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予習不要で楽しめるスター・ウォーズ最新映画『マンダロリアン〜』、その目論見は成功

2026.5.23

#MOVIE

膨大なシリーズを「履修」するハードル

『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』を公開初日に鑑賞してきた。

『スター・ウォーズ』シリーズの7年ぶりとなる劇場公開映画で、2019年よりDisney+にて配信された『スター・ウォーズ』シリーズ初の実写ドラマ『マンダロリアン』を受け継ぐ作品だ。

『マンダロリアン』にはこれまで3シーズン・全24話のエピソードがあり、また、別のドラマシリーズ『ボバ・フェット(The Book of Boba Fett)』も、7話のうち3話が『マンダロリアン』と大いに関係している。加えて、ご存知のように『スター・ウォーズ』シリーズには、「本編」となる実写映画9本に加え、スピンオフ映画、アニメシリーズ、ドラマシリーズの膨大なフランチャイズが存在し、今回の映画はそれらの物語世界とも「地続き」のものでもある。

もはやイチから全て「履修」するのは物理的に困難な状態にあって、「過去作を見ていないと新作を楽しめないのでは?」という疑念は、新規客参入の大きなハードルとなっているはずだ。当然、制作サイドもその点は重々考慮しているはずで、「初見で楽しめる」つくりが(こと劇場映画に於いては)強く意識されていることは想像に難くない。

実際、監督を務めたジョン・ファヴローは、今作についてのインタビューなどで「単独の映画として見て楽しめるものにした、予備知識はいらない」という点をたびたび強調している。もともとドラマのシーズン4として予定されていた脚本をゼロから再構築し、自分自身が子どもの頃にはじめて『スター・ウォーズ』を見たときの体験をもたらすような映画を目指したのだという。

予備知識不要な、宇宙版『子連れ狼』

では、その目論見は成功していたのか。「予備知識不要」という点については、完全にイエスと言っていいだろう。

『マンダロリアン・アンド・グローグー』を見る上では、『スター・ウォーズ』本編の物語上の歴史も、フォースとは何かも、マンダロリアンという民族に共有される教義も、全く知っている必要はない。彼らが纏う(ベスカーという金属で作られた)アーマーの硬さも、緑色の小さな生き物=グローグーが何百年も生きる種族であることも、作中で無理なく説明される。今作の重要な登場人物(といっても人ではないが)ロッタをめぐるパートは、彼の父ジャバ・ザ・ハットが何者か知らなくても、存分に楽しめるつくりになっている。

ストーリーの土台は、ドラマ『マンダロリアン』を踏襲している。すなわち、宇宙版『子連れ狼』(※)である。

※『子連れ狼』:1970年代に連載されていた小池一夫原作の時代劇漫画で、たびたび映画化 / ドラマ化されている。主人公の素浪人・拝一刀が、その幼い長男・大五郎を乳母車に乗せて流浪の旅をしながら、さまざまな事件に巻き込まれていく。

舞台ははるか彼方の銀河系。悪の帝国が反乱軍によって打倒されたものの、新しい共和国による政治体制はまだ安定しておらず、辺境の星では強盗や無法者、帝国の残党がはびこっている。主人公のディン・ジャリン(ペドロ・パスカル)は賞金稼ぎとして活動していた人物で、あるミッションの中で偶然出会ったグローグーという小さな緑色の生き物を、行きがかり上守り助けざるを得ないことになり、行動を共にしている。このグローグーはなにやら不思議な力を持っており……。

映画もドラマと同じくこのフレームの中で展開していく。ドラマ『マンダロリアン』は、全体を通した大きなストーリーラインは存在するものの、一話完結的な性質も持っていた。『マンダロリアン・アンド・グローグー』もそれを受け継ぎ、「一話完結のドラマ3話分」のような映画になっている(まさに「TVヒーロー番組の劇場版」らしい手法だ)。

試写やプレミアの感想を眺めている中で、「スター・ツアーズ」(=ディズニーランドにある『スター・ウォーズ』のアトラクション)のようだ、という評言を目にしたが、言い得て妙だと思う。シリーズ定番の戦闘シーンや危機一髪のエッセンスを、説明を求める隙もなく次々に投入し、飽きさせないつくりは、さながら5分間のライドのようだし、実際4DXやMX4Dで鑑賞したらより楽しめるだろうと思う。

また、「フィギュアを並べたような映画」という感想も、的確だと感じた。そのコメントは批判的な文脈で書かれていたものだが、良い意味でもその通りだと思う。『マンダロリアン』〜『マンダロリアン・アンド・グローグー』は、『スター・ウォーズ』が持つ多様な魅力の中で、「宇宙を舞台とした活劇(西部劇 / 時代劇)」という側面を強く引き継いだシリーズだと言える。よくわからない生き物や、よくわからないメカがひしめき合う世界で起こる、ハラハラドキドキの物語。いわば、「おもちゃを戦わせて遊んだりしたくなるような」タイプの作品なのだ。

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