クリストファー・ノーラン監督の最新作『オデュッセイア』が、9月11日(金)にいよいよ日本上陸を果たす。
原作は、紀元前に書かれたホメロスの英雄叙事詩。モンスターや魔法が当たり前に出てくる世界観なら、最新CGをフル稼働させるのがハリウッドの常識だろう。だが、CGを嫌うノーラン。可能な限りCGを排除するというこだわりを見せつけている。

思えば彼は、『ダークナイト』(2008年)で巨大トレーラーをひっくり返し、『インセプション』(2010年)で回転するホテルの廊下を巨大セットで作り上げ、『TENET テネット』(2020年)で本物のジャンボジェット機を建物に激突させた、生粋の実写フェチ。同作の予告映像だけでも、その常軌を逸したスケールは一目瞭然だ。
荒波を突き進む木造船は、本物のバイキング船。俳優たちを極寒の海に放り込み、リアルな大自然の脅威に晒しながらカメラを回している。海面にポッカリと口を開ける超巨大な渦潮シーンも、実際の船の真横で複数の水上バイクを勢いよく旋回させ、物理的に本物の渦潮を発生させた。有名なトロイの木馬にしても、車輪を持たない巨大な実物を建造し、高い丘の上へと力技で引きずり上げている。
ギリシャ軍がトロイアの街を焼き払い、女神の像の首をはねて略奪の限りを尽くすシーンでは、約1メートルの特注LEDパネルを1000台以上配置。炎の不規則な揺らめきをプログラミングしてセット全体を照らし出すという、デジタル合成とは違うアプローチで火の海を表現した。極めつけは、洞窟に潜む一つ目の巨人だろう。普通なら迷わずCGとモーションキャプチャーに頼る異形のモンスターだが、なんとこれも巨大な操り人形と昔ながらのワイヤーアクションを駆使して、現場で動かしている。
さらに同作は、史上初となる全編IMAXフィルムカメラでの撮影を敢行。俳優の顔に深く刻まれたシワ、潮風に晒された鎧の傷、炎が放つ熱気が、この上なく高精細な映像でフィルムに焼き付いている。
とはいえ、大きすぎる動作音を立てるIMAXカメラを、静かな会話シーンで回すのは至難の業。現場には装甲車のような巨大防音カバーが持ち込まれたという。他にも、カメラが巨大すぎて俳優同士が目を合わせられないという問題には、カメラの周りに鏡を配置して視線を確保するという、あまりにもアナログな方法が採られた。

限界まで追い込まれた俳優たちのリアルな疲労感や、大自然の猛威に耐える肉体。そこには、どんな最新CGでも描けない圧倒的な生々しさがある。もはや我々は、安全なシートに座って神話をのんびり楽しむ傍観者ではいられない。オデュッセウス(マット・デイモン)のすぐ隣へ強引に放り込まれ、冷たい波しぶきや潮の匂いまで錯覚するような極限のサバイバルを味わうことになるだろう。
物語の枠すら飛び越えて、画面からあふれ出す実物の手触りを観客の五感に直接ぶつけること。それこそが、ノーランが全編IMAXという狂気の手段を選んだ最大の理由だ。CG全盛の時代にあえて逆行するこの途方もない映像体験が、間もなく訪れる。
映画『オデュッセイア』

■ タイトル:『オデュッセイア』
■ 公開日:9 月 11 日(金)全国ロードショー
■ 配給:ビターズ・エンド ユニバーサル映画
■ コピーライト:© 2026 UNIVERSAL STUDIOS
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
ホメロス「オデュッセイア」に基づく
製作:エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
エグゼクティブプロデューサー:トーマス・ヘイスリップ
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
プロダクションデザイン:ルース・デ・ヨンク
編集:ジェニファー・レイム
音楽:ルドウィグ・ゴランソン
VFXスーパーバイザー:アンドリュー・ジャクソン
特殊効果スーパーバイザー:スコット・R・フィッシャー
衣装デザイン:エレン・マイロニック
出演:マット・デイモン、トム・ホランド、アン・ハサウェイ、ロバート・パティンソン、ルピタ・ニョンゴ、サマンサ・モートン、ゼンデイヤ、シャーリーズ・セロン
配給:ビターズ・エンド ユニバーサル映画
2026/アメリカ/英語/172分/カラー/日本語字幕:アンゼたかし/吹替翻訳:木村純子/字幕・吹替監修:藤村シシン/原題:The Odyssey/G区分
9月11日(金) 全国ロードショー
2D(字幕/吹替)、IMAX®(字幕)、DolbyCinema®(字幕)、
4DX(字幕/吹替)、MX4D®(字幕/吹替)、35mm(字幕)の全6種9バージョンで公開
イントロダクション
映画を塗り替えろ。すべての映画が過去になる。
クリストファー・ノーラン最新作。集大成にて最高傑作。
アカデミー賞®最多 7 部門受賞『オッペンハイマー』クリストファー・ノーラン監督が映画史上初となる全編IMAX®撮影、史上最大のスケールで描く、エンターテインメント超大作。2800 年の時を超え、語り継がれてきたすべての物語の原点「オデュッセイア」、そしてノーランにとっては 20 年越しの念願の映像化となる。
マット・デイモン、トム・ホランド、アン・ハサウェイほか全員主演級のオールスターキャスト出演!
神々の怒りを買った英雄。一つ目の巨人、魔女、海の怪物――愛、欲望、裏切り、復讐―全てのエンターテインメントの要素が詰まった究極の超大作が誕生した。
ストーリー
かつてない映画体験。すべてはこの物語から始まったー壮大なる旅路と帰還の物語
トロイア戦争の終結後、イタケの王、オデュッセウスは、家族の待つ故郷へ帰還を目指す。しかし彼の前には、神々の介入、怪物、そして荒れ狂う海など容赦ない試練が立ちはだかる──。
「必ず、帰る。」マット・デイモン演じるトロイア戦争の英雄オデュッセウスの 10 年に及ぶ壮大な故郷への帰還の旅、圧巻の映像美でお届けする愛と勇気の物語。
かつてない映画体験―これは観る映画ではない。あなたがオデュッセウスと共に“帰るべき場所”を問う究極の旅だ。