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『スーパーマリオ』最新映画は王道SF? 「設定」から抜け出し、本当の居場所を探す旅

2026.4.24

#MOVIE

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』から3年。待望の続編『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』が遂に公開された。

キノコ王国でピーチ姫を助けながら平和に暮らしていた配管工の双子、マリオとルイージ。本作で彼らが飛び出すのは、文字通りの「宇宙」だ。新たな相棒・ヨッシーとの出会いや、クッパJr.の邪悪な野望、そして謎多きロゼッタの登場など、スケールアップした冒険がスクリーンいっぱいに描かれる。

しかし、このエンターテインメント大作の奥底には、前作以上に深く、そしてスリリングなテーマが横たわっていた。本作が真に描こうとした「プログラムからの反逆」、そしてキャラクターたちの「実存」について、映画におけるSFの王道構造や「マリオ劇団」という任天堂の哲学から紐解いていく。

※本記事には映画の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

「重力」の地上から「無重力」の銀河へ

全世界興行収入13億ドル超というメガヒットを記録し、任天堂が本格的なアニメーション制作に乗り出した記念碑的作品、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023年)。誰もが知る超人気ゲームの映画化でありながら、この作品の根底に流れていたのは、意外にも移民と難民という極めてハードなテーマだった。

マリオとルイージの兄弟は、ニューヨークのブルックリンに暮らすイタリア系移民。アメリカンドリームを夢見て、自分たちで配管工のビジネスを立ち上げるものの、なけなしのお金で作ったCMはバカにされ、元上司からは見下され、実の父親にまで呆れられてしまう。何者かになろうと必死にもがく彼らは、世間から冷ややかな視線を浴びせられていた。

キノコ王国を治めるピーチ姫もまた、難民としての深い孤独を抱えている。幼い頃に見知らぬ世界に迷い込んだ彼女には、自分のルーツについての記憶がまったくない。キノコ族に保護され、仲間として温かく迎えられた彼女は、やがて女王としてこの国を統べることになる。だが、国中からどれほど愛されようとも、「自分が何者なのか」という根源的な問いが消え去ることはない。

ピーチ/ © 2025 Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved.

ブルックリンで自分の価値を証明しようともがく移民の兄弟と、故郷の記憶を持たない難民の女王。そんな彼らが手を取り合い、悪の帝王クッパを打ち倒すからこそ、前作は「自分の居場所を探求する物語」として観客の心を打った。世間に認められたことで、マリオたちは自分たちを縛り付けていた偏見や差別から、ついに解き放たれたのだ。

そう考えると、今作の『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』(2026年)が舞台を宇宙へと移したことには、非常に大きな意味がある。彼らを縛り付けていた息苦しい地上の「重力」は断ち切られ、上も下もない、あらゆるしがらみが消え去った「無重力」の銀河へ。この無限の空間への跳躍は、世間のレッテルから解放された彼らが、自分たちの本当のルーツをまっすぐに見つめ直すための必然的なステップだった。

舞台のスケールが無限に広がったからこそ、物語は逆に姉妹や親子といった、彼らを強く繋ぎ止める、確かな家族の引力へと向かっていく。クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』(2014年)が、時空を超越する親子の愛を描き出したように、広大な宇宙空間とパーソナルな家族の絆の対比は、SF映画における王道の構造。本作もまた、その堂々たる系譜へと見事に足を踏み入れているのだ。

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