ブルーエゴナクの舞台『たしかめようのない』が、11月26日(火)から28日(木)まで、神奈川・横浜の神奈川県立青少年センター スタジオ HIKARIで上演される。
ブルーエゴナクは、穴迫信一を中心に2012 年に結成された劇団。北九州と京都の2都市を拠点に活動しており、リリックを組み込んだ戯曲と、発語や構成に渡り音楽的要素を用いた演出手法をもとに、「個人のささやかさ」に焦点を当てながら、世界の在り方を見いだそうとする作風を特徴としている。
同劇団は、2022年度より、THEATRE E9 KYOTOによる「アソシエイトアーティスト」に選出されている。アソシエイトアーティスト制度は、劇場と稽古場施設を3年間無償で提供することで、アーティストを支援するとともに、その作品上演や創作過程を通じて、作品のみならず劇場や地域、あるいは上演そのものの魅力を伝えて欲しいという意図で、2020年から始動した試みとなっている。
同公演は、虚構に囚われてしまう女「文子」と、その状況から文子を救い出そうとする友人「佐伯」の2人の関係を通して、現実とフィクションの交錯と拮抗を描いた作品となっている。作 / 演出を務めるのは穴迫。出演者には、野村明里、加茂慶太郎、増田知就、重実紗果が名を連ねている。
また公演期間中には、アフタートークを実施。11月26日(火)19:30の回は、批評家の佐々木敦、27日(水)13:00の回は範宙遊泳の代表で、劇作家、俳優の山本卓卓、27日(水)19:30の回は、 城崎国際アートセンター芸術監督で、劇作家、演出家、小説家の市原佐都子がゲストとして参加する。
SNSを通して〈圧倒的な他者の存在〉の可視化が進んでいます。そこで理解しようのない、例えば虐殺を肯定するような意見を目にした時、私たちが見ているこの世界はどうやら同じものではなく、人によって捉えている「現実」が違うということに気付きます。だとしたら私たちは、何と連帯して今を生き抜いていくべきなのか。本公演では、それらを〈圧倒的なフィクション〉を用いて検証したいと考えています。THEATRE E9 KYOTO アソシエイト・アーティスト公演の最終年度として、E9 を創作拠点とした3年間の成果をより多くの観客の皆様に鑑賞・批評いただきたいと考え、ツアー公演を実施します。ブルーエゴナクは E9 での 3 年間の創作テーマを「Here Is Beyond(ここは彼方)」とし、これまで「死」や「夢」をモチーフに、私たちの現実を脅かし得るフィクション=想像力について描いてきました。それらを経て、最終年度ではむしろ「死」や「夢」と対立し、私たちが明らかなものとして認識している「現実」そのものをモチーフにしたいと考えています。
穴迫信一のコメント