シンガーソングライターとしての活動を主軸に、モデルや演技など多彩なフィールドに挑戦するchay。デビュー直後から注目を集め、順風満帆なキャリアを築いてきたイメージがある彼女だが、実際には周囲からの反対や「女性シンガーソングライターはこうあるべき」という固定観念、抑圧にも晒されてきた。そんな中で信念を貫くことができたのは、何があっても変わらない「音楽が好き」という強い気持ちがあったからだった。
1872年から続くバーボン、I.W.ハーパーも創始者アイザック・ウォルフ・バーンハイムの情熱によって生み出された。質よりも量を重視するバーボンも多かった時代に、アイザック・ウォルフ・バーンハイムは「fewer and better」(たとえ作り出せるものが少量だったとしても良いものを)が口癖だった。「バーボンは長期熟成が難しい」とされていながら、12年熟成のプレミアムバーボンも完成させた。バーボンにまつわる固定観念を、こだわりぬくことで突破したのだ。
「HARPER’S CROSSING~ I.W.HARPER とともに語る『好きを、貫く。』~」は、自分を信じ、「好きを、貫く」大人を応援するプロジェクト。鈴木伸之、近藤頌利、丘山晴己とゴルフをプレイし、大人の交流を終えたchayに、さらに深く自身の「好きを、貫く」哲学について語ってもらった。
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夢は歌手一択。音楽の軸があるから広げられた活動
ーchayさんの「好き」の原点からお聞きしたいのですが、歌手を志すようになったのはいつ頃ですか?
chay:両親が音楽好きで、家でよくエイティーズの洋楽が流れてたんです。それで私も好きになったんだと思います。幼稚園でも誰よりも大きな声で歌ってて、先生が「上手だね」って褒めてくれたんです。それがすごくうれしくて、調子に乗りました(笑)。それからは家でもブラシをマイクにしてずっと歌ってる子になりました。小さい頃に褒めてもらう体験って大事ですよね。

1990年10月23日生まれのシンガーソングライター。小学生の頃からピアノで曲を作り、大学に入学すると同時にギターを始めて路上ライブなどの活動をする。「はじめての気持ち」でCDデビュー。2015年にリリースした「あなたに恋をしてみました」がヒット。ファッション雑誌「CanCam」の専属モデルを経て、アパレルブランド「three sisters.」を立ち上げ。2024年11月にフルアルバム『THE』をリリース、2025年8月、自身初となるカバーアルバム『Humming』をリリース。『SUMMER SONIC』などのフェスにも精力的に出演。NHK Eテレ『The Wakey Show』(平日毎朝7:00〜、再放送 毎夕17:10〜放送)に歌の旅人ドーネ役として出演し、その他ラジオ / TVなど各メディアで多方面に活動している。
ー20代になってその気持ちに変化はありましたか?
chay:一度もブレることはなかったですね。小さい頃から変わらず、最大級の好きがずっと続いてる感覚です。苦手になったり、嫌いになったりすることもなく、夢は歌手一択でした。
ー音楽という強いベースがあるからこそ、色々なジャンルにも迷わず挑戦できるんですね。
chay:そうですね。私の音楽に出会ってくれるきっかけはたくさんあった方がいいなと思うんです。楽曲をリリースしてもなかなか辿り着いてもらえないことも多い時代ですけど、雑誌『CanCam』のモデルをやらせていただいたことでライブに来てくださる方もすごく増えたり。元々ファッションも大好きでしたし、全部繋がってるんですよね。

ー30代になって、新しい「好き」に出会うことはありますか?
chay:いま、NHK Eテレの『The Wakey Show』という子供番組に「音楽の旅人ドーネ」として出演させていただいています。子供も大好きで。もし歌手になっていなかったら、保育士さんになりたいという思いもあり、オーディションを受けました。番組の中で子供たちに向けたライブがあるのですが、なんとも言えないピュアで夢と希望に溢れた眼差しで音楽を楽しんでくれるんです。とっても癒されます。こっちが元気をもらっちゃうくらい。改めて、自分は子供が大好きなんだなと日々実感します。
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「もっとこうした方が良いよ」――周囲の声に、どう向き合ってきたのか
ーchayさんの「好きを、貫く」姿勢は、I.W.ハーパーの創始者アイザック・ウォルフ・バーンハイムに重なるところがある気がします。
chay:好きという気持ちってものすごいエネルギーですよね。それに勝る原動力ってないと思いますよ。私が育ってきた環境ではこういうことが幸せという固定観念が色濃かったんです。いわゆる良い学校を出て、良いところに就職して、良い人と結婚するみたいな。そういう環境にいるので、周りから色々言われて夢をあきらめてしまう人もいました。それはすごくもったいないですよね。
ーアイザック・ウォルフ・バーンハイムも、周りに何を言われようが、自分の大好きなバーボンの質にこだわり続け、その結果として数多くの賞の受賞に繋がりました。
chay:もう共感しかないですよ! 私もただ、「そういうものだから」という考えが一番苦手で。誰かから一般論で否定されても、腑に落ちたことがないんですよ。そこを覆していかないと、新しい道は切り拓けないと思うんです。

chay:ほんの一例ですが、私がデビューした頃は、アコギを持って歌う女の子はTシャツにデニムみたいなイメージがすごく強かったんです。だから当時は「そういう衣装にした方がいい」と言われてたんですけど、私は大好きなワンピースにヒールでオーディションを受けたり、路上ライブをしてました。「ギター弾くのに似合わない」ってめっちゃ言われたんですけど、じゃあ逆に誰とも被らないだろうなと思って。日本にはいなかったからここを極めようと。ギターにスワロフスキーをつけてキラキラにしたりしましたね。批判もされましたけど、唯一無二になれることを探していました。
ー前例がないと言われることは、逆にチャンスでもあるんですね。
chay:キラキラしたものが好きじゃないのに極めようとしても、中途半端になっていたと思います。でも私は好きだから、とにかくそこを突き詰めようと。
ー周囲の声に押しつぶされそうになったことはありませんでしたか?
chay:それが、あんまりないんですよね。例えばライブをやってもお客さんが一人しかいない時もあったけど、そこで諦めるみたいな感覚は一度もなくて。やっぱり歌うことが相当好きなんだと思います。あと、目の前で聴いてくれてるお客さんの笑顔とか涙を見ると、過去の大変だったことが全部帳消しになりますね。またがんばろうと思える。その繰り返しで15年くらいやれています。
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新しい好きなことを見つけるために「とりあえずやってみる」
ー今日はゴルフもプレイしていただきました。ゴルフを好きになったのはいつからですか?
chay:始めたのは20代の頃で、本格的にのめり込んだのはこの3年ですね。両親も姉も祖母も、家族みんなゴルフが大好きなんです。家にゴルフクラブが置いてあって、素振りの練習も日常的な風景だったので、大人になったら自分もやるだろうなと思ってました。


ーchayさんのInstagramやYouTubeを拝見していると、ゴルフのように好きなことを本当に楽しそうに発信していますよね。どうやって新しい趣味を見つけているんでしょう?
chay:いろんなことに挑戦したい気持ちがすごく強いんです。経験しないとわからないことって本当に多いじゃないですか。何でもまずやってみるのが癖になっています。やってみているうちにあっという間に時間が過ぎたりして、自然と好きになっている感じですね。あんまりアンテナを張って流行を追うタイプじゃないんです。仕事柄、張らなくちゃダメだと思うんですけど(笑)。とにかく色々やってみて、好きなことを発見してます。
ー実際に経験した実感があるから、こちらにも楽しさが伝わってくるんでしょうね。
chay:わかりやすいと言われますね。みなさんから見て楽しそうな時は、本当に楽しいんだと思います!
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責任を引き受けること。それによって広がった視野
ーカバーアルバムのリリースや、様々なコラボレーションなど、挑戦を通じて音楽的な表現の幅も広げていらっしゃいます。そういった積み重ねの手応えを感じたのはいつ頃ですか?
chay:2021年に独立した時ですね。自由度高く、自分の裁量で意思決定できるようになりました。リリースをするかしないか、ツアーをどこで回るか。一つひとつ自分で発案して行動に起こさないと何も動かない状況になりましたから。すごく大きな分岐点になっていると思います。
ー独立というのは、ミュージシャンにとって大人の階段を登ったと言えそうです。
chay:本当に階段を登ったような気持ちです(笑)。
ーもう「普通はこうだよ」と言う周囲の意見もないですよね。
chay:誰のせいにもできない状況がとてもいいところですね。組織の中で色々な方々に支えていただけたのは素晴らしい経験でしたが、何か失敗があった時に、心のどこかで誰かに対してもどかしく思ってしまうこともあったのかなと思うんです。今は、どんな失敗も他責じゃなく自責で捉えて改善して次に生かす。そんな当たり前なことも人は環境によって忘れてしまうんだと思います。
ー「責任」は大人のキーワードですね。
chay:うんうん、そうですね。責任を持ってやることで、見えてくることも多いです。撮影一つするにしても、自分でスケジュールを組んで、ロケハンに行って、絵コンテ描いて、美術セットも作ってみたり、全部やってみる。そうすると、一つひとつに対して「こんなに大変だったんだ」と想像するだけでは分からないことがありました。元々持っていたつもりだった周りの方々へのリスペクトや、相手の気持ちや、一つひとつの成り立ちの解像度が格段に上がりました。それを知った上で、自分にできること、プロにお任せすることを分けて考えられるようになりました。周りの方々に支えていただいて成り立っている、という感謝の気持ちはどんな時も絶対に忘れたくないです。
