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Chilli Beans.の不思議なバランス。3人の個性と、変わり続ける関係性について語る

2026.5.27

Chilli Beans.”breath”

#PR #MUSIC

バンドは不思議だ。複数の人間がひとつの音楽を奏で、そして、年月も重ねていく。不思議である。バンドを見ていると、時折、そのバンド自体が、「ひとつの命」を持った生き物のように見えることもある。個人の意志を超えた、もっと大きな「バンドの意志」のようなものに突き動かされているのではないか? そんな風に見える人たちもいる。

この記事の主人公であるChilli Beans.は、YUIやVaundyなどを輩出したことで知られる音楽塾ヴォイスのシンガーソングライターコースにいた3人が、講師の勧めで結成したというバンドの始まりからして、ちょっと特殊な形を持っている。写真をパッと見てもらえばわかると思うが、3人それぞれが違った個性を持っているし、楽曲制作も、全員がシンガーソングライター志望だったがゆえだろう、誰が楽曲の中心を担うかは曲によって変わっていく。ただ、作詞作曲のクレジットは常にChilli Beans.名義。一体、彼女たちはどんな関係性の中でChilli Beans.というバンドとして生きているのか? そんな疑問を胸に、今回の取材に臨んだ。

彼女たちの新曲“breath”は、小池栄子主演のNHK土曜ドラマ『ムショラン三ツ星』の主題歌として書き下ろされた1曲。ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の挿入歌だった“that’s all i can do”などで見せたチャーミングで軽快な一面とは異なり、ダークで、そして力強さを感じさせる1曲だ。バンドの飄々とした佇まいの奥にある、流されることも、屈することもない確かな意思が、この曲には表れているように感じられる。インタビューは、この魅力的な新曲の話から始まる。

「“キュートさはいらない”と言われたとき、嬉しかったです。“きたきたきた!”って感じ(笑)」(Moni)

―新曲“breath”はドラマ『ムショラン三ツ星』の主題歌ですが、もしChilli Beans.に「明るくてポップなバンド」というイメージを抱いている人がいたら、この曲を聴くと驚くと思います。そのくらい“breath”のサウンドはスケールが大きく、内省的で、しかし、その内省の中に力強さを感じさせる1曲ですね。まず、この曲の成り立ちから教えてください。

Moni:ドラマの台本を読んだとき、ちょっと暗めで、重めのイメージが湧いたんです。静寂、もがいている感じ、苦しみ、罪……それでも、光が射してくる。あとは、強さや、進める力。そういうものも表せたらいいなと思いました。ドラマのチームの人たちからは「キュートさは一切いりません」と言われていたんです。そのオファーもクールだなと思って。なので、本当にシビアなものを表現しようと思いました。シビアなものを表現するなら、音がたくさんあるものより、言葉の強さや、一つひとつの音がちゃんと聴こえてくるアレンジがいいんじゃないかと思って作った曲が“breath”です。

―「キュートさは一切いらない」というのはきっと、Chilli Beans.のパブリックイメージを求めたというより、Chilli Beans.のこれまでの作品を知ったうえで、バンドの表現を真っ直ぐに求めたオファーですよね。

Moni:「キュートさはいらない」と言われたとき、嬉しかったです。「きたきたきた!」って感じ(笑)。

Maika:今回の曲は、「本当のMoni」って感じがします。タイアップって、私たちの場合キャッチーさを求められることが多いんです。爽やかで、可愛くて、みたいな。私たちにはもちろんそういう一面はありますけど、でも、それだけではないので。人間ってそういうものですよね。いろんな面がある。だから今回は、より「マジな一面」というか、ドラマチームが私たちのより深いところを見てくれたことが嬉しかったです。

(左から)Lily(Gt,Vo)、Maika(Ba,Vo)、Moni(Vo)
Chilli Beans.(チリビーンズ)
Moni、Maika、Lilyにより2019年に結成された3ピースバンド。作詞作曲からクリエイティブまでセルフプロデュースを行う。2024年に初の日本武道館単独公演を完全ソールドアウトさせ、2025年にはFenderからのシグネイチャーモデル発売など音楽外でも活躍。近年はモード学園CM、アニメ『地獄先生ぬ~べ~』EDなどのタイアップを次々と務め、2026年5月27日にNHK土曜ドラマ『ムショラン三ツ星』の主題歌“breath”をリリース。同年8月からは国内外23都市を巡る過去最大規模のツアーを開催。

―Moniさんは、ドラマの世界観に寄り添うだけでなく、個人的な部分で「こういう曲を作りたかった」という部分はあると思いますか?

Moni:あると思います。現実……というか、人間。生身の人間を表現したいっていう気持ちはあったと思う。生身の人間だけど、ちょっと神聖な感じ。ファンタジーではないけど、神聖な感じもする、海底のような、そんな空気感。そんな表現がChilli Beans.に新たに生まれた感じがします。

Maika:今までの自分たちにはない楽曲になったね。

Lily:バンドを始めてから時間も経った分、知っている音楽も増えたし、興味があることを追求する時間も増えたから。そういうものを曲に反映できる瞬間が、一番楽しいんですよね。今回もそれができた感じがします。自分を超えられた気がして、制作も楽しかった。

―Lilyさんは、“breath”には今のご自分のどんな興味関心が反映されていると感じていますか?

Lily:最近、ギターのインストアルバムをよく聴いていて。マテウス・アサトという人のアルバムとか、凄く好きなんです。どんな曲でも「この人が弾いているな」とわかる。そのくらい、ギターでちゃんと存在感を出せる表現に興味があって。そういう部分は、この曲に反映されていると思います。

「考え方は変わらないかもしれないけど、それを覆っている心の周りにあるものは、少し変われる」(Moni)

―Chilli Beans.の楽曲は基本的に、作詞作曲のクレジットはバンド名義になっていますが、曲作りについて、バンドを始めた頃と今とで、変わった部分はありますか?

Moni:レコーディングは変わったよね?

Maika:そうね。最近、制作をしているんですけど、そのレコーディングは今までとだいぶ違う感じになったなと思います。今まではデモに忠実にやっていたけど、最近、楽器隊は「よーい、ドン」で録るようになっていて。私たちはコロナ禍に活動を本格化しているので、最初はプロジェクトファイルを送り合って回すやり方で制作を進めていたんです。なので、デモの時点で突き詰めることが多かったし、それぞれがそれぞれの家でパートを録ることが多くて。そうなると、ピチッと合わせる方向に向かうことが多かったんですよね。でも今は、昔よりもグルーヴに目が向くことが多くなってきました。軽くできるようになってきたよね?

Moni:うん。マインドも変わったと思う。最近は、いろんな見方で、自分たちのことを見つめてレコーディングができている感じがして。それ以上でも、それ以下でもない自分たちというか。そうやって録った音って、爽快感があって、開けていて、でも、力強い。「成長したて」って感じの音になるんですよね。

Maika(Ba,Vo)

―「いろんな見方で自分を見る」という、その「いろんな見方」という部分は重要なことですか?

Moni:重要かも。「そういう考えもあるんだ」とか、「そういう人もいるんだ」とか、「この人はそういう言葉を言うんだ」とか、そうやっていろんな角度から自分を見た方が、曲に集中できる気がします。

Maika:逆にね。

Moni:私は心が影響されやすいから、ブレないように、守るために無理にシャッターを下ろしているときもあったけど、むしろ、いろんなものに影響されて、違う場所や違うものにどんどん流されて、その中で感じたことをポンって出したりすると、そっちの方が「これを自分は表現したいんだな」って、鮮明に見える気がする。だから、“breath”の制作も楽しかったです。ドラマの台本を見て、その言葉遣いから世界を想像して、いろいろ影響されて、みんなとも話して、曲を完成させていく。その工程が楽しかった。ワクワクしました。

―レコーディングの空気感が変わってきたのは、コロナの影響が減ったということ以外に、きっかけはあると思いますか?

Maika:シンプルにバンドをやってきた歴はあると思うし、あとは、ライブでの経験も大きいと思っていて。最近はtricotの吉田(雄介)さんがドラムでサポートに入ってくれているんですけど、それまで同期ありきでやってきたところが、2025年はビルボードライブで同期なしでライブをやってみたり、演者としての挑戦も最近は多くなっているんです。レコーディングを「よーい、ドン」でできるようになっているのも、ライブで培ってきたバンドのグルーヴを掴めてきているのかなって思う。タイトさよりも、ノリで見せられるものがあるってことに気づいてきたような気がします。

Moni:あと、少し心が広くなったんじゃない? 「試してみよう」とか「挑戦してみよう」って思えるようになってきた。怖さよりも、進む楽しさを感じるようになってきた気がします。「やってみないとわからないよね」ってマインド。心の中にある感じ方とか考え方って、本当の本当には変わらないかもしれないけど、それを覆っている部分、心の周りにあるものは、少し変われる気がします。

Moni(Vo)

―2026年は1月から対バンツアーがあって、8月から2027年の年明けにかけては大規模なアジアツアーも控えていますよね。最近のChilli Beans.はかなりライブ三昧の日々だと思いますし、そんな中で制作をされている、ということにちょっと驚いたんですけど、今、バンドとしてはライブにかなり前のめりなモードなんですか?

Maika:ライブはめっちゃ好きです。

Lily:ライブをできるって幸せなことだなって、最近、改めて感じます。自分たちの曲を体感しに来てくれている人たちに、エネルギーを返す瞬間が凄く楽しい。楽し過ぎるくらい(笑)。私は演奏することが好きなんだなって改めて思うし、それが最近の曲作りに現れている気もします。ライブをイメージしてフレーズを作ることも増えたし、前はギターを重ねることも多かったけど、最近は1本のギターだけで説得力のある演奏をすることに心が惹かれるようにもなっていて。そういう部分で、自分の変化を感じますね。

―「エネルギーを返す」というのは、ライブはバンドとお客さんの間でエネルギーが交感され、循環されていく場所だということですよね。

Lily:自分が演奏すると、お客さんから返ってくるものがあって。それを感じる度に、「もっと(ライブを)やりたい!」って思うんですよね。

―Chilli Beans.のライブを観ていると、ステージ上の風通しはどんどんよくなっている感じもしますね。自由になっているというか。

Lily:挑戦しやすくなったなと思います。前は「失敗したくない」って気持ちもあったんですけど、今は、現段階の自分でプレイしたいことを「失敗してもいいからやってみよう」っていうモードになっていて。そういう面では、自由になっているのかもしれないですね。

Lily(Gt,Vo)

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