墨田区が主催する芸術祭『すみだ五彩の芸術祭』が9月4日(金)から12月20日(日)まで開催される。
区が数ヶ月にわたって主催する総合的な芸術祭としては、23区初となる同イベント。「発気揚々」をコンセプトに、区内の50ヶ所以上で100を超えるプログラムが順次行われる予定となっている。会期中には、土地の記憶を呼び起こすダンスの新作公演、福祉の現場と共鳴する演劇、まちなかを舞台とする没入型演劇ツアー、下町人情あふれる喜劇など、墨田区ならではの資源を活かした作品群が展開される。神野真吾がエグゼクティブディレクターを務め、青木彬、荻原康子、清宮陵一、三田大介がディレクターを担当している。
荻原康子(すみだ五彩の芸術祭ディレクター) コメント
隅田川沿いは古よりさまざまな物語が育まれ、江戸庶民が芝居や花見、花火に興じ、震災と戦災を経ながらも、土地に蓄積された文化が人々の心の糧となってきたまちです。地域資源を扱う本芸術祭では、すみだの地に語り継がれてきた伝承に斬新な観点と手法でアプローチするダンスや演劇を創作し、人生の営みに通底する表現の技術を問い、日常に溢れる人々の滑稽さや愛おしさを舞台上で描きます。一期一会の実演芸術、その醍醐味を存分にお楽しみください。
同イベントのオープニングを飾るプログラムのひとつは、9月4日(金)から6日(日)にすみだパークシアター倉にて行われる、振付家・ダンサーの山崎広太が手掛ける『梅若はまだ帰らない。<戯曲ダンス版>』。日本の「舞踏(Butoh)」と西洋の「バレエ・コンテンポラリーダンス」を融合させた独自の世界観により国内外で高い評価を得ている山崎が、墨田区に古くから伝わる梅若伝説を下敷きに新たな舞台を創作する。

郡司ぺギオ幸夫 (天然知能研究者) コメント
モノと肉体を融合させたかと思うや、それを打ち捨て、否定する。激しい動きが突然完結し、肩を組んで暗号を吐きながら、永遠に歩いていく二人を感じさせながら、崩れるように離れていく。着用しなければ危険な惑星に降り立つように、突如、トウシューズを履き、つま先立ちのまま他方の太ももを胸につけるように伸長し、ダンスにならないダンスをする。これぞ、ダサカッコワルイ・ダンス!
9月11日(金)から13日(日)には、同じくすみだパークシアター倉にて、ハイドロブラスト / 竹中香子による『ケアと演技』が上演される。実父の生活に10年余り寄り添った在宅介護チームの「ケアの技術」に感銘を受けた竹中が、高齢者福祉施設でのアーティスト・イン・レジデンスを経て創作した、福祉と表現が交差する演劇作品となっている。演劇の上演にとどまらず、アートや福祉に関わる人々が問いを持ち寄りともに学ぶワークショップやトーク、鑑賞対話からなる思考と実践の場「ラーニングルーム」も同時開催予定。

また、演出・照明デザインの植村真と作曲・サウンドデザインの増田義基を中心に活動する「謎音研究所」による、参加者自身のスマートフォンを用いて街を歩く没入型のツアーパフォーマンス『謎音-忘却の川-』が10月16日(金)から11月1日(日)にかけて開催される。墨田区鐘ヶ淵の地名の由来とされる「沈鐘伝承」を手がかりに、鐘が担う「災害を知らせる存在」という象徴性をベースに据え、関東大震災や戦禍、水害など土地に刻まれた記憶を「原因不明の音(=謎音)」が引き起こす現象として再考し、参加者を重層的な物語の只中に引き込んでいく。

『梅若はまだ帰らない。<戯曲ダンス版>』、『ケアと演技』、『謎音-忘却の川-』は、各サイトにてチケットが発売中。
さらに、12月19日(土)と20日(日)には、立川志の輔による創作落語をベースに、墨田区を拠点に活動する劇団扉座主宰の横内謙介が「特別編」として脚色・舞台化した、劇団扉座 『「歓喜の歌」~すみだ特別編~』が曳舟文化センターにて上演される。年の瀬のとある会館で起きた、別々のママさんコーラスグループによるダブルブッキングの大混乱と、下町人情キラキラ橘商店街の年末くじ引きのドタバタを描くエンターテインメント作品で、コーラス隊には公募によって集まった墨田区民が実際に登場。2016年の初演でダメ職員を演じた六角精児も出演する。

『すみだ五彩の芸術祭』
テーマ: すみだの五彩
コンセプト: 発気揚々(はっきようよう)
エクゼクティブディレクタ―:神野真吾
ディレクター:青木彬、荻原康子、清宮陵一、三田大介
会期:2026年9月4日(金曜)~2026年12月20日(日曜)
定休日:原則 月曜・火曜(定休日が祝日の場合は開催)
会場:
鐘ヶ淵全域、旧隅田小学校体育館、錦糸町周辺、コミューンX、白鬚東アパート周辺、隅田川テラス、墨田区社会福祉会館、墨田区曳舟文化センター、すみだ生涯学習センター(ユートリヤ)、すみだトリフォニーホール、すみだパークギャラリーささや、すみだパークシアター倉、立花大正民家園 旧小山家住宅、タロハチ、地域活動支援センター Connect Base すみだ、千葉大学墨田サテライトキャンパス、東武博物館、ノウドひきふね、曳舟~東向島の街なか、北條工務店となり、両国周辺ほか(五十音順)
参加費:無料(一部施設・イベントを除く)
主催:「すみだ五彩の芸術祭」実行委員会、墨田区
共催:「隅田川 森羅万象 墨に夢」実行委員会〈公募プロジェクト〉
令和8年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業