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Napeが語る「ESCAPE」の意味。逃避も社会と向き合う道筋になる

2026.9.10

Nape“通常lost summer”

#PR #MUSIC

「自分には何もない」。中学生の頃、そんな思いを抱えて楽器を手に取ったWATARUとISSEIは、洋楽という共通の趣味を通じて意気投合し、ロックバンドNapeへとたどり着いた。UKロックから受けた影響を、日本語の歌と独自のクリエイティビティーへと昇華しながら、二人での活動を続けている。

彼らにとってロックバンドとは、単なる演奏形態を超えたものであり、日常のノイズから逃れるための場所でもある。WATARUのサプライズな『フジロック』出演で予想外の注目を浴びながら、しかし浮き足立つことなく、着実にロックバンドとしての厚みを増している。

9月9日(水)に新曲“通常lost summer”をリリースし、9月12日(土)には初のワンマンライブ『THE GREATEST ESCAPE』を控える二人に、音楽との出会いからNape結成の経緯、等身大の言葉にこだわる理由、そして彼らが考える「ESCAPE」の意味まで、じっくりと話を聞いた。

The Killersのステージに上がった、『フジロック』の思い出

─Napeといえば、WATARUさんが『FUJI ROCK FESTIVAL’24』で客席からThe Killersのステージに上がって、“For Reasons Unknown”でドラムを叩いた出来事は大きな話題になりました。あの経験はNapeで活動する上でひとつの契機になりましたか?

WATARU:契機という部分では特になにか大きなことはなかったです。The Killersのフジロックは、ファンとして楽しみにいったので、ただただ楽しかったなと。賛否もあったのを目にしたので、「やっちまったかも」と思った記憶はあります。

The Killersのショーだし、自分たちの活動とはあまり関係ないと思ってるんですよね。それが自分たちにどう影響するかはまた別の話なので。シンプルにいい思い出です。

ISSEI:ライブが終わったあとも、「いいライブだったな~」って、オーディエンスとしてライブを観にいったファンになってたよね。

WATARU:最高のライブでしたね。でも、俺が60歳になったときに、人生を振り返って「あれがピークだったな」とはなりたくないんですよ。自分たちには自分たちの音楽として積み上げていきたいもののイメージがあったので、契機というよりも一歩一歩やってきたという感じです。

(写真左から)WATARU(Vo)、ISSEI(Gt)
Nape(ネイプ)
東京を拠点に活動する二人組ロックバンド。中学の同級生であるWATARU(Vo)とISSEI(Gt)によって結成。UKロックの手触りと清涼感のあるボーカルを掛け合わせ、孤独や弱さに焦点を当てた等身大の歌詞を、生身の演奏で前向きな感情へと昇華させる。2024年5月に1stシングル“Sentiments”をリリースして本格始動。2024年にはWATARUが『FUJI ROCK FESTIVAL ’24』でThe Killersのステージに飛び入りし、大きな話題を呼んだ。2026年9月12日(土)、初のワンマンライブ『THE GREATEST ESCAPE』を下北沢BASEMENTBARで開催する。

「自分、何もないな」と思った中学時代。楽器とステージが人生を変えた

─お二人が最初に出会ったのはいつ頃ですか?

ISSEI:僕たちは中学からの同級生なので、中学に入ったときです。最初から一緒にバンドをやっていたわけではなくて、WATARUも僕もQueenやThe Beatlesが好きだったので、音楽の話をする友達ってくらいでした。

─周りに洋楽を聴いている同世代は少なかったんじゃないですか。

WATARU:わりとマイノリティーだったと思います。みんな「エミネムって誰?」みたいな感じだったので、「エミネムっていうすごい人がいてね」と説明してました(笑)。高1、高2くらいでサブスクが普及し始めて、そこはかなり変わった気がします。

ISSEI:当時はニコニコ動画が全盛期だったので、MVやカバー動画をいろいろ調べてました。リアルなコミュニティーより、ネットカルチャーの音楽のほうが趣味の近い人がいる感覚でした。

(写真左から)ISSEI、WATARU

─楽器を始めたきっかけは?

ISSEI:僕は中2のときに「自分、何もないな」と思ったんです。このまま高校、大学と進んで、自分の人生は面白くなるのかなって。何か始めたいと思いながら、実家のソファーに寝転んでたら、たまたま父親のギターが置いてあって。なんとなくポローンと指で弾いてみて「あ、ギターがあるな」と。

最初は父のギターをパソコンにつないで、The White Stripesの曲を弾くゲームをやってましたが、本格的にレッスンに通うようにもなりました。

WATARU:俺も根っこの感情は似てるんですよ。俺はさらに何もなくて、成績もマジで悪かった。『太鼓の達人』の一番難しいモードの「おに」をクリアできたのが数少ない成功体験なくらいで(笑)。

学校の吹奏楽部のライブを観たら、ドラムを叩いてる人がめっちゃかっこよかったんですよね。今chilldspotでサポートをやってる嶋(英治)くんなんですけど。「俺は『太鼓の達人』も上手いからドラムもできるんじゃないか」と思ってドラムを始めました。何かを変えたくて、そのために楽器を手に取ったというのはISSEIと同じですね。

─「何かを変えたい」と、楽器を始めてステージに立つようになって、実際に変わったことはなんでしょう?

WATARU:バンドを始める前は、自己開示が苦手で自信のない性格だったし、自分の内面に誰かが共感してくれた経験が正直ほとんどなかったんですよね。自分が輝ける場所もなくて。初めてのライブは高校の文化祭だったんですけど、かなりの数の人に見られて頭が真っ白なまま、勢いでハチャメチャにドラムを叩いたんですよ。そしたら面識のないお客さんや同級生から、一生分くらい褒めてもらえたんです。あんな経験は初めてでした。

ライブのステージって、自分の内面を100%出せる聖域みたいな場所だから、そこでなら内面を堂々と誇れる。それに引っ張られて、性格も少しオープンになってきたかな。

ISSEI:ステージに立つたびに、否応なく自分自身が変わっていく感覚はありますね。楽器は、僕にとっては自分を拡張するためのかけがえのない相棒で、武器でもありアーマーでもある。それを持つことで、自分から見た自分の存在が確実に大きくなっていく。それは、聴いてくれる人に音楽を届けていく上ですごく大事なことだと思っています。ロックバンドにヒーロー的な側面があるとしたら、楽器はヒーロースーツなんだと思います。

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