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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

成人ミュージシャン、駄菓子とじょうせんで夏を思い出す

2026.8.28

#OTHER

「やったことないことをやると、やったことないことが減るので、たまにはやったことないことをやると良いかもよ」。そう語るミュージシャンのRachelさんが、何気ないことからムチャ振りまで「やってみる」エッセイ連載。第1回は、幼少期にやった遊びに全力で取り組んでもらいました。

みんな、あの頃なにやってた?

担当編集氏に「やってみて」と言われたことをやってみて、その様子を書きみんなに見せる企画『やってみて、イェイ』。

今回の企画は「子どもの頃にやった遊びを全力でやる」です!

みんな、なにやってた? 私は体を動かすのが好きな子どもだったので鉄棒やどろけい(けいどろという地域もあるね)、ボール蹴りやドッジボールが大好きでした。鉄棒ってあれやばいよね、棒3本立ってるだけなのに何時間も遊んでたな。

特に好きだったのが足の間に鉄棒を挟んでグルグル回る「方位磁針」という技。立てなくなるまでやってたな。人の親になった今思うのは、「それ子どもがやってくれてたら楽だな〜」ということ。勝手に疲れてくれるのが一番楽。ほっといたら回ってんだもん。それがいいよね。すごい遊具だわあれ。

でもね、あたし、33歳。季節、夏。鉄棒は、もうできないよ。できたとしても、熱中症になっちゃうよ。ちゃんと危ないです。今の私が公園でできるのは、日が沈んだ後に缶チューハイ飲んで蚊に刺されながらくだを巻くことくらい。しかも、蚊に刺されたところは全然治らない。残念だけどこれが現実だよ。

夏のあたし(著者近影)

ということでもう少し記憶を探ってみる。室内でだって遊んでたはずだよね。ゲームボーイアドバンス以外だと何で遊んでたかなあ、と考えて閃いた!

そうだ、「じょうせん」だ!

知らない人のために説明するね。「じょうせん」は「定規戦」の略で、机の上でやる対戦型ゲーム。ペンで定規を弾いてぶつけ合い、机から出ちゃったら負け。相手の定規の上に自分の定規を乗せて、相手が3回弾くまでに出られなかったらそれも相手の負け。他にもローカルルールはたくさんあるかもだけどざっくりそんな感じ。

このゲーム、めっちゃ盛り上がるんだよな。みんなで遊べるし、机のスペースがある限りは何人でも遊べるから雨の日とか短い休み時間によくやってた。よし、あれをやろう!

お菓子にもClassicはある

ということでさっそくじょうせんを一緒にやってくれる仲間を探す。インスタストーリーの親しい友達で呼びかけるとそもそも「じょうせん」を知ってる人はかなり少なそうだった。これは意外。関東の一部のエリアや世代しか知らない遊びなのかも。どうしよっかなぁ、誰ならやってくれそうかなぁと思った時に「懐かしい!」とメッセージを送ってくれたのがユカ(友達)。ユカとは飲む予定があったのでそのときに「今度じょうせんやらない?」と誘ってみると、なんと快諾。ユカは2児の母だけど、忙しい隙間を縫ってうちまで来てくれた。

「子どもの頃好きだったお菓子を買っていこう」となり、コンビニで買い物。カゴを持つという行為にすら「大人」を感じる。カゴが必要なくらい色んなもの、買えなかったもんなぁ。2つ3つのお菓子を何分もかけて見比べて、1つを選んでたな。

「これ好きだったわー」「甘いのもいっときたいよねー」と言い合いながらお菓子をカゴに入れていく。「蒲焼さん太郎」「ヤンヤンつけボー」「タラタラしてんじゃね〜よ」……私たちの子ども時代を彩ってくれたお菓子たちは今も変わらずそこにいた。お菓子にもClassicはあるんだ。かっけえな。

classic

帰ってきて机に並べてみると錚々たるメンバーだった。それらをつまみながら「これお酒が欲しくなる味だな〜」なんて盛り上がる。一息ついて、じょうせんを始めることに。私は100均で買った定規セットで挑む。

ユカは娘さんの小学校で使っている現役の定規を持ってきてくれた。それはアルミ製の軽い定規で、ミゾというミゾが黒く塗りつぶされていた。「わかる〜!」と爆笑。なんで子どもって塗りつぶせそうなところを見つけるとすぐ塗りつぶすんだ? 30cm定規のすこし窪んだ箇所もえんぴつでグリグリしていたことを思い出した。なんなら、ノートのページの間とかも塗りつぶしてなかった? 現役小学生のバイブスを感じながらルールの確認をし、20年(以上?)ぶりのじょうせんスタート。

ミゾ定規

大人2人、定規に真剣

ジャンケンで勝ったユカから第1投。不発。これが面白い。ペンと定規の特性を見て弾いていくのだが、この定規とペンでやったことがない我々はなかなかうまく弾けない。それでも何巡かして軌道に乗ってくる。「あー、ここ弾くと勢いがでるのね」「こっちの定規軽いから、ぶつけると逆に飛ばされて不利なんだ」とお互いの定規の特徴を掴んでいく。思ったより飛んだり、定規の上に乗っけたのに脱出されたりしてめちゃくちゃ盛り上がる。

最初のバトルはユカの勝利。ちゃんと悔しくてそれにもウケる。次のバトルはユカが飛ばしすぎて自爆し、私の勝利。勝った気がしないけどこういうこともある。定規を交換したり、三角定規や分度器にしたりしてそれぞれのプレイスタイルを探っていく。

choose character

「私は勝てそうになると焦って強く弾いちゃって、結局負けるんだなぁ」とか、「分度器はひっくり返すと滑り方が変わってめっちゃ強くなるね」とか真剣に話し合いながら何度か試合をした。勝敗を数えたわけじゃないけど実力は互角か、ユカのほうがちょっと強いような気がした。

好敵手・リカックス、登場!

少し落ち着いてきた頃に「てかこれって3人でやったらもっと面白いよね」となり、ダメ元で友達のリカックス(Licaxxx)を呼ぶ。リカックスもじょうせんを知っていたようで「懐かしい! 行く!」と駆けつけてくれた(いいやつだな)。

3人でじょうせんを開始したが、これがまぁ盛り上がった。リカックスはボールペンの上の押し込む部分を弾いて飛ばす技の使い手だった。「それやってるやついた〜!」と大盛り上がり。リカックスだって20年ぶりくらいのはずなのに、やるな。

ボールペンを使いこなすリカックス

最初こそ勝てたものの、そのあとはリカックスにボコボコにされた。じょうせんが上手い友達、いたんだ。リカックスがくれた小さいクーリッシュを食べながら談笑して、最後にひと試合。

最後の試合は、リカックスの定規の上に私とユカの定規が乗っかってもう絶対勝てるだろ! という形になったのに見事に脱出され、そのまま2つともテーブルの外に落とされて、リカックスが勝った。強すぎないか?

そうこうしてるうちに夕方5時のチャイムが鳴ったのでみんなは帰ることになった。外はまだ明るくて、その感じがあまりにも夏休みすぎてみんなが帰るのがとても寂しかった。どこかに出かけるのもいいけど、こんな些細なことでひと夏の思い出って作れるんだね。

ただの定規に見えるけど、一番熱い盤面

この夏、何やろうかな。全部やりたいな

1人になった家がやたらと静かに感じた。またやろうね、と2人にLINEをして少し寝っ転がる。こんなことなら、海行ってかき氷食べて『AIR』一気見して『FFX(FINAL FANTASY X)』をクリアして山行って川行ってプール行って映画館行って宿題だって全部やってしまいたいなと思った。

私は何したってなんとなく疲れている33歳の女性と思ってたけど、これからまたなんかやれそうな気持ちになったし、この夏はまだ何かが起こりそうだと期待するのは本当に久しぶりだった。

ユカもリカックスも私もお酒を飲むので「お酒なくてもいいね〜!」「こんな楽しいしまたやろう!」と言い合ったけど、きっとまたお酒を飲むし二日酔いにもなるだろう。どうせ予定も全然合わないし、「またやろう」の「また」が2年後だったり、20年後だったりするのだろう。

机の周りには買ってきたけどぜーんぜん食べれなかったお菓子が残っていて、大人になるってそういうことだなって思ったよ。それも悪くないなって思えたよ。じょうせん、やってみてイェイでした。また、やろう。

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