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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

50年を迎えたNHK『日曜美術館』。制作陣が語る、繰り返し注目される作品の共通点

2026.6.5

#ART

番組の撮影が作家の最期の姿になることも。取材をする上での心構え

意外なのは、番組制作を手掛ける方々が、決して美術の専門家ではないということだ。だからこそだろう、ディレクターの一人ひとりが、作家や作品に対する深い尊敬の念と誠意をこめて取材した内容は、一言一句、細かなニュアンスまで丁寧に編集され、毎週多くの視聴者の心に届けられていく。

中野:やはりテレビ番組というマスメディアである以上、相応の影響力がありますから、責任を持って紹介するという姿勢は一貫しています。また近年のアートは、どうしてもビジネスと近いところがありますので、NHKという立場上、広告のような見え方になってしまわないように適切な距離を保つことに注意を払っています。

そして、そもそも美術作品の見方に、「唯一の正解」というものはありませんよね。作品や作家に関する客観的な事実や、時代背景などの情報は提示しますし、番組構成上一つの見方を紹介してはいますが、「自分はこう観る、でも他の人は違うかもしれない」という多様なまなざしを許容することこそ、健全な美術鑑賞のあり方だと考えています。ですので、研究者などいわゆる専門家に限らない、複数の出演者が作品について語り合う形式の回もありますね。

長井:責任を持って紹介する、という面で申し上げると、我々の撮影が結果的に、作家の最期の姿を映像におさめる機会になる、ということも少なくありません。私が担当した「Oh!SAMMY DAY 柚木沙弥郎101年の旅」(初回放送日2024年11月17日)は、染色家・柚木沙弥郎さんの最晩年のご様子を取材していました。制作を続ける姿や言葉を、責任を持ってしっかり届けなければ、という気持ちでしたね。

それに私自身、自らの心身を通して多くの方に届ける以上はできるだけ心持ちをフラットに、健やかな気持ちで在ることを大切にしながら、良きメディアや媒体となれるよう、日々心がけています。

中野:長井さんをはじめ、番組制作を担当するディレクター陣は、どんな構成にしたら皆さんにより伝えることができるのかを、常に考え抜いて取り組んでいます。アートを届ける番組だからこそ、明確なフォーマットというものがないんです。あるとしたら、司会者のお2人(ミュージシャン・坂本美雨とNHKのアナウンサー・守本奈実)と音楽くらい。シリーズにしている企画テーマはありますが、ここまで続いていながらフォーマットを定めていない番組というのは珍しいかもしれませんね。

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