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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

SIRUP×SKY-HI対談 シーンを作ってきた2人が今、見据える未来とは

2025.2.21

『Grooving Night vol.5』

#PR #MUSIC

それぞれの音楽シーンの最前線を駆け抜け、新たな潮流を生み出してきたSIRUPとSKY-HI。2人はこれまで、音楽性や社会への意識でシーンを切り拓きながら、次世代のアーティストが目標とするような活動を届けてきた。そんな彼らは現在、30代後半。デビュー当初の「若手アーティスト」としてのフェーズを超え、音楽業界の中で確固たるポジションを築いている。

今回は、音楽シーンのパイオニアとして活躍してきた2人に、これまでのキャリアと、これからの未来について話を聞いた。自身の進化、これからのアーティストとしての在り方、そしてSIRUPがホストを務めるイベント『Grooving Night』での共演について——彼らが見つめる「新たな道」とは?

一番やるべきなのは「未来の俺みたいな子」を救える場所を作ることだと思った。(SKY-HI)

―まずはお互いにシンパシーやリスペクトを感じる部分について聞きたいです。

SKY-HI:俺はね、やっぱSIRUPの楽しもうとする姿勢がいいなって。「選挙行こうぜ」をいかに楽しそうに言うかっていう。

SIRUP:『Grooving Night』も確かにそれに近いものはある。

SKY-HI:人って、真面目な話をするゾーンとふざけたことを言うゾーンを完全に分けちゃう方が楽じゃない。俺自身もそういう時があるんだけど、SIRUPはそこを分けずに混ぜていく感じがすごいよね。

SKY-HI(スカイハイ)
圧倒的なRAPスキルのみならず、卓越したボーカル&ダンス&トラックメイキングスキルでエンターテインメント性溢れるコンテンツをセルフプロデュースで創り上げ、常に世に提示し続ける。2020年には、マネジメント/レーベル「BMSG」を立ち上げ代表取締役CEOに就任。ボーイズグループBE:FIRSTやMAZZELをプロデュース。アーティスト・プロデューサー・経営者と多岐に渡り才能を発揮している。

SIRUP:嬉しいです。俺はSKY-HIの、社会的意義を持って何か変えようと活動する部分にシンパシーを感じてて。その上で、ビジネスとして成功させているところも尊敬してる。自分はまだ「自分のことを通して」というスケールで動いているところがあるし、結構感情ベースで動くけど、SKY-HIは知的好奇心が強くて、戦略的なデータベースと自分の感情が合わさって色々な角度から言葉が出てくるのはすごいなって、マジで思います。

SKY-HI:ありがてぇ。

SIRUP:あとは音楽シーンをもう、全部経験してるじゃないですか。

SKY-HI:そうなの。キメラだよね。

SIRUP:この業界、長くやればやるほどキメラになっていきますよね。

SKY-HI:なりたくてなったキメラでもあるけど、ならざるを得なかったキメラでもある。やりたいこと自体は昔から変わってないんだけど、2010年当時のHIP HOPの状況とかロックフェスの状況とか、生存環境が毎回違ったから、エラ呼吸もできるけど空も飛べる、みたいな生き物になっちゃった。「ロックバンドのボーカリスト」みたいなわかりやすさとは対極の、説明が難しい、ハイコンテクストな人間になっちゃったなって。

SIRUP:アイドルとしてのアイデンティティも、ラッパーとしてのアイデンティティも完全に築いてきたじゃん。それは尊敬しているところだし、ほんまにめちゃくちゃしんどかったよなって。何かしらのレッテルを貼られたり、枠にはめ込まれても切り込んでいった。ハートの強さがあるなって。

SIRUP(シラップ)
ラップと歌を自由に行き来するボーカルスタイルと、自身のルーツであるネオソウルやR&BにゴスペルとHIPHOPを融合した、ジャンルにとらわれず洗練されたサウンドで、誰もがFEEL GOODとなれる音楽を発信している。「FUJI ROCK FESTIVALʼ21」に、国内のR&Bアーティストでは異例となる初出演でメインステージ GREENSTAGEに立ち、圧巻のパフォーマンスを魅せた。これまでにイギリス・韓国・オーストラリア・台湾などのアーティストとのコラボ曲をリリースしている他、2022年には自身初となる日本武道館公演を開催するなど、日本を代表するR&Bシンガーとして音楽のみならず様々な分野でその活躍を広げている。

SKY-HI:あと、無謀さね(笑)。

SIRUP:無謀さと「絶対やってやるぜ」っていう自信を、10年以上持ち続けているんだよね。しかも自分のことだけじゃなくて、BMSGもやっているわけで。

SKY-HI:「ああやって苦しんだから、これが生まれたんだ」ってものが欲しくて会社を作った側面もある気がする。自分の会社を作って、自分の好きな音楽を作って……っていう夢は、やっぱ見るじゃない。20代の頃は、この規模感でやろうっていうところまでは考えてなかったけど、BMSGの準備をする時に、自分1人でやるのか、Novel Coreみたいな毛色の変わったアーティストを抱えるHIP HOPレーベルをやるのか、第3の選択をするのか、考えたの。それで結論、一番やるべきなのは「未来の俺みたいな子」を救える場所を作ることだと思ったんだよね。

やっぱ自分のことが分からない。200人くらいいる自分を「1人ずつ肯定する旅」をしてる。(SIRUP)

SIRUP:もう1つ聞きたいのが、自分たちの世代だとレゲエとHIP HOPはバチバチに対立していたじゃない? 今はアイドルもHIP HOPも全盛期だけど、この動きをどう捉えてるのかなって。

SKY-HI:俺たちが20代後半の時って、まさに韓国がそうだったじゃん。アイドルとHIP HOPが全盛で、HIP HOP性の強いアイドルのラッパーと、アイドル性の強いHIP HOPのアーティストがコラボすることが沢山あったし、それが羨ましかった。だから今自分が20代前半だったらトライしてみたかった気持ちもあって、羨ましい。でも、俺が引退してからじゃなくて、自分が現役でマイクを握っているタイミングで、日本の音楽シーンがここまでくることができたのは良かったなって。

SIRUP:それを実際に担ってますしね。

SKY-HI:何かを担っている自負はあるし、もっとやりたいこともいっぱいある。ちゃんみなと一緒に『No No Girls』もやったけど、ちゃんみなはコロナ禍に週5で会ってた親友でもあるし、よく一緒にいる中で、自分自身をジャンルとして提示するってことを、まだ自分はやり切れてないなって反省して。だから今年は久しぶりにアルバム出すけど、ちょっと頑張ろうって感じ。

―何を頑張りたいんですか。

SKY-HI:存在証明。BMSGの中ではプロデューサーとしても社長としても権力勾配が自分に傾いている分、承認欲求を消す必要があるって意識してて。BE:FIRSTと一緒にやっていくことでその欲求が満たされてもいたから、承認欲求がない時期を2年くらい過ごしてて。その状態でいられること自体は人としては素晴らしいことだけど、表現欲求も薄くなっていて。それが去年、承認欲求が今一番強い時期の若いアーティストたちと話したり、一緒に物を作ったりする中で、「今、俺、一番頑張らなきゃ駄目な時だ」と思って、また最近めっちゃラップしてる。

―承認欲求の話でいうと、自分がやりたいことと、自分が他の人のためにやりたいことっていうのが混ざって、アーティストがプロデューサーの所有物になっちゃうっていうのは、問題としてありますよね。

SKY-HI:そうならないようにしたいなと思ってたんけど、今は特に意識してないかも。シンプルにそれが、やるべきことの優先順位に入らない。なんでアルバムを出すのかっていうと、それを「やりたい」ってだけじゃなくて、「やるべきこと」だと感じてるから。BMSGとしてBE:FIRST以外にも色んなアーティストがいて、「中1から見てきた新しいグループのデビューが今年あるよ」ってなったら、多分世間的な説得力をもう1つ作る必要があるなって。つまりBMSGっていう法人格での優先順位と、自分個人の「今やりたいこと」が重なってるから、フルスイングしてるっていう感じ。「やるべきこと」と「やりたいこと」が合致しない限りはリリースしないようにしようかなって思ってて。

―やりたいことを両方で見つけ、やりたいことがあり続けるっていうこと自体がすごい難しいよね。それはたとえばSIRUPの場合だったら、数字を追うこと以前に海外のアーティストと曲を作ることによって、新しい世界を知るとか、社会的な課題に対する活動をするとかあると思うんだけど。

SIRUP:そうですね。あとすごいパーソナルな話になってくるけど、やっぱ自分のことが分からないんですよね。200人くらいいる自分を「1人ずつ肯定する旅」をしてる感覚もあって。

SKY-HI:なんか分かるかも。

SIRUP:色んな人と向き合うことで自分を知っていく、みたいなのが好き。やっぱり海外コラボとか、文化圏を超えていくと、学びも出会いもすごくある。自分はまだ、めちゃくちゃ時間をかけて自分自身をコントロールしてる感じがあるけど、SKY-HIがこれだけ色々なことをやれるのって、そこが長けてるんだと思う。同時に、自分を大事にしてるじゃないですか。

SKY-HI:一応してると思う。できてるはず。

SIRUP:だから、今のBMSGのために自分をもう1個格上げしたいっていうのもあると思うし。

SIRUPが「楽しんで発信する」現場の空気に興味がある。(SKY-HI)

―「色々なところに出て行って、人との出会いを通じて新しい自分を知る」って話が今出たけど、『Grooving Night』がまさにそういうテーマだと思う。あと日高くんが「色んな優先順位がある」って話をしている中で、『Grooving Night』に出てくれるのが嬉しいなって。

SKY-HI:シンプルにSIRUPと話したいなと思って。自分のラジオ番組もそうだけど、会いたい人と、アイドリングトークなしで真面目な話がたくさんできるから、時間以上に得られる栄養が大きい。リソース取られるって意味では確かにそうかもしれないけど、SIRUPと深い話から軽い話までできて、しかもセッションまでできるのなら楽しいなって。今話したい人ランキングで言うと、トップ3では間違いなくある!

SIRUP:めちゃくちゃ嬉しい。

―『Grooving Night』に関して、興味のある点は?

SKY-HI:さっきも言った通り、SIRUPの「楽しんで発信する」って部分を尊敬してるし、それを実際にやってる現場の空気に興味がある。もちろん色んな仲間含めてのアクションだとは思うけど、代表して表に立つ立場のSIRUPの姿はめっちゃ見たいな。SIRUPは音楽も含めて、メッセージが説教臭くないし、あざとさがないよね。やっぱり、あざとさがないのはデカいかも。

SIRUP:コロナが始まってからは特に、説教臭くにならずに「みんなで考える」「自分の考えを伝える」のをどうやるのか考えてた。『Grooving Night』を企画する時も(初回は2023年3月開催)、「寝る前に喋ってるぐらいのものをみんなでやろう」っていうアイデアがあって。今までゲストに来てくれた人たちも社会的問題に関する発信をしている人たちだったけど、SKY-HIはその中でも一番取り組みまくって発信もしながら、メジャーのところでも勝ち抜いてる人。もっと言うと、社長という側面がある人と俺が、ベッドを並べて何を喋るのか、楽しみにしててほしい。

『Grooving Night』は「寝る前に、グルーヴ溢れる夜を過ごそう」をコンセプトに、「音楽・社会・人」をつなげる新しい音楽イベント。ベッドが並んだセットの中、パジャマ姿のSIRUPとゲストがトークを行っている。(撮影:ハヤシマコ)

SKY-HI:その感じがすごい素敵だなと思う。過激派じゃないっていうかさ。絶対に主張すべきものは強く持ちつつ、世の中にたくさんある「そうは言っても」の部分を許容する心もあるじゃん。世の中を良くするためには、潔癖では良くないって思うんだよね。江戸時代の「白河の 清きに魚も 住みかねてもとの濁りの 田沼恋しき」(※)じゃないけどさ。発信することも白か黒かじゃなくて、白に近いグレーに近づけていきたいし、真剣な話でも空気が硬いのは嫌だから、なるべくカジュアルにやりたい。だからさ『Grooving Night』のパジャマでやるというインターフェースはすごくいいよね。

※編注:汚職にまみれた田沼意次時代の後、寛政の改革を進めた松平定信のあまりの引き締めに庶民が辟易し、田沼時代の華やかさを懐かしんだ歌

今は過渡期で、たとえ自分たちが楽にならなくても、未来のシーンでその変化が起きればいいですね。(SIRUP)

―新曲の話もしたいんだけど、世代も国境も超えたコラボが面白いなと思いました。

https://open.spotify.com/intl-ja/track/2cXkFKFgEW5Myc0yNy6CqL?si=ea904f146f6c4b71

SKY-HI:コラボの話で言うと、自分が若い頃は、アイドル出身でアンダーグラウンドでもバチバチに活動してるラッパーなんていなくて。もしそういう先輩がいて、フィーチャリングに誘ってくれたら、どっちの層にもリーチする可能性があるし、めっちゃやる気出たなと思うんだよね。

たとえば今回一緒にやったMAZZELのRYUKIは、「RYUKIっていうラッパーがいるのがMAZZELだよねって言われるくらいまでデカくなりたい。それをモチベーションにしてる」って言ってて。俺は当時所属していたマネジメントやレコード会社から「グループで有名になったら、その後にソロでやりたいことができるからさ」みたいなことを言われたんだけど、BMSGでそういうの絶対に言いたくない。

―その根底にあるのが怒りなのは、SIRUPも近いと思う。

SIRUP:あー確かに。火の消えるタイミングはまだ訪れていない人生ですけど。

SKY-HI:行動力ってトラウマと比例するよね。

SIRUP:ほんまにそうかも。海外とのコラボっていう話だと、日本にいるとトラウマや怒りが見えちゃうけど、海外に出ると価値観が違って楽になるっていうのもある。もちろん他の国は他の国で、同じようなトラブルと怒りを抱えているし、結局仲良くなるのはそういう人たちなんですけど。でも、俺はたとえ世界を股にかけたとしても、仲間探しだと思ってるんで。出会ってくれた人とか助けてくれた人とかに、感謝の気持ちがすごくある。

https://www.youtube.com/watch?v=-syCMxJAqfI
韓国のR&Bシーンを牽引するレジェンド・Zion.Tとのコラボ曲

SKY-HI:まさに俺も、2017から8年くらいに日本で絶望して。アイドル? ラッパー? みたいな論争も、こんなにやってきてまだ言われんのか? って。30歳超えて次第におじさん扱いをされていけば、アイドルどうこう、見た目どうこうの話もなくなると思ったら、全然そんなこともなかった。それで俺が髭生やしたり坊主にしたらアンチに負けるみたいで嫌だし、「絶対このままいってやる」とは思ってたんだけど、アジアの他の国だったら、普通じゃん。「アイドルもやってて、アンダーグラウンドでもラップやってんだ。すごいね!」で終わるのが気持ち良くて。タイにしろ、韓国にしろ、インドネシア、シンガポールにしろ、日本以外はどこの国のラッパーとかアイドルと絡んでも、あんまり変な目で見られない。

「逃げたら居心地が良かった」っていうのがスタートにはあったけど、それを通して出来た友達って楽しいし、知らなかった扉を開けられるし。さらにそれが、誰かの「知らなかった扉」を開ける作業にも繋がるから、頑張りてえって感じになっていった。

SIRUP:SKY-HIは扉を開けまくってるよね。2010年ぐらいは、アイドルやってる人がアンダーグラウンドに出てるなんてめちゃくちゃレアで、大阪にいてもSKY-HIの噂がくるくらいだった。今なんてAile The Shotaとか若い子たちは「SKY-HIに影響受けてる」レベルじゃなくて、「日高くんがやってたから別に普通でしょ」くらいの感じで、確実に時代を変えてきてるし、時代は変わってきてる。海外に行って楽になったと言いつつ、日本も変わってきてはいる。今はそんな過渡期で、たとえ自分たちが楽にならなくても、未来のシーンでその変化が起きればいいですね。

SKY-HI:そう思う。自分もあと何年かまだアーティストとしても頑張ると思うんだけど、確信していることがあって。多分5年後ぐらいにNovel Coreが30歳ぐらいになって、ラッパーとかアイドルとかロックとか言われないで済む、説明不要なレベルになった時に、俺も再評価してもらえるから。

―確定演出。

SIRUP:その確定演出、結構あるもんね。Novel Core以外も。

SKY-HI:所属アーティストみんなポテンシャルと才能とモチベーションがすごく高いし、所属してくれて本当に嬉しい。そして自分のスタイルが継承されていくところには誇らしさもあるし、一方で責任も感じる。

だからこそ、いざ俺がマイクを持ってステージに上がった時に、パフォーマンスがイマイチだったら嫌で。所属アーティストのことがめちゃくちゃ好きだからこそ、所属アーティストが自分のことを他の人に紹介する時に、カッコいいって思ってもらえないとやばいなっていうプレッシャーも、去年ぐらいから湧いてきたかも。

R&Bというルーツを持ってる人たちみんなが食えるシーンを作りたい。(SIRUP)

―個人的には、Shin SakiuraやMori Zentaroなど、SIRUPと一緒に成長してきたアーティストがBMSGのシーンで再評価されるっていうのが嬉しくて。客観的に見ていて、やっぱそれぞれシーンを育成してきた2人だと思います。年齢的には新人アーティストではなくなってきたわけで、どういう風に今の自分を見てるのかっていうのを聞いてみたくて。

SIRUP:自分はそろそろ口に出していかなあかんなと思ってるんですけど、10周年に向けてやりたいことがある。今の日本はHIP HOPは盛り上がってきているけど、R&Bの認知っていうのがあまりないから、R&Bというルーツを持ってる人たちみんなが食えるシーンを作りたい。今の状況を客観的に見て、「やるなら自分しかいないな」って思ったから、今それに向けてやれることを動いてるっていう感じですね。

SKY-HI:めっちゃ分かる。本当に今言ってくれたようなことをやりたいんだな。それこそアイドル、ボーイバンド、ダンス&ボーカル、言葉は何でも良いんだけど……日本はアイドルっていう言葉がガラパゴス成長してっちゃったから、何を指してアイドルかっていう論争を本当にしたくない。

これは半分諦めているんだけど、ちゃんと批評できるメディアが無くて。なんでかって言ったら、ファンがキレるんだよね。紙だと辛辣なこと書いたりする媒体も少しは残ってるけど、ウェブメディアで批評めいたことをやったら、ただただ炎上する。でも、そういう状況って健全なシーンの育成に繋がらないじゃん。批評できるメディアが存在しないから、誰かもよく分からない人の投稿がSNSでインプ集めちゃうわけでしょ。そういうのって、ネガティブな方がインプ集めるし。インプ集めたら、それがまるで正論かのようになるじゃん。でもそこは、素人に任せちゃいけない分野だから。

―40歳という分岐点を捉えるなら?

SKY-HI:意識してることはいっぱいあるけど、一言で言うなら「正しくビビリ続ける」。もうこれは避けようがないから。年齢もキャリアもさ、増えてきこそすれ、減らないじゃんね。から、自分もSIRUPも功績と言われるようなものがあるわけで、人によっては、それ自身が圧になる可能性があるっていうことに対して、常にビビリ続けるっていうことかな。

たとえばちゃんみなと『No No Girls』をやった時は、ちゃんみなっていう絶対的なプロデューサーもいるし、間違っても自分の存在を意識して欲しくなかったんだよね。参加者たちはちゃんみなだけを見て、対話していかないと雑念になっちゃうから。とは言えちゃんみなって、まだ26歳の女性、しかも初産。だから責任の分散として、大人として、自分がやる仕事はあると思ってずっと付いてはいたけど、極力圧にならないようにと思ってた。

SIRUP:客観的に見まくっているよね、常に。

SKY-HI:若い頃は若い頃で、功名心とか承認欲求をメラメラに燃やしてるのがカッコ良さにもなったりするけど、年齢とかステージによって、そういうのが卑しさになっちゃう可能性もあるから。丁寧にほうきとちりとりで心の掃除をして、「ここだったら人を招いても大丈夫かな」っていう、心の部屋は常に綺麗にしておかないといけないよね。

SIRUP:社長とかプロデューサーとかいろんな呼ばれ名があって、それでもやっぱり人間としての「日高」がいるわけじゃないですか。その人間の部分を見つめようと意識してるのか、ワーッて走り回ってる途中でぱっと出てくるのを感知するのか、どっちなんですか?

SKY-HI:社会の中での自分とかも関係なく、哲学の意味でのエゴってことだよね。

SIRUP:そう。消し続けてるじゃないですか、今の話で言うと。

SKY-HI:いや、消えないでずっといる。そいつがずっといるからこそ、丁寧に心の掃除しないとって考えてる気がするな。HIP HOPとかラップの文脈って、延々と自己紹介する職業でもあるわけじゃない。

SIRUP:「これが今の自分なんですけど」っていうね。

SKY-HI:そうそう。自分のことばっかり書くから、自意識と向き合う機会は多分人より絶対に多いんだよね。だからこそ、自意識を肥大化させるための毎日を送らないことが大事っていうか。自意識をちゃんと持ってるからこそ、それをそのままいさせるために、心の部屋を綺麗にしておくと、そいつも居心地良いし。誰かがそこに来たとしても、極力不愉快なく帰ってもらえるようにできるのかなとかを考えてる。

SIRUP:アンダーソン・パークと話す機会があったんだけど、彼も「セッションするとき大切なのはエゴを無くすこと」って言ってて、やっぱそうなんやって思って。誰かと一緒に曲を作るってなった時は、「良い曲を作る」ことを目標にするのがベストだから。

SKY-HI:それこそ、ダンス&ボーカルを志してる人とかに「どうやったら個性を出せるか」って聞かれるんだけど、「出そう」として出すもんじゃなくて、「消そう消そう」としても出てしまうものを人は個性って呼んでる。だから、基礎的な能力が上がれば上がるほど、個性を出そうというのはわざわざ考えずとも、ただ自分の「好き」とか、「こういうのは楽しい」とか、そういうプリミティブな喜びをピュアに追求すると、おのずとうっかり出てくるから。それを獲得する前に、好きなアーティストに寄せちゃったり、勝手に他人の服を着ようとしちゃ駄目な気がするのよね。みんな個性豊かですよ。見てよ、この取材現場もめっちゃ個性豊かじゃない(笑)。

SIRUP:そうですね、この面々。

SKY-HI:特に個性豊かな現場な気がします。

SIRUP:でもほんと、それやわって思った。ほんまにプリミティブに、みんなで曲を作るにしても楽しいしかないし、結局、どこに行っても、楽しみがね。大事ですね。すごいインタビュー。

―では、残りの話しは『Grooving Night』に取っておいてもらって。

SKY-HI:そうか、まだ本番がある。

SIRUP:本番があるんだよ。めちゃくちゃ面白かった。

―2人があまりにも通じるところが多くて、喋っている途中なのに「めっちゃ分かる」みたいになってるのが面白かった。ありがとうございました。

『Grooving Night vol.5』

【出演】 ホストアーティスト:SIRUP/ゲストアーティスト:SKY-HI
【会場】 オリックス劇場(大阪)
【日程】 2025年3月29日(土) 18:00 開演(17:00 開場)/ 20:30終演予定

【チケット】※税込
Groovingシート(特典グッズ付き)¥13,000、Groovingシート(特典グッズなし)¥11,000 共にSOLD OUT
1階・2階指定席¥8,000 SOLD OUT
3階指定席¥6,800、車イス・ユニバーサル席¥8,000
※U-22は各席種¥1,500引き(公演当日22歳以下、顔付身分証提示で代金引換)
※未就学児入場可。2歳以下のお子様は保護者(大人)1名につき、1名まで膝上鑑賞無料。 但しお席が必要な場合は有料。
※チケットはお一人様一公演ごとに4枚まで

【一般発売】 チケット発売中
イープラス:https://eplus.jp/groovingnight/

ローソンチケット:Lコード:53422
URL:https://l-tike.com/groovingnight/

チケットぴあ:Pコード:289-070
URL:https://w.pia.jp/t/groovingnight/

楽天チケット:https://r-t.jp/groovingnight

【主催】 読売テレビ/キョードー関西 【企画制作】 読売テレビ
【協力】 CINRA/The ONOE FURNITURE
【協賛】Billboard Live OSAKA
【視聴覚障害鑑賞サポート】読売テレビ/キョードー関西
協力:一般社団法人コンサートプロモーターズ協会 関西支部会

【公式SNS】
X:https://x.com/groovingnight
Instagram:https://www.instagram.com/grooving_night
TikTok:https://www.tiktok.com/@grooving.night

【一般問合せ】 キョードーインフォメーション0570-200-888 (11:00~18:00日祝休業)

音楽イベント『Grooving Night』 が地上波特番に! SIRUP×Ayumu Imazu 2マンライブ!パジャマ姿でトーク&セッション

昨年9月20日に大阪・オリックス劇場にて開催された『Grooving Night #4』の模様を放送。ゲストは、アメリカと日本を拠点に活動、昨年「日本レコード大賞企画賞」を受賞した、今最も勢いのある新世代アーティストAyumu Imazu。ホストSIRUPと“寝る前に、グルーヴ溢れる夜を過ごそう”をコンセプトに、「夜のくつろいだ部屋」をイメージしたステージで一夜限りのライブ&トークを届けます。

【番組名/放送日時】
「SIRUP×Ayumu Imazu音楽ライブ『Grooving Night』#4」
2月21日(金) 深夜25:30~26:00 放送予定 ※関西ローカル
【出演】 <ホスト・ナレーション>SIRUP  <ゲスト>Ayumu Imazu  <次回ゲスト>SKY-HI

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