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Khakiが語る「Khaki」というバンド。事務所を立ち上げ、自らで考え、見えてきた現在地

2025.11.7

Khaki『Hakko』

#PR #MUSIC

「イマーシブ・アート・ロックバンド」という聞き慣れない言葉で表現される5人組、Khaki。オルタナティブなギターロックを中心に、ジャズやプログレなどさまざまなジャンルを飲み込み独自に解釈した音楽は、ともすれば「難解」というレッテルを貼られてしまう。

しかし、2025年5月に発表されたアルバム『Hakko』はその2文字に収まらないポップネスも内包していることは、一聴すれば分かる。

自分たちの会社を立ち上げ、リリース業務やマネージメント、プロモーションに至るまでセルフでこなす彼ら。音楽はもちろん、バンド運営に関しても唯一無二のユニークを発揮しており、存在そのものに興味を掻き立てられる。

アルバムリリースが一段落し、11月22日(土)に予定されている初ホールワンマンを経て、次のフェーズに向かおうしているKhaki。ギターボーカルの平川直人と、ドラムで社長の橋本拓己にバンドの現在地を語ってもらった。

Khaki(カーキ)
2018年に早稲田大学のバンドサークルにて結成。東京を拠点に活動する5人組、イマーシブ・アートロックバンド。メンバー全員が作詞・作曲を担当し、音源制作・MVやグッズ・個人事務所の設立などをバンドメンバー自らで企画制作。独創的な手法で躍進を続け、注目を集めている。2024年にはバンド最大規模となるワンマンライブ「ソロ・コンサート」をLIQUIDROOMにて開催し、チケットはソールドアウト。2025年にはバンドとして初となる全国ツアー「Khaki LIVE TOUR 2025」を開催。11月には初ホール公演「 ソロ・コンサート / Hakko 」を開催する。

「僕らは一生懸命やってるだけなんですよ。今日も待ち合わせの30分前に来てるし(笑)」(平川)

━『Hakko』のリリースから半年弱たちましたが、振り返ってみていかがですか?

平川:あの時期は集中しすぎてて、あんまり覚えてないという感じで……。最近のライブは『Hakko』以外の曲もよくやってるから、レコーディングの記憶が薄れてきてますね。

平川直人(Vo / Gt)

橋本:そうっすね、あんまり覚えてない(笑)。めっちゃ必死にやっていた感覚はあります。

橋本拓己(Dr)

平川:4年ぶりのアルバムだったから、とにかく早く作らなくちゃみたいな感じで。録ってる最中はプロモーションとかリリースした後のライブのこととか、全然なんにも考えられなかった。

橋本:結果的に今年の5月にアルバムは出ましたけど、元々は2024年末くらいに出したかったんです。それが、どんどん時間が経っちゃって。でも、すごく久しぶりのアルバムだから、プロモーションも力を入れましたね。

━トリプルファイヤーの吉田靖直さんやダウ90000の中島百依子さん、でか美ちゃんなど、多彩な方々が『Hakko』を聴いている動画をアップしたり、プロモーションも独特でした。

橋本:他の人と同じやり方をしても面白くないので。こっちもやってて楽しいほうがいいから、みんなで考えてやってます。でも、最近は「Khakiならちょっと変なことをやるだろう」みたいに思われているのを強く感じるようになって、若干やりにくいです。

平川:僕らは一生懸命やってるだけなんですよ。今日も待ち合わせの30分前に来てるし(笑)。なのに、スカしてる連中だと思われてるんですよね。本当にやりづらい。超最悪ですよ。

━自分たちがいいと思うことをやってるだけなのに、という。

平川:実際に会うと「スカしてないんですね」って言われますから。どんなバンドだと思ってたんだ、って(笑)。でも、他のバンドと違うプロモーションをしないと興味を引けないのは事実なので。どうすればいいんだろう。あんまりがんばらないほうがいいのかな。

橋本:いや、そこはがんばったほうがいいと思う。

━プロモーションに関してもメンバーみんなのコンセンサスをとって進めているんですか?

橋本:僕とマネージャーで主に考えて、バンドに投げてみんなで揉んで「これでいきましょう」というパターンが多いですね。『Hakko』の視聴映像の人選に関しては、平川が中心になって進めました。

平川:知り合いを辿ればギリギリ頼めるかどうかのラインを攻めました。ちゃんとみんな変な感じになって面白かったです。

━近年、音楽を分析して解説するようなコンテンツも増えたので、このプロモーション映像もそういうものかと思っていたんです。「Khakiのこの曲はここで転調して、リズムも変化しているからすごいんです」というような。でも、基本的にみなさん「すげー」と言ってるだけという。バンドからの「このアルバムはこんな感じで聴いてください」という意思表明を感じました。

橋本:うん、そうですね。

平川:みんな、この映像を撮った時が初めて聴くタイミングだったんですよ。先立ってリスナーの反応を表してくれたというか。もし気に入らなかったとしてもそれは僕らが悪いから、反応としてはどれも100点なんですよね。

橋本:単純に、アルバムを聴いてる人のリアクションだけ見たら、気になると思うんですよね。「どんな音楽なんだ?」って。ただ、編集は大変でした。僕の同級生(小森翔太)とか、マジで何も喋らなかったんで(笑)。

━ずっと無言で最後に「すごい」とだけ言うのは、逆に説得力がありました。無理矢理褒めてるわけじゃないんだなと。

橋本:構成作家の飯塚大悟さんとでか美ちゃんはずっと喋ってくれてて、めちゃくちゃ編集しやすかったです。素晴らしいなと思いました。

Khakiのことが気になってる業界人は今すぐ連絡を

━アルバムリリースに伴って、初めての全国ツアーにも出られました。各地でゲストアーティストの出演がありましたが、そのラインナップを見るとTexas 3000やANORAK!、NOT WONKとあって、「なるほど、Khakiはこういうシーンにいるのか」と早合点しそうになったんですが、水中、それは苦しい、中村佳穂さん、The Novembersもいて、これは一筋縄ではいかないなと。お二人は「こういうシーンの中にいる」という認識はありますか?

平川:うーん、ないですね。メンバー5人とマネージャーさんだけでやってるから、主観的な見方しかできないので。このツアーのゲストも、呼んだら出てもらえて嬉しいというだけです。シーンの恩恵とかも受けたことがないからなあ。

橋本:僕はどこかのシーンに入りたいみたいな気持ちはあまりなくて、自分たち発信で作っていけたらいいなと思います。

━ツアーのゲストを見ていても、それぞれのバンドに共通点はないけど、Khakiが真ん中に立つと相関図が成立する感じがします。

平川:おお、めっちゃ嬉しい。「〇〇系のバンド」だからじゃなくて、ただかっこいいと思って呼んだので。こういうのを大きくしていって、フェスとかやってみたい。

橋本:フェスはやりたいね。

━橋本さんは事務所「ア柿印」の社長でもあるので、こういったライブ制作とかバンド運営の中心になる場面も多いと思いますが、そもそも社長になった経緯は?

橋本:みんなやりたくなさそうだったんで(笑)。会社化する前から運営や経理は僕がメインでやっていたんです。みんなも「社長は橋本くんがいいんじゃない」と言ってくれたんで「じゃあやります」と。

平川:あまりにも他のメンバーがそういうのに向いてないからね(笑)。

橋本:裏方的なことをやるのもむしろ好きですし。でも、最近はちょっとしんどくなってきました。個人でデザインと映像の仕事もやっているので、その兼ね合いもあるんですよね。バンドがめちゃくちゃ忙しい時に個人の依頼も入ってきて、月末の経理も重なってパンクしそうになるとか。

━これまでもメンバーが裏方も兼務して運営しているバンドはありましたけど、大抵はメジャーデビューして地盤を築いた後にそういった形式を選んでいるか、アンダーグラウンドでマイペースに活動しているかのどちらかが多いと思うんです。Khakiのように初めから自分たちでやりつつ、フィールドを広げていく活動をしているのは、ロックバンドだと珍しいのかなと。

平川:本当に誰にも構ってもらえないから自分たちでやり始めただけなんですよ。今も誰からも何も言われないですから。対バンした若いバンドとかが「SoundCloudに音源あげたらレーベルから連絡きました」とか言ってるのを聞くと、「そんなことあんの!?」って思う(笑)。すごいなって。

平川:レコード会社とか事務所とかと一緒にやることになったら、やっぱり自分たちだけでやるほうがいいと思うかもしれないけど、比較できないので。これしかやり方を知らないから、あんまり分からないです。事務所と契約してる人が毎日インスタに曲をあげてたりするのを見るけど、契約したら俺たちもやるのかな?

橋本:やるんじゃない? 仕事だし。自分たちで色々やってきましたけど、やっぱり個人でできる範囲は決まってるんですよね。規模が大きくなってるバンドのみなさんはCMに使われたり街で流れたりするじゃないですか。そういう正規のプロモーションをやってみたいという気持ちはありますね。

Khakiが設立した個人事務所「合同会社ア柿印」 で取材をさせていただいた

━いわゆる音楽業界的な動きというか。

橋本:僕らのことを知らない人なんてめちゃくちゃいっぱいいるんで、街中とかで流れるだけで全然違ってくると思うんですよね。僕らががんばってSNSをやるよりも、いろんな人が聴いてくれるんだろうなと。難しいですよね。

━「Khakiのことが気になってる業界人は今すぐ連絡くれ」ってことですよね。

平川:そうですよ。遅刻もしないし、人柄もいいし。酒も飲めるし(笑)。『Hakko』はスペースシャワーの流通なんですけど、色々な縁で繋がって、僕らから相談する形で一緒にやることになったんです。たまにそういうことがあるとものすごく嬉しくて。がんばっちゃいますよね。

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