キャラクターの背景にある人生を想像させるような説得力のある演技で、数々の作品で強い印象を残す俳優・三浦透子。ドラマ『銀河の一票』での名演が印象を残した今、改めて彼女のこれまでの活躍について振り返る。
※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。
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バカリズム作品に実は多数出演。『架空OL日記』から『ブラッシュアップライフ』まで
『銀河の一票』で、東西新聞の新聞記者・雨宮楓役を演じたことが記憶に新しい三浦透子。彼女のことを意識しはじめてからは、作品の中でどのような役を演じていたのか、不思議なことにすべて記憶に残っていると言っても過言ではない。
1996年生まれの彼女は、6歳の頃からテレビ等に出演し、アーティストとしても、俳優としても活躍している。
筆者が最初に気になったのは、2017年の『架空OL日記』(バカリズム原作 / 脚本)である。銀行で働くOLの中のひとりで、バカリズム演じる主人公たちといつもつるんでいるメンバーではないけれど、要所要所に淡々とした感じで出てくる姿が気になっていたのだった。その後も『ブラッシュアップライフ』(2023年)や『ホットスポット』(2025年)にも出演。バカリズム作品の常連というイメージも大きくなった。
翌2018年には映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』や、『宮本から君へ』などに出ている姿を観て、個人的には自分が関心を持つ守備範囲の作品によく出てくるなという認識が出てきた。
一般的に三浦透子が大きな注目を集めるようになったのは、濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』(2021年)だろう。『カンヌ国際映画祭』で脚色賞を受賞した作品で、西島秀俊演じる演出家が出会うドライバーを演じて、その年の映画賞を数多く受賞するなど、日本のドラマ、映画には欠かせない存在となった。この役は、私が初めて認識した『架空OL日記』のどこにでもいそうな、ちょっと空気が読めない(『架空OL日記』はみんながそうなのがいいのだ!)銀行員とは違って、感情を抑制したドライバーを演じていた。
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『銀河の一票』の役柄は、『エルピス-希望、あるいは災い-』から繋がっていた?
『銀河の一票』で三浦が演じた「東西新聞」政治部の民政党担当記者・雨宮楓は、淡々としながら、何か内に込めている感情を抑制しているようにも見える、今まで三浦が演じてきた役柄の要素が複合したような役であった。


ここで雨宮楓を語る前に、『銀河の一票』の佐野亜裕美プロデューサーが手がけた『エルピス-希望、あるいは災い-』で、三浦が演じたヘアメイク「チェリーさん」のことを先に書いておかねばなるまい。
チェリーさんは、物語のキーパーソンである。幼い頃に母親の内縁の夫に虐待され、家出をして見知らぬおじさんの家に身を寄せていたが、そのおじさんが連続殺人犯の被疑者として逮捕された過去を持つ。その無実の罪を証明しようと、当時テレビ局の新人ディレクターであった岸本拓朗(眞栄田郷敦)に調査をさせようとするのだが、それは実は、政界を揺るがすほどの重要な事件であったのである。
おじさんのこともあり、不安定なチェリーさんは、自殺未遂をしたこともあった。そして、このチェリーさんと、『銀河の一票』の楓がどことなく重なるのである。
楓は高校生の頃、主人公の茉莉(黒木華)と出会う。それは楓が家に泊めてくれる男性を探す「神待ち」をしていたときだった。楓が「なんの問題もなく平凡に生きてきたから傷が欲しかった」という悩みから「神待ち」をしていることがわかると、茉莉は自分の家に泊まりにくるよう促し、そこから楓が記者になってからも交流が続いているのだった。
喋り方がぶっきらぼうなところはチェリーさんとも似ているが、その「傷つき」の表現が違う。その点がとても気になって、目が離せなかった。
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『地獄に堕ちるわよ』の島倉千代子では歌唱シーンも
この『銀河の一票』と同じタイミングで、Netflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』にも出演。ここではなんと演歌歌手・島倉千代子の役を演じているのである。しかも、島倉もまた傷ついたキャラクターである。
細木数子と島倉千代子の出会いはドラマチックだ。数子と千代子には助け合い、共に生きていくシスターフッドを思わせる時間もあるにはあるのだが、実はそこには裏があったのだった……というのは、実際にも伝えられていることである(どこまで脚色しているかはわからないが)。
出会い、傷つき、そしてそこから変わるまでの島倉を三浦は演じている。傷つき、どこか不安げで自信が持てない様子は、『エルピス』や『銀河の一票』の役にも繋がるところがある。しかし、数子に一矢報いるシーンでは、今までに見たことのない顔を見せていたのではないか。
それに加え、島倉の歌唱シーンを見たときも、これは島倉と同じく、アーティスト活動もしている三浦にしか演じられないものになっているなと感じられた。
そんな三浦の次なる仕事は舞台。2026年7月からは『プライマ・フェイシィ』で一人芝居を演じ、東京・下北沢のスズナリを皮切りに、群馬、福島、茨城をまわる。しかも、気鋭の法廷弁護士が一転して被害者になるという話だという。法制度を問う話にもなっているとのこと。常に気になる仕事をする俳優のひとりである。