ルクセンブルク、日本、フランス、イタリアの4カ国共同製作映画『AMA(仮題)』の制作が決定した。
原作は、外務省主催の『第15回日本国際漫画賞』に入賞したフランス発のグラフィックノベル。1960年代の石川県・舳倉島(輪島)を舞台に、都会で居場所を失った主人公が、たくましく生きる海女の叔母や島の人々と出会い、自らの生きる道を模索していく姿を描く。

都会での暮らしや周囲になじめず居場所を見失っていた20代の女性・平野渚を藤野涼子、厳しくも豊かな海とともに生きる叔母の舟冨梢を尾野真千子が演じる。過去の出演作で同一人物の過去と現在を演じた経験を持つ二人が、同作でついに本格的な初共演を果たす。監督は、フランスを拠点に活動する河村勇樹が務める。


同作の撮影は全て日本で行われており、8月30日(日)にクランクインを迎えた。京丹後市や舞鶴市に残る漁村の風景を活かして当時の舳倉島を再現しているほか、輪島の海女漁保存振興会の全面協力を受け、実際に輪島の海での水中撮影も予定されているという。
発表とあわせて、キャスト・スタッフによるコメントも公開された。
藤野涼子 コメント
本作は日本と海外との合作ということで、言語もそれぞれに異なる海外クルーが集まりました。
ひとつのシーンに言語の壁を越えて全員が集中して取り組んでいる姿を見て、私も、この美しい海と景色が広がる中でこのチームと作品に向き合っていけるのかと思い、胸が高鳴りました。言葉が通じなくても、一つの作品を作るという思いを共有することで、みんなのエネルギーが一つに集まり、よりパワフルになっていく感覚があります。スタッフ、キャストみんなで力を合わせて、素晴らしい作品を作っていきたいと思います。
尾野真千子 コメント
海女という今失われつつある文化、今後残していって欲しい、後世に語り継がれていって欲しいといういろんな思いがあり、この台本を読んだときに、これはやらなければいけない、伝えていかなければいけないと思いました。
その昔、こういうことをして私たちの生活は支えられていたと、いろんなことを伝えていかなければいけないなと感じた脚本でした。
私にとってこの作品はちょっとした使命という感覚で、尚且つ自分も楽しみながら、色々教えてもらいながらこの作品に挑みたいと思いました。
河村勇樹(監督) コメント
原作『海女』を読んだとき、初めて舳倉島の海女たちのことを知りました。
海とともに生きる女性たちの強さ、そして互いを支え合う女性共同体の連帯。その姿を、主人公・渚の視点を通してどのように描いていくのか。海女たちの息遣いや島の匂い、海での漁の緊張感まで、リアルにスクリーンに立ち上げることが、この映画をつくる上で大切だと感じています。素晴らしいキャスト、豊かな自然に囲まれたロケーション、そして国際色豊かなスタッフに恵まれ、これから撮影が始まります。
この場所で、この人たちと、この物語がどのような映画になっていくのか。まだ見ぬ景色に出会えることを楽しみにしながら、一つひとつの瞬間を大切に撮影していきたいと思います。
ジル・シャニアル(フランスプロデューサー) コメント
河村勇樹監督と私たちは、フランスのグラフィックノベルから生まれたこの物語が、日本でついに映画として動き出すことを、とても嬉しく思っています。共同製作会社である フラッグと Film Fund Luxembourg、文化芸術活動基盤強化基金(Japan Creator Support Fund)をはじめ、多くの皆さまの力に支えられ、この作品を実現できることを心から光栄に思います。
藤野涼子さん、尾野真千子さんをはじめ、経験豊かで才能あふれる日本のキャストの皆さんとこの作品を作れることを、私たちは大変嬉しく思っています。
日本の物語に、ほんの少しの「フレンチ・タッチ」を添えながら、海女たちが受け継いできた文化や精神、そして彼女たちの物語を、いま大きな変化の中にある世界へ届けられたらと願っています。
小田寛子(日本プロデューサー) コメント
母と娘、姉妹、叔母と姪――さまざまな関係で結ばれた女性たちと、世代を超えて受け継がれていく思いや生き方を描く物語に惹かれ、この作品への参加を決めました。
各撮影地の皆さまをはじめ、本当に多くの方々に支えていただき、ようやく撮影開始を迎えられたことを感慨深く思います。
準備を進める中で輪島の海女の皆さんに何度もお会いし、仕事への誇りと、気さくでユーモアにあふれたパワフルな人柄に、どんどん惹かれていきました。海女たちの魅力が、世代も個性も異なる素晴らしいキャストの皆さんを通してどのように表現され、藤野さん演じる渚の目にどう映るのか。そこに世界各国から集まったクルーの感性が加わることで、どのような化学反応が生まれるのか、とても楽しみにしています。
『AMA(仮題)』
2027年全国公開
【作品情報】
製作国:ルクセンブルク、日本、フランス、イタリア
プロデューサー:ジル・シャニアル、小田寛子、クレマン・デュボワン、マリカ・ストッキ
監督:河村勇樹
脚本:ラファエル・デプレシャン、河村勇樹、狗飼恭子
出演:藤野涼子、尾野真千子
製作:
Les Films Fauves
株式会社フラッグ
Good Fortune Films
Rosamont S.R.L.
助成金:
Film Fund Luxembourg
令和 5 年度補正 JLOX+国内映像企画開発を行う事業(プリプロダクション支援)支援作品
文化芸術活動基盤強化基金(Japan Creator Support Fund)
Creative Europe Media
île de France
Arte Strasbourg
MIC (Ministerio Italiano de la Cultura)
協力:
輪島フィルムコミッション、輪島の海女漁保存振興会
京丹後フィルムコミッション、舞鶴フィルムコミッション
ルクセンブルク、フランス配給予定
<あらすじ>
1960年代後半、<海女の町> 舳倉島を舞台に描かれる若い女性の成長と再生の物語
20代前半の渚は、東京の製造工場で働きながら、どこか型通りの人生に違和感を抱えていた。両親と暮らしてはいるものの、特に自らの過去について一切語ろうとしない母・千春との間には、微妙な距離があった。
そんなある日、渚のもとに、存在すら知らなかった叔母・梢から祖父の訃報が届く。母の故郷である能登半島・舳倉島を訪れた渚は、そこで梢が海女として生きていること、そして母もかつて海女だったことを初めて知る。
素潜りで海へ潜り、自らの手で生計を立てる梢や島の女性たち。何世代にもわたり受け継がれてきた海女たちの力強い生き方に魅了された渚は、自らも海女になることを決意する。
若い海女・裕子のもとで潜水や呼吸法の訓練を重ね、次第に海の世界へと踏み込んでいく渚。しかしその先には、海女として生きることの厳しさと、母・千春が長年封印してきた過去が待ち受けていた――。