『サイボーグ009 ネメシス』が、Prime Videoやdアニメストアなどのプラットフォームで7月19日(日)より配信開始された。
物語は、犯罪の温床となる施設が次々と破壊される事件から幕を開ける。現場へ駆けつけた「009」こと島村ジョーの前に立ちはだかったのは、グラビトンという謎の男。ゴルバート博士によって生み出された新世代サイボーグ・ネメシスのメンバーだった。彼らの正義は、悪を完全に根絶やしにすること。そのためなら、やむなく悪に手を染めた社会的弱者すらも、容赦なく葬り去っていく。
目指す理想は同じはずなのに、やり方が決定的に違う。わかり合えない2つの正義は激しく衝突し、やがて物語は、さながら『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のような、9対9の総力戦へと雪崩れ込む。
正義同士の衝突。虐げられた同胞の救済をめぐって穏健派と過激派が対立する『X-MEN』や、世界平和のために無差別虐殺を肯定するか否かを描いた『ウォッチメン』を引くまでもなく、同じ理想を掲げながら凄惨な死闘を繰り広げる展開は、ポップカルチャーにおいて決して目新しいテーマではない。
国家や巨大な悪といったわかりやすい敵が消え去り、個人の正しさが容易に暴走して他者を叩き潰す現代と照らし合わせたとき、このテーマは恐ろしいほどの切実さを帯びてくる。
いわばネメシスとは、ネット社会に蔓延する不寛容さを煮詰めたような存在。生きるためにやむにやまれず麻薬工場で働く少年少女たちでさえ、抹殺しようとするグラビトンの姿勢は、現代のキャンセルカルチャーが持つ暴力性と不気味なほどに通じているだろう。
正義とは何か。平和のために何をすべきか。思えばオリジナル版の『サイボーグ009』もまた、勧善懲悪の枠に収まる作品ではなかった。戦争の虚しさや人間の業の深さを前に、ジョーたちは兵器としての自分の存在意義にずっと悩み続けてきたのだ。
徹底した犯罪撲滅の姿勢は、主人公が凶悪犯を粛清し続けた『DEATH NOTE』の世界観とも重なり合う。分かりやすい成果を突きつける過激な正義に対して、ジョーたちは綺麗事と葛藤を抱えて立ち向かわざるを得ない。
正義が相対化された今の時代に、日本のSFヒーローの金字塔ともいえる同作でこのジレンマを描いた意味は極めて重い。絶対的な悪を打ち倒すかつての痛快なヒーロー像をあえて解体し、再構築する野心的な試みとして、『サイボーグ009 ネメシス』は現代社会に強烈なカウンターを放っているだろう。
『サイボーグ009 ネメシス』
絶賛配信中
各話約30分 全3話
配信プラットフォーム:
ABEMAプレミアム、dアニメストア、U-NEXT、アニメ放題、Prime Video、DMM TV、FOD、Hulu、バンダイチャンネル、J:COM STREAM、TELASA、milplus見放題プライム、ふらっと動画
<キャスト>
009/島村ジョー:梶裕貴
001/イワン・ウイスキー:皆川純子
002/ジェット・リンク:宮野真守
003/フランソワーズ・アルヌール:早見沙織
004/アルベルト・ハインリヒ:杉田智和
005/ジェロニモ・ジュニア:安元洋貴
006/張々湖:かぬか光明
007/グレート・ブリテン:利根健太朗
008/ピュンマ:林勇
ギルモア博士:山路和弘
N009/グラビトン:中村悠一
N001/ミュウ:日高里菜
N002/ブリザード:細谷佳正
N003/クラック:神谷浩史
N004/オプロ:井上喜久子
N005/アスピダ:稲田徹
N006/ブリッツ:若山詩音
N007/モーフィン:内田真礼
N008/デプス:佐倉綾音
ゴルバート博士:奈良徹
イスパノ:下野紘
<スタッフ>
原作:石ノ森章太郎 ※ノの字はQ数60%ダウンの下ぞろえ
企画:山辺浩一
監督:安保英樹
脚本:冨岡淳広 キャラテックス
キャラクター設定:金子しん一 上水博貴
キャラクターデザイン:sanorin
色彩設計:いわみみか。
美術設定:久保久
撮影監督:石井健悟
編集:小野口洋
音楽:Kenji Katoh
音楽プロデューサー:菊地智敦
音楽制作:RightTracks
音響監督:八巻大樹
音響制作:dugout
オープニング主題歌:「誰がために」杏子(オフィスオーガスタ)
エンディング主題歌:「クライマル」スキマスイッチ(オフィスオーガスタ)
アニメーション制作:アレクト
製作:石森プロ
コピーライト:©石森プロ