メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

『ヴェノム』をこれから観る人へ。「負け組」コンビのストーリーを大解説

2024.10.30

#MOVIE

2018年の『ヴェノム』、2021年の『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』に続く、シリーズ完結編となる『ヴェノム:ザ・ラストダンス』が11月1日(金)から公開される。

米ニューヨークではワールドプレミアが開催され、いち早く本編を鑑賞した批評家たちからは「シリーズ最高傑作」「エピックで感動的なフィナーレ」などと絶賛のコメントが寄せられている。

ヴィランとしてマーベルの不動の地位を確立した『ヴェノム』。今更手を出すのは遅いと思っているあなた、大丈夫。この記事で『ヴェノム』のストーリーを総ざらいしよう。そもそもヴェノムって? どうして寄生されてるの? 目的は? スパイダーマンとの関係は? アメコミトークライブ『しゃべんじゃーず』主催、アメコミ侍・柳生玄十郎が解説。

正義の心に感化された「負け犬」ヴェノム

「俺たちはヴェノムだ」

1作目の映画『ヴェノム』において、記者をクビになった元ジャーナリストのエディ・ブロックと、同族のライオットから「お前は負け犬だ」と侮辱されたヴェノム。この「負け犬バディ」のやり取りが楽しく、どことなく可愛らしさを感じる事からこの映画は男女を問わず日本国内でも大いに人気を博した。

そんなエディ・ブロックとヴェノムは原作でも文字通り切っても切れない関係だ。ここでは、そんな1人と1匹(?)との相性が何故これほど良いのかを、原作のストーリーを元に紐解いてみよう。

エディ・ブロックとヴェノム

ヴェノムとは、地球よりはるか遠くにある星、惑星クリンターよりシークレットウォーズというイベント中に、どさくさに紛れてスパイダーマンを介し地球へ降り立った最初のシンビオート(寄生体)である。

ヴェノムをはじめ全てのシンビオートの間には、シンビオートハイブという蟻や蜂のような集合意識があり、彼らはその共有する意識を利用して次々と星を侵略していた。地球へ辿り着いたヴェノムも、本来であれば子孫を増殖し地球を侵略しなければならないのだが、最初の共生者だったスパイダーマンの正義の心に感化されてしまったためにその使命を拒絶し、シンビオートハイブから臆病者の烙印を押されて切り離された、シンビオート側からすればいわば負け犬である。

ヴェノム

全てを失った主人公・エディ

一方、将来ジャーナリストを志すエディ・ブロックは、出産の際母を合併症で亡くしてしまい、それに逆恨みを持った父はエディに一切の愛情をかけず、そんな父を振り向かせたいと望むエディは徐々に虚栄心の強い人間に育っていく。ある日、エディは街に住む女の子の飼い犬を家の地下室に隠し、街で捜索騒ぎになり始めるや地下から隠していたその犬を連れ出して、皆から「よく見つけたね!」と聞かれるも「簡単だったよ」と認められたいがため平然と嘘をつくような少年になってしまっていた。

エディ・ブロック

大学時代に知り合ったアン・ウェインと結婚するも「楽しみにしてたあなたの記事が載ってないわ」「他の記事に追い出されたんだ。よくある事だよ」と記事など書いてもないのに嘘をつき、実際は記者どころかデイリーグローブ(新聞社)のインターンでしかなく、お茶汲みをしていただけだった。

そんなエディに一大スクープのチャンスが訪れる。その頃ニューヨークにシン・イーターと呼ばれる連続殺人犯が現れ、市民は恐怖に怯えていた。偶然にもシン・イーターの正体を掴んだエディは本人とコンタクトを取り、そのやり取りを記事として書く事で連日一面を飾り念願のトップジャーナリストとなっていた。そんなある日、シン・イーターがスパイダーマンによって逮捕されてしまう。実はエディがやり取りしていたのは本物のシン・イーターの隣の部屋に住んでいるだけの精神疾患を患った男性であり、模倣犯にすぎなかった。これにより嘘の報道を流していたとして、デイリーグローブの信用が失われリコール騒ぎとなり、その責任を負いエディは解雇されてしまう。

その後、エディは愛するアンに離婚され、全てスパイダーマンのせいだと恨みを抱えたまま拳銃を懐に忍ばせ、子供の頃から通っていた聖母マリア教会へ行く。「自ら命を断つ事をどうかお許し下さい。」と教えに背く事への赦しを乞うていたまさにその時、マリア像の目から流れ落ちる一筋の黒い涙がエディを襲った。折りしもこの時、教会にある鐘の音波でスパイダーマンが自らスーツとして使っていたシンビオートを引き剥がしていた。このシンビオート(ヴェノム)がマリア像の瞳をつたいエディに寄生したのだ。

愛しの負け組コンビがついに別れを告げる

スパイダーマンに真相を暴かれ新聞社をクビになり、妻からは離婚され、唯一の家族である父からも恨まれ、嘘をつく事でしか自分を守れなかったエディ・ブロックと、同族から除け者にされ、最初の共生体であるスパイダーマンからも拒絶されたヴェノム。まさに負け犬コンビここにあり、だ。お互いにスパイダーマンに恨みがあり、世界から存在を疎まれた、そんな共通点のある両者が強く結びつき強力な負のパワーをもって登場したのは運命がそうさせたとしか思えない。

しかし、この2人は時に兄弟のように喧嘩し、互いを疎ましがり、何度も離れ離れになるが、必ずどちらかの元へ戻ってくる。それは全て、この世で自分を必要としてくれる存在がエディにとってはヴェノムであり、ヴェノムにとってはエディだけだからである。これは共生というよりも運命により結ばれた絆であると言っても良いかも知れない。

そんな絶対に離れられない結びつきを持った2人が、今回の映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』で別れを告げる事になるようだ。こんな哀しい、側から見ると愛らしくも見えるこの2人に悲劇的な別れが来るというのは信じたくはないが、是非劇場でその運命を確かめて欲しい。

そして、今作の最後に現れるであろう、惑星クリンターに封じ込められた、ヴェノム達シンビオートを生み出した暗黒神「黒衣の王(キング・イン・ブラック)」ことヌルが、2人の運命をどう狂わせるのか。筆者も楽しみでならない。

https://www.youtube.com/watch?v=HbrSs0kCQgw

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』

10月25日(金)26日(土)27日(日)Filmed for IMAX®、Dolby Cinema®にて先行上映(字幕版)
11月1日(金)全国公開
Filmed for IMAX®/Dolby Cinema®/Dolby Atmos®/ScreenX with Dolby Atmos®(全て字幕版のみ)
2D/MX4D®/4DX/ULTRA 4DX/ScreenX(字幕版/日本語吹替版)

監督・脚本:ケリー・マーセル(『ヴェノム』『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』脚本)
原案:トム・ハーディ&ケリー・マーセル
プロデューサー:アヴィ・アラド、マット・トルマック、エイミー・パスカル、ケリー・マーセル、トム・ハーディ、ハッチ・パーカー
出演:トム・ハーディ、キウェテル・イジョフォー、ジュノー・テンプル、リス・エヴァンス、ペギー・ルー、アラナ・ユーバック、スティーヴン・グレアム

https://www.venom-movie.jp

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS