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朱音役で落語を演じるという「二重」の演技の難しさ
―お稽古の時はご自身の言葉で語っていたのが、アフレコになると「朱音」としてしゃべらないといけません。ここは、どう表現を変えていったのでしょう。
永瀬:木久彦師匠が「まず落語の基本を身体に入れてから、アフレコのことを考えましょう」という方針を立ててくださっていたんです。なのでアフレコに入ってから、音響監督の小沼則義さんと師匠と一緒に考えながら、みんなで少しずつ朱音をつくっていった感じで。
漫画では絵と文字を読んで読者の方が想像力で補っていた部分が、アニメで音をつけることによって、ある種の「正解」になってしまうわけですよね。落語の場面に関しては特に、「アニメ的なしゃべり方に寄せるのか、本来の落語の語りにするのか?」など、ワンシーンずつディスカッションしながら探りつつやらせていただきました。
―登場人物のドラマチックな表情、着物姿での所作の美しさや躍動、ふと差し込まれる風景描写に漂う詩情……絵と音と動き、アニメ化されることで膨らんだこだわりが画面にぎゅうぎゅうに詰まっていて、現場にいる方々の熱も伝わってくるアニメだと感じます。
永瀬:その熱に関しては、声優としてもビシバシ感じる現場ですね。通常のアフレコの収録って、大体朝の10時から15時、大体5時間ぐらいで録るものなんです。「ライブ感をもって録りましょう」という現場だったら、予定より早く終わることもあるぐらい。でも『あかね噺』に関しては、必ず15時いっぱいまで、なんならちょっとこぼれる時もあって、じっくり時間をかけて収録するんですよ。しかもメインキャラクターだけではなく、一言しか台詞がないキャラクターを含め、全ての役の演技プランをじっくり組み立てて録音しています。
