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50年を迎えたNHK『日曜美術館』。制作陣が語る、繰り返し注目される作品の共通点

2026.6.5

#ART

古今東西の芸術文化、ミュージアム、作家とその作品や制作風景などを、「お茶の間美術館」として地上波で紹介してきたNHKのテレビ番組『日曜美術館』。1976年の放送開始から2026年で50年の節目を迎え、放送回数は2500回を超える。しかも「週間ファインアートテレビ番組の最長放送(Longest running weekly fine art TV Programme)」として、2026年3月22日の放送をもってギネス世界記録に認定された、日本を代表する長寿番組の一つだ。

その半世紀にわたる歩みを振り返る企画展『NHK日曜美術館50年展』が、東京藝術大学大学美術館、静岡県立美術館、そして大阪中之島美術館で開催。

今回、多数の名作が並ぶ展示室で、番組の統括プロデューサーである中野力と、番組ディレクターである長井倫子に、普段なかなか知る機会のない番組の裏側と、これまでのあゆみを展覧会に再構成する過程で見えたものを伺った。国内外のミュージアムや作家、作品と対峙し続ける中で、これまでも、そしてこれからも番組として大切にしていきたいこととは。

数年先の展覧会から持ち込みまで。企画がさまざまある中、放送する決め手とは

『日曜美術館』の根本にあるのは、「美術と視聴者をつなぐ役割」としてのあり方だ、と中野さん。「統括プロデューサーという仕事は、管理人のような立場です」と語り、いつどんなテーマで放送するか、どのような経緯で決まっているのかを少し明かしてくれた。

中野:番組には、数年先に予定されている展覧会のお話から、一人の作家を長く追いかけて取材しているディレクターの提案まで、さまざまなテーマが持ち込まれます。今どんな内容を放送するべきかを常に問いながら、大きく2つの基準で選び、制作しています。

1つは、話題性の高い展覧会や作家の作品を、地理的 / 状況的な制約で、現地まで観に行けない人々へお届けすること。もう1つは、「今、放送しなければならない」という切実なタイミングを逃さないことです。例えば、ご高齢の作家が晩年に見せる輝きであったり、これまでの研究が進展して新たな視座が得られた瞬間だったり。そういった美術史の最前線を「今」という時間軸で切り取ることが、番組の生命線だと考えています。

中野力(なかの つとむ)
1992年NHK入局。主に「日曜美術館」「土曜美の朝」「美の壺」「世界美術館紀行」などの美術定時番組のほか、ルーブル美術館、オルセー美術館、エルミタージュ美術館、プラド美術館などを紹介する特集番組を制作してきた。2022年から「日曜美術館」統括。

長井:一方で、展覧会の開催予定がなかったとしても、いつかやりたいとディレクターが思い続けて、何度も提案を出してきた企画が、とあるタイミングでぴたっと条件が揃って放送できる、ということもあります。学生の頃から好きだった画家を取り上げた「放送開始50年特集 わたしと熊谷守一2026」(初回放送日は2026年2月22日)は、まさに私の、ディレクター人生の念願でした。

長井倫子(ながい みちこ)
2004年からNHKエデュケーショナルにてディレクターの仕事を始める。主に「日曜美術館」「美の壺」などの美術番組をベースにしながら、各界の美の巨匠たちとの長年にわたるつながりを活かしたドキュメンタリーや、旅仕立てのアート探訪、8K高精細技術による海外の美術館との国際共同制作、国内の国宝づくしの神社仏閣を舞台とした番組など数々の特集番組を制作。特に祭りや自然信仰など民俗学、文化人類学の視点を織り交ぜながら美を見つめる内容を手がけることが多く、美術番組のはずなのになぜか山の上や吹雪の中で撮影してばかりいる。

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