2018年の『ヴェノム』、2021年の『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』に続く、シリーズ完結編となる『ヴェノム:ザ・ラストダンス』が11月1日(金)から公開される。
米ニューヨークではワールドプレミアが開催され、いち早く本編を鑑賞した批評家たちからは「シリーズ最高傑作」「エピックで感動的なフィナーレ」などと絶賛のコメントが寄せられている。
ヴィランとしてマーベルの不動の地位を確立した『ヴェノム』。今更手を出すのは遅いと思っているあなた、大丈夫。この記事で『ヴェノム』のストーリーを総ざらいしよう。そもそもヴェノムって? どうして寄生されてるの? 目的は? スパイダーマンとの関係は? アメコミトークライブ『しゃべんじゃーず』主催、アメコミ侍・柳生玄十郎が解説。
INDEX
正義の心に感化された「負け犬」ヴェノム
「俺たちはヴェノムだ」
1作目の映画『ヴェノム』において、記者をクビになった元ジャーナリストのエディ・ブロックと、同族のライオットから「お前は負け犬だ」と侮辱されたヴェノム。この「負け犬バディ」のやり取りが楽しく、どことなく可愛らしさを感じる事からこの映画は男女を問わず日本国内でも大いに人気を博した。
そんなエディ・ブロックとヴェノムは原作でも文字通り切っても切れない関係だ。ここでは、そんな1人と1匹(?)との相性が何故これほど良いのかを、原作のストーリーを元に紐解いてみよう。
ヴェノムとは、地球よりはるか遠くにある星、惑星クリンターよりシークレットウォーズというイベント中に、どさくさに紛れてスパイダーマンを介し地球へ降り立った最初のシンビオート(寄生体)である。
ヴェノムをはじめ全てのシンビオートの間には、シンビオートハイブという蟻や蜂のような集合意識があり、彼らはその共有する意識を利用して次々と星を侵略していた。地球へ辿り着いたヴェノムも、本来であれば子孫を増殖し地球を侵略しなければならないのだが、最初の共生者だったスパイダーマンの正義の心に感化されてしまったためにその使命を拒絶し、シンビオートハイブから臆病者の烙印を押されて切り離された、シンビオート側からすればいわば負け犬である。