NewJeansのデビュー4周年を記念した「スペシャルフィルム」が公開された。
7月22日にデビュー4周年を迎えたNewJeans。同映像では2024年夏にリリースされた『Supernatural』から約2年ぶりに、4人のメンバー(MINJI、HANNI、HAERIN、HYEIN)が再結集した。所属事務所であるADORが「長い間待ってくれているファンのみなさんとデビュー日を共に祝いたいメンバーの思いを込めた」と語る作品から、NewJeansの現在地について考察していく。

まず着目すべきは、K-POPにおける「2年」という途方もない時間の長さではないだろうか。
そもそも2年という歳月は、一般的にも十分に長いインターバルと言える。しかし、数ヶ月単位でカムバックを繰り返し、巨大なプロジェクトを猛スピードで消費していく過酷なK-POPのシステムにおいて、2年間の空白は異例。この空白期間を、単なる休息やビジネス上の事情としてではなく、彼女たちが意図的に選んだ「カルチャーの転換期」として読み解くことで、この映像が持つ真のドキュメント性が浮かび上がってくる。
日常を過ごすメンバーの姿には、ある共通のテーマが提示されている。
ピックアップトラックを運転するMINJIがガソリンスタンドで見つけた「チラシをウサギの形に折る」行為。そして、HAERINが背負って家を出る「手作りのウサギバッグ」。既製品ではなく、あえて自分の手で紙を折り、布を縫い合わせるというDIYな質感。これらのアナログで時間のかかる行為によって生み出される物の描写は、高予算で工業的に大量生産されるK-POPシステムからの「離脱宣言」として機能しているのではないだろうか。
用意されたものを消費するのではなく、今までよりも自分たちのペースで「手作りのカルチャー」を構築していくための時間が、この2年間だったように感じる。
さらに決定的なのが、暖かな日差しの下で歌を口ずさむHANNIの前に置かれた「MIDI」(音楽制作ソフト)の存在。
デビューからの2年間、彼女たちの音楽は間違いなく世界最高峰だったものの、それは外部の優秀なプロデューサーたちによって構築されたグルーヴを完璧に表現するパフォーマーとしての側面も強かったといえる。しかし、自らPCでMIDIの作業画面に向かい合う姿は、音の構造や余白を設計する「クリエイター」の領域へと足を踏み入れ、自らコントロールするフェーズへ移行したことを暗示しているのではないだろうか。
ローラースケートで街を滑るHYEINが立ち止まったのは、「The Bunnies Scoop」というアイスクリーム店。公開された5本のスペシャルフィルムにおける「手作り」の象徴や、NewJeans自体の象徴ともいえる「ウサギ」の形をしたアイスクリームを注文し、ときめきに満ちた表情を浮かべるシーンが収められている。
そして、メンバーが揃う映像では個別の日々を過ごしていた4人がついに集結し、明るく笑い合いながら互いの手を握りしめる美しいラストシーンへ。それぞれが自らのペースで「手作りな時間」を過ごし、そこで見つけた熱量である「ときめき」を持ち寄って、再びひとつの場所へと集まっていく。
ひとつのアイドルがシステムから離れ、メンバー間の生々しい呼吸を合わせて独自のグルーヴを生み出せるようになるまでには、個人の感性を磨く時間と、膨大な対話が必要になるもの。この2年間は、まさに彼女たち4人自身がプレイヤーとしての呼吸を合わせ、DIYな共同体を確立するための時間だったのではないだろうか。
このスペシャルフィルムは単なるファンに向けた復活の挨拶などではなく、ひとつの巨大なポップアイコンであるアイドルが、「自立した音楽集団」へと成熟していく過程を記録した生々しいドキュメントのように感じる。
狂騒的なスピードから距離を置き、プレイヤーとしての身体性に加えてDIYの精神を手に入れたNewJeans。次に提示される音楽は、強靭なアンサンブルを持った傑作になるだろう。これらの映像は、そんな確信を抱かせるに十分な、美しく、そして批評的な4周年の幕開けを告げた。