J-WAVEと六本木ヒルズがタッグを組んで届けられるフリーライブイベント『TOKYO M.A.P.S』が、六本木ヒルズアリーナにて5月2日、3日の2日間にわたって開催された。「M.A.P.S」とは、Music(音楽)、Art(アート)、Performance(パフォーマンス)が複数(S)集まり、セッションを生み出すことで描かれる「新たな東京の地図」を意味している。
2008年にスタートして以来、ゴールデンウィークを東京で過ごす人々にとっての一つの風物詩ともなっている同イベントは、毎年音楽界で活躍する人物をプログラム・オーガナイザーに迎え、その年ならではのテーマに沿ったライブが展開されてきた。
2026年のプログラムオーガナイザーに抜擢されたのは、プロデューサー / トラックメーカーとして特定のジャンルやシーンに留まらない活躍を見せるSTUTSだ。そして、そんな彼が掲げたテーマは「音の交差点」。果たして、STUTSはどのような『TOKYO M.A.P.S』を描いたのか。2日間で過去最大となる2万5500人を動員した今年の『TOKYO M.A.P.S』。まずは柴田聡子、butaji、Sonsi、賽、KID FRESINOらが快演を観せた1日目の模様からレポートしていこう。
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柴田聡子、butajiが紡ぐ日常の美しさ。六本木ヒルズアリーナを包む柔らかなエネルギー
両日イベントの進行役を務めたのは、J-WAVEリスナーにはお馴染みの藤田琢己。イベントのコンセプトや注意事項を伝えつつ会場の期待感を煽る軽快なトークは見事と言う他あるまい。オーガナイザーのSTUTSも現れ、ブッキングの時点ですでに楽しかったと笑顔を見せたオープニングを経て、いよいよ最初のアーティストの登場だ。
トップバッターはワンマンツアー『夏’26』の開催も控える柴田聡子だ。エレキギターの弾き語りスタイルで、“Synergy”や“ワンコロメーター”など、持ち前のユニークな言葉選びや歌の節回しが効いた曲たちをゆったりとパフォーマンス。自分のペースで呼吸することの美しさが晴天に恵まれた六本木ヒルズアリーナに響き渡っていた。普段、職場や学校などで忙しく日々を生きている私たちにとって特別な時間となったのは間違いないだろう。ラストの“スプライト・フォー・ユー”は炭酸の泡のように、爽やかな気分にさせてくれた。


続いて、体調不良により残念ながら出演キャンセルとなったElle Teresaに代わり、butajiがアコースティックギターを手にステージへ。3月にリリースされたばかりの、日常の風景と生活に潜む機微、そこに横たわる社会を驚異的な筆致で描いた最新アルバム『Thoughts of You』からも“永遠”、“so far”などを披露。中でも同作に収録された屈指のバラード“Birthday”で歌われる歌詞には、さまざまな属性の人々が集うこの瞬間を祝うような柔らかなエネルギーが宿っていた。最後はオーガナイザーのSTUTSも登場し、“Presence Reprise”を2人で快演。満員のフロアが同じメロディーを口ずさんだ。


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新鋭ラッパーSonsiの熱狂と、賽が響かせる煌めくジャズサウンド
この日、最もオーディエンスをハイにさせたのは、2004年生まれの若きラッパー=Sonsiだ。Abema TVの次世代ラッパーを発掘するオーディション番組『RAPSTART 2025』でファイナルステージまで進出した新鋭は“H2O daddy”でいきなりトップギアでライブの口火を切ると、“BBA In da house”、“FUSUMA”など、「ここは本当に六本木なのか?」と思うほど観客を沸かせまくり、20分ほどのパフォーマンスながらはっきりと爪痕を残していった。


少し気温も落ち着いてきた頃合いで登場したのはSuchmosの鍵盤奏者としても知られるTAIHEIが率いる4人組、賽だ。今回の『TOKYO M.A.P.S』で唯一のバンド編成かつ、歌やラップの無いインストバンドである。Sonsiで大いに盛り上がるフロアを見て、彼らがどのように受け取られるのか若干ドキドキしていたが、そんなことは杞憂だった。ステージから届けられる煌めくジャズサウンドにオーディエンスは心地良さそうに揺れ、曲が終わる度に歓声と拍手が巻き起こる。とりわけ“発電所”では各楽器がせめぎ合い疾走。ラスト“Garam”の終盤で火花の散るセッションへと移っていく様も圧巻だった。

