わせだからこそ観てほしい」と考える出演者同士の出会いを丁寧に設計しているのも特徴のひとつである。そして、その理念をさらに拡張する存在として導入されているのが、コミュニケーションサービス「KLEW」だ。

会場は新代田FEVERからLINE CUBE SHIBUYAまで、場所もキャパシティも様々。他にも過去には堀込泰行×スカートなどが開催された

来場者はチケット購入後、チケット画像をKLEWにアップロードすることで各公演のチャンネルに参加できる。そこは出演アーティストとチケットホルダーだけが集うクローズドな空間であり、同じライブを共有する人たちだけが言葉を交わせる場でもある。ライブ前の高揚感を分かち合ったり、終演後の興奮を持ち寄ったり、さらにはアーティストを直接支援できる「スーパーメッセージ」(投げ銭機能)を送ることもできる。さらに、終演後には「参加の証」としてKLEW上でバッジが発行されるのも、この場ならではの仕掛けだ。

KLEWとは:同一公演のライブチケットを保有するファン同士やファンと出演するアーティストだけがデジタル上でコミュニケーションを取れる国内初のプラットフォームとして2024年11月にリリースされた(詳細はこちら)。

KLEWの画面上で開演前から始まっている交流。アーティスト本人の登場も

この日のイベントでも、TENDREはライブに先立って奇妙礼太郎との共演に向けた意気込みを書き込み、奇妙のマネージャーも物販情報を写真付きで投稿していた。

ファンからも「今日初めてTENDREのライブ観ます! ずっと観たかったので楽しみー!」「もう30回以上は見ているかな? ガチ勢です。そして、変わらず、そこに愛と優しさが存在していて、幸せな気持ちになります」といった熱い声が寄せられていた。開演前から少しずつ膨らんでいく期待感を、アーティストと観客が同じ場所で共有していることが、すでにこのイベントの大きな魅力になっている。

「やらしてもらいますわー!」

満面の笑みでそう叫び、この日のイベントの幕を切って落としたのは奇妙礼太郎。CHIE HORIGUCHI(Gt)、中込陽大(Pf)、松浦大樹(Dr)、村田シゲ(Ba)というおなじみのバンドメンバーを率い、まずはエディット・ピアフの名曲“愛の讃歌”を披露した。続く“散る 散る 満ちる”は、音楽活動25周年となった2023年にリリースされた、菅田将暉とのコラボシングル。ミドルテンポの柔らかなグルーヴの上で、ベースはメロディックにうねり、どこかオリエンタルな旋律をいっそう際立たせていく。ときおりシャウトを交えながら放たれる奇妙のハイトーンボイスは、ソウルフルでありながらどこかイノセントで、同時にパンクな衝動も宿していた。

「ちょっと、やらせてもらうわー」

曲間のたびにそんなひと言を差し込み、客席の笑いを誘う奇妙。その軽妙な空気のまま届けられたのが“エロい関係”だ。曲名だけを見れば刺激的だが、そこにあるのは露骨な描写ではない。<二人にしかわからない言葉で話をしよう><わかりあったらサヨナラ><傷口にキスをした とてもしつこく>──そんな言葉たちによって、親密さや危うさ、そして官能が静かに、詩的に浮かび上がってくる。しかし奇妙礼太郎のライブは、それだけでは終わらない。曲の最後には「エロい!」のコール&レスポンスが始まり、「エロい関係、やってるかい?」という呼びかけに客席が大歓声で応える。楽曲の持つ妖しさと、会場に漂う親しみやすさが、不思議なバランスで共存していた。

続く“Marriage”では、会場が一体となったシンガロングが巻き起こる。奇妙の笑顔につられるように、オーディエンスもまた満面の笑みで声を重ねていく。その光景を見渡しながら、奇妙は「おー、みんな可愛いねえ!」と叫ぶ。ステージとフロアのあいだにポジティブなバイブスが何度も往復するような、至福のひとときだ。

松田聖子の名曲“Sweet Memories”では、シンプルながら骨太なバンドアンサンブルを従え、エモーショナルかつソウルフルに歌い上げる。さらに、TBSドラマストリーム『終のひと』の主題歌として書き下ろされた新曲“愛がすべてのこと”を披露。ブレイクでは客席も自然にハンドクラップで参加し、バンドの演奏が生むしなやかなうねりの中で、会場全体が心地よく揺れていく。

その流れのまま届けられた“わたしの歌”では、オーディエンスが両手を上げて応えると、その光景を見た奇妙が「みんなかわいいね、ミッフィーみたい。ミッフィー!」と叫び、自ら両手を高くまっすぐ上に掲げて、耳のような仕草を見せる。すると客席も一斉にそれに倣い、会場はたちまち“ミッフィーだらけ”の状態に。そのあまりに愛らしい光景に、奇妙自身も大ウケしていた。

間髪入れずにウォーキングベースが繰り出されると、自然発生的にハンドクラップが巻き起こり、そのまま雪崩れ込んだのは、奇妙礼太郎の代表的なカバーでもある“オー・シャンゼリゼ”。ところが冒頭、奇妙はそのコード進行に乗せて、エルヴィス・プレスリー“Love Me Tender”のメロディを歌い出す。もちろん、これはこのあとに控えるTENDREへのラブコールでもあるのだろう。遊び心たっぷりの導入から始まり、鮮やかな祝祭感を次第にまとっていく。さらに〈みんなが集まる あのクラブ〉のフレーズを〈みんなが集まる 渋谷クラブクアトロ〉と歌い替えると、客席からは大きな歓声が上がった。

奇妙礼太郎BAND / 左からCHIE HORIGUCHI(Gt)、松浦大樹(Dr)、奇妙礼太郎、中込陽大(Pf)、村田シゲ(Ba)

後半はTENDREが登場。奇妙礼太郎のステージを受けた内容に

熱気が冷めやらぬなか、続いて登場したのは、もちろんTENDREこと河原太朗。バンドメンバーは越智俊介(Ba)、MELRAW(Sax / Gt)、Kaya(Cho / Sampler / Syn / Gt)、そして奇妙礼太郎BANDに続いて松浦大樹(Dr)が参加。奇妙が直前に客席を沸かせた「ミッフィー!」のくだりをさっそく拝借し、両手を上げた河原が第一声で「ミッフィー!」と叫ぶと、会場はたちまち大盛り上がり。そのままライブは“LIFE”からスタートした。

バンド編成で登場

最初の一音が鳴らされた瞬間、サウンドの重心がグッと下がるのを全身で感じる。音数を絞ったタイトなドラム、重低音を響かせるベース。その上で河原はエレピを刻みながら、身体を揺らしつつ、おおらかに歌声を乗せていく。ブレイクではハンドクラップが生まれ、後半では河原のスキャットにMELRAWがユニゾンで重なり、フロアをゆっくりと温めていく。奇妙礼太郎BANDとは異なるアプローチながら、フロアの高揚感を自然に受け継ぐ幕開けだった。

「よろしくお願いしまーす!」

河原の軽やかな挨拶に続いて披露されたのは“DRAMA”。軽快に弾むリズムの上で、松浦はパッドも交えながら、生の質感とエレクトロニックな手触りをしなやかに混ぜ合わせていく。Kayaのコーラスワークも絶妙で、ハーモニーを添えたり、掛け合いでメロディを押し出したりしながら、楽曲の輪郭を立体的に際立たせる。

Kaya(Cho / Sampler / Syn / Gt)
越智俊介(Ba)
MELRAW(Sax / Gt)

続く“DISCOVERY”は、ヘヴィかつプログレッシブな展開と、ダブを取り込んだドープなサウンドで意識を異次元へと吹き飛ばす。濃密なグルーヴの中で、MELRAWがエモーショナルなギターソロを響かせ、フロアをさらに深い場所へと引き込んでいった。

「今日はいろんな曲を持ってきました。みなさん、好き好きに持ち帰ってください」

そう告げて披露されたのが“SKIN”。Kayaのオクターブユニゾンが心地よいメロディに鮮やかな輪郭を与え、転調を重ねながら楽曲はしなやかに進んでいく。“LULLABY”は、軽快なエレピのバッキングとひねりの効いたコード進行が、どこかベニー・シングスやPrefab Sproutを思わせる。滑らかに跳躍するメロディを、河原のシルクのような歌声が優しく広げていく。歌そのものが楽器になったようで、音の一つひとつが身体の細胞の隅々にじんわりと染み渡っていくようだった。

“DOCUMENT”では、印象的なエレピのオブリガートが鳴った瞬間、フロアの空気がふっと沸き立つ。優しくつまびくように鍵盤に触れたかと思えば、次の瞬間には強く叩きつけるように音を放つ。その強弱のコントラストに呼応するように、バンドの演奏もまた静と動をダイナミックに行き来していた。

イベントも終盤へ。最後はこの日だけのコラボレーションも実現

ここで空気をがらりと変えたのが“情けない日々、わたし”。エレピを軸にした弾き語りに、Kayaのコーラスと越智のベースが控えめに寄り添う。シンガーソングライターとしての色合いが濃いアルバム『TENDRE』の中でも、とりわけ内省的な響きを湛えた一曲だ。どこかゴスペルの感触も漂わせながら、静かでありながら荘厳な世界を立ち上げていく。その響きは胸を打ち、ジュディ・シルを思わせるようなホーリーな感覚も宿していた。

「残り2曲です」

そう告げて始まったのは“hanashi”。イントロが鳴った瞬間、客席から歓声が上がる。手拍子が自然に広がり、レイドバックしたドラムのうねりの上で、MELRAWはディレイを効かせたギターを響かせる。ネオソウル的な質感を持つこの曲は、終盤に向かうにつれてさらに熱を増していき、エンディングではリズムがスウィングしたり、フィルが細かく乱れ打たれたり、倍テンにもハーフタイムにも感じられるようなスリリングな展開を見せる。「最後は踊って帰りましょう」と言って“RIDE”へなだれ込むと、フロアは大きく揺れ、オーディエンスは手を高く掲げて応える。ミラーボールの光も相まって、会場はまるでダンスフロアのような熱気に包まれた。

鳴り止まぬアンコールに応えて再びステージに現れたTENDREとバンドメンバーのもとへ、奇妙礼太郎も再登場。最後に披露されたのは、尾崎紀世彦の“また逢う日まで”だった。晴れやかで力強いこの名曲をカバーし、サビではオーディエンスも大きな声でシンガロング。会場全体がひとつの歌を分かち合うような、あたたかな一体感に包まれた。

奇妙礼太郎BANDとTENDRE。アプローチは異なりながらも、どちらのステージにも共通していたのは、圧倒的な多幸感と高揚感、そして自然と笑みをこぼさせるような親密さだった。「音楽って素晴らしい」。そんな月並みで、けれど何より本質的な思いが、あらためて全身に行き渡っていくようなツーマンイベントだった。

TENDRE / 左からKaya(Cho / Sampler / Syn)、越智俊介(Ba)、河原太朗、松浦大樹(Dr)

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