グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
2月6日は、映画監督の工藤梨穂さんからの紹介で、ライターで文筆家の折田侑駿さんが登場。ライターになったきっかけや、コロナ禍で始めたダンスレッスンで得た新たな認識について伺いました。
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大好きな映画を見まくり批評を書いていたら、映画ライターに
Celeina(MC):折田さんは、映画の劇場パンフレットをはじめ、演劇、ダンス、俳優、文学、服飾など様々なジャンルの記事を書かれていらっしゃいます。まずは、ライターになったきっかけを教えてください。
折田:今はカルチャー全般のライターと名乗っていますが、入り口は映画ライターでした。僕はとにかく映画が大好きなんですが、地元の鹿児島にいた頃は、公開も遅れていたり、レンタルも限られていたりして、なかなか見たい映画を見られなかったんです。でも東京へ来たら、今は無くなってしまいましたが、渋谷のTSUTAYAにクラシックな作品やアート作品などが沢山あったので、借りて見まくっていました。映画の批評を読むことも好きだったので、自分でも書いてみようかなと思い、実際に書いてみたら、ライターとして拾ってもらえたんです。ライターになろうと思ってなったわけじゃないんですが、気が付いたら、もうすぐ7年になりますね。
タカノ(MC):自然な流れで、気が付いたらなっていたんですね。
折田:それまではバイトをしまくって、バイト代全てを映画鑑賞に使うみたいな生活をしていました。
Celeina:全てを映画に捧げていたんですね。書くという作業とそれを発表するということは、インターネットがあるから、ある意味誰にでもできる作業かと思いますが、それを仕事に変えていくのは、すごく大変だと思います。
折田:もともと書くという行為が得意ではなかったんですが、だからこそ、編集者の指摘に対して柔軟に応えられたのも良かったのかなと思います。今は文体や書き方、テイストにこだわりはありますが、最初の頃はあまりなくて、素直に対応できたというところが今に繋がっていったのかもしれません。
Celeina:クライアントの要望に応えるという、仕事人ですね。
折田:そうですね、そう言えるかもしれないです(笑)。
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コロナ禍に始めたダンスで、身体の捉え方が変わった
Celeina:コロナ禍ではダンスを習っていたそうですね。これはどういった経緯があるんでしょうか?
折田:映画を見ることが好きだったので、そこから演劇もたくさん観るようになり、舞台上における俳優の身体みたいなものに興味が湧き始めたんです。それで、コンテンポラリーダンス作品を観るようになったのですが、そのうち、自分でもちょっとやってみたいなと思ってダンスを習い始めました。ちょうどコロナ禍で気が滅入る時期だったんですが、個人的にダンス道場を開きますという方に出会って、その方の一番弟子のような感じで教えていただくようになりました。
タカノ:実際に踊ってみて、文筆業に影響が出たりしましたか?
折田:例えば、文章を書く人には文章を書く人の身体があり、ラジオパーソナリティの方にはラジオパーソナリティの身体があり、それぞれに癖みたいなものがあると思うのですが、その身体がどうしても硬くなっちゃう時に、ダンスすることによって解きほぐすことができるんです。そうすると日常生活が楽になりますし、自分には「物書きとしての身体」があるんだ、ということが1つの自信にも変わって、身体の捉え方がどんどん変わっていきました。
タカノ:我々はラジオの生放送をやっているけど、生放送をやっている身体って意識しないから。そういう意味では、ダンスを習って身体について知るのは、自分にとっての再認識となり、いいことかもしれませんね。
Celeina:ダンスを習うということは、ある意味、演者という立場に立つわけじゃないですか。演者側に立つことによって、普段のご自身の意識の変化はありましたか?
折田:例えばイベントなどで、自分がMCをやる時と、ゲストとしてお呼ばれする時とで自分自身の立ち位置が変わると思うのですが、そういうところで自分自身の立ち位置を意識をすることができるようになりましたね。
タカノ:そして、今日の『GRAND MARQUEE』では、本の書き出しについて注目しています。是非、折田さんの好きな書き出しを教えてください。
折田:迷ったのですが、村上春樹さんの『スプートニクの恋人』の、「22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。」という一文です。この後に続く文章が大好きです。ヒロインのすみれが恋に落ちたということが、主人公の主観で語られていく物語で、とても好きな作品なんです。
タカノ:村上春樹作品がお好きなんですか?
折田:隠れハルキストかもしれないです(笑)。
タカノ:今日はリスナーの方からも『風の歌を聴け』の書き出しについてのメッセージが来ていましたね。
折田:村上春樹さんの書き出しは独特なので、被るんじゃないかなと思っていました。
タカノ:良い書き出しの紹介を、ありがとうございました。
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飲み歩く時は、リスペクトを持ってお店に入る
Celeina:折田さんのInstagramのプロフィールも気になりまして、「文章を書く仕事をしておりますが、本業は酒を飲むことです」と書いてあります。
タカノ:これは気になりますね。
折田:お酒を飲むために原稿を書いているので、原稿料は全部お酒で溶かしています(笑)。
Celeina:普段はどこで飲まれているんですか?
折田:僕は東京の東側の下町エリアに住んでいて、門前仲町、清住白川、両国、森下の辺りが徒歩圏内で、少し頑張れば浅草、上野へも行けるので、その辺りを飲み歩いていますね。
タカノ:1人でふらっと行かれるんですが?
折田:行った先の店で出会った友達もいますが、基本的に1人です。あとは、酒場評論家の太田和彦さんがすごく好きなので、太田さんが本で紹介されている有名な酒場に1人で行ってみたりしていますね。
タカノ:僕は1人でバーや飲み屋に入ることが苦手というか、構えちゃうタイプなんですよ。どうしたらいいですかね?
折田:僕も未だに緊張するんですが、緊張感がなくなったらダメだなと思います。なので、飲み屋の暖簾をくぐる時には、サングラスや帽子を取って、まず一礼して「1人です」と伝えるということを、大事にしていますね。
タカノ:お客さんとしてのマナーを示しつつ。
折田:そうですね。やっぱりお店側にも選ぶ権利はあると思うので、そこは大事にしています。
タカノ:リスペクトを持って、お店に入るんですね。
Celeina:大事なことを改めて再発見させられましたね。さあ「FIST BUMP」、今日はライターで文筆家の折田侑駿さんをお迎えしました。楽しいお話をありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann