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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

金沢21世紀美術館『スイミング・プール』含め全面再開、震災からの半年を追う

2024.6.20

#ART

金沢21世紀美術館 外観 撮影:石川幸史 提供:金沢21世紀美術館
レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》2004 金沢21世紀美術館蔵 撮影:渡邉修 写真提供:金沢21世紀美術館

『スイミング・プール』など展示の金沢21世紀美術館とは?

令和6年能登半島地震の影響により閉鎖されていた石川県・金沢21世紀美術館の展覧会(有料)ゾーンなどが6月22日(土)に再開。同日よりふたつの展覧会が開催される。

金沢21世紀美術館フロアマップ 水色部分が6月22日(土)に再開する展覧会(有料)ゾーン

「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」を目的に設立され、現代美術を中心とした展覧会 / プログラムを展開している同館。キュレーター / 美術批評家の長谷川祐子が館長を務め、開館時に200点だった美術館のコレクションは、開館20周年を迎える2024年時点では約4200点に達している。

恒久展示作品としては、鑑賞者が作品の内部に入れるレアンドロ・エルリッヒ(Leandro Erlich)の体験型作品『スイミング・プール』や、3色のガラスの壁が渦巻き状にパビリオンを形成するオラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)の『カラー・アクティヴィティ・ハウス』などが知られている。

レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》2004
金沢21世紀美術館蔵

撮影:渡邉修
写真提供:金沢21世紀美術館
レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》2004
金沢21世紀美術館蔵

撮影:渡邉修
写真提供:金沢21世紀美術館
レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》2004
金沢21世紀美術館蔵

撮影:渡邉修
写真提供:金沢21世紀美術館

2023年は展覧会ゾーンの企画として、アメリカのアーティストであるアレックス・ダ・コルテ(Alex Da Corte)の企画展や、ビジュアルアーティスト / 作曲家・池田亮司の企画展、ジョン・ケージ(John Cage)の作品を収蔵後初展示した『コレクション展2 電気-音』などを開催。しかし、令和6年能登半島地震に伴い、展覧会ゾーンの一部の展示室で天井のガラス板が剥落するなどの損傷が発生。美術館は臨時休館となり、当時開催中だった企画展を中心に、さまざまな主催プログラムの中止や休止を余儀なくされた。

能登半島地震の被害から美術館が全面再開するまで

その後、美術館は被害の少ない箇所から順次企画展などを再開。4月6日(土)から7月15日(月・祝)までは交流ゾーンで『ポップ・アップ・アート コレクションとパフォーマンスを楽しむ』を実施中。展覧会ゾーンを取り囲むように位置する交流ゾーンに沿って館内を周回する間に、コレクション作品が次々と現れるように配置された企画で、美術館の空間特徴とコレクション作品を同時に鑑賞できる内容となっている。

パトリック・トゥットフオコ
《バイサークル(シルヴィア、アレッサンドラ、エミコ、リツ)》2004

須田悦弘《雑草》2004
サイズ可変

須田悦弘《雑草》2004
サイズ可変

シルパ・グプタ《無題(ここに境界はない)》2005-2006 /2011

島袋道浩《箱に生まれて》2001

ライアン・ガンダー
《あなたをどこかに連れて行ってくれる機械》2020

小金沢健人《蝶を放つ》2015

さわひらき《spotter》2003、7分40秒

さわひらき《elsewhere》2003、7分40秒

さわひらき《airliner》2003、3分

トーチカ《PIKA PIKA》2008

ローリー・シモンズ《悔恨のミュージック》2005-2006

サラ・ジー《喪失の美学》2004
金沢21世紀美術館蔵

©Sarah SZE

ヤノベケンジ
《タンキング・マシーン》1990

ヤノベケンジ
《ビバ・リバ・プロジェクト ースタンダー》
2001

ヤノベケンジ
《ミニ・タンキング・マシーン》2004
Photo: Keizo Kioku

ヤノベケンジ《ミッキーマスク》1991(オリジナル)

ヤノベケンジ《マーキング・ドック》1991

ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス
《無題(コンクリート・ランドスケープ)》2010
約H12 × W100 × D200cm

5月1日(水)には『スイミング・プール』地上部への入場が再開。また、5月11日(土)には中止となった『コレクション展2 電気-音』の関連プログラムとして、ロサンゼルスの公園で定期的に開催されている野外音楽イベントの日本版『UNDER A TREE in Kanazawa』を芝生広場で実施。日本初開催となった同イベントでは、晴天の中、多くの来場者が電子音楽を思い思いに堪能し、賑わいを取り戻す様子が復興を強く印象づけた。

『UNDER A TREE in Kanazawa』開催の様子 写真提供:金沢21世紀美術館

『UNDER A TREE in Kanazawa』開催の様子 写真提供:金沢21世紀美術館

美術館全面再開に伴い、ふたつの展覧会を開催。開館20周年を彩る展示の詳細を解説

6月22日(土)からは、ふたつの展覧会『Lines—意識を流れに合わせる』と『コレクション展 1』が開催される。

『Lines—意識を流れに合わせる』は、イギリスの人類学者であるティム・インゴルド(Tim Ingold)の著作の中で初めての邦訳『ラインズ 線の文化史』から着想を得た「Lines/線」をテーマとした展示。世の中に存在する全てのものを「線」という視点から考察し、線が私たちの生活や人間関係をどのように形作っているかを作品を通じて考える内容となっている。

美術館のコレクション作品の中からさまざまな線を見出すことのできる作品をピックアップして展示するほか、日本、ベトナム、オーストラリア、ガーナ、フランス、オランダ、デンマーク、チェコ共和国、アメリカ、ブラジルの10ヵ国から16作家(グループを含む)による全35作品が10月14日(月・祝)まで展示される。

横山奈美《Shape of Your Words [in India 2023/8.1-8.19]》2024 個人蔵
画像提供:ケンジタキギャラリー 
© Nami Yokoyama photo : ITO Tetuso

ジュディ・ワトソン《 グレートアーテジアン盆地の泉、湾(泉、水)》2019
金沢21世紀美術館蔵

©Judy Watson
photo: KIOKU Keizo

《記憶の傷跡、フィンガーライムの根、カスアリーナ・イエロンガスタジオで見つけたオブジェ》2020
作家蔵

photo: Rhett Hammerton. Image courtesy of the artist and Milani Gallery, Meanjin / Brisbane.

エル・アナツイ《パースペクティブス》2015
© El ANATSUI
金沢21世紀美術館蔵

photo: KIOKU Keizo

マルグリット・ユモー《ハニー・ホルダー》2023

© Marguerite Humeau. Photo © White Cube (Eva Herzog)
作家蔵

八木夕菜《 35.52899496960655, 135.80684021577034 2023.5.11》2023 /「 Passes」より
作家蔵

©Yagi Yuna

八木夕菜《35.44267342604541,135.90515799982285, 2022.3》/「Passes」より
2024

マダディンキンアーシー・ジュウォンダ・サリー・ガボリ《ニンイルキ》2010
個人蔵

© The Estate of Sally Gabori / Copyright Agency Australia

マーク・マンダース《4つの黄色い縦のコンポジション》2017-2019
金沢21世紀美術館蔵

©Mark MANDERS
photo: KIOKU Keizo

サム・フォールズ《ペトリコール》2023
個人蔵

©Sam Falls

ティファニー・チュン
《出国の歴史を再構築する:ベトナムからのボートの軌跡、難民キャンプからの飛行ルートとODPの事例》
2020

©Tiffany Chung

オクサナ・パサイコ
《短く悲しい文(二国間の国境に基づく)》 2024
作家蔵

©Oksana Pasaiko

ユージニア・ラスコプロス《作り直すまたは言及する》2010

©Eugenia Raskopoulos

ガブリエラ・マンガーノ&シルヴァーナ・マンガーノ《落下の可能性》2009
ニュー・サウス・ウエールズ・ギャラリー蔵

©Gabriella Mangano & Silvana Mangano

SUPERFLEX《権力のトイレ デス・マスク》2024
ICA North(サンディエゴ)での展示風景
作家蔵

©SUPERFLEX

ティム・インゴルド

photo: Joséphine Michel

『コレクション展 1』は、開館20周年にあたって開催される大規模コレクション展の第1弾で、9月29日(日)までが会期となっている。『コレクション展 2』は10月12日(土)から2025年1月19日(日)まで、『コレクション展 3』は2025年2月1日(土)から5月11日(日)まで予定されており、約1年をかけて20年を振り返るとともに、これから先の未来について語り合う機会を創出する。

藤浩志《HappyParadies(ハッピー・パラダイズ)》2015

金沢21世紀美術館蔵
©FUJI Hiroshi
photo:KIOKU Keizo

また、地上部のみ入場可能だった『スイミング・プール』も、6月22日(土)から地下部への入場が再開。能登半島地震から約半年を経て、金沢21世紀美術館はいよいよ全面的な再開を迎える。

全面再開に際し、金沢21世紀美術館広報課長・落合博晃からのコメントが到着している。

金沢21世紀美術館は、1月1日に発生した地震で半年近く展覧会ゾーンを閉鎖していました。その間交流ゾーンなどを使いコレクションを展示するなど美術館活動を続けてきました。

今回、展覧会ゾーンを開くことで、ようやく美術館全体を楽しんでいただくことが出来るようになります。市民、県民をふくめ来館者の皆さんには金沢に欠かせない場所として、充実した時間を過ごしていただきたいと思います。

建築的には一部復旧できないままの開館ですが、また一歩復興に向かって進みました。

金沢21世紀美術館広報課長・落合博晃

『Lines—意識を流れに合わせる』と『コレクション展 1』のチケットは、公式サイトにて日時指定チケットを販売中。『Lines—意識を流れに合わせる』のチケットを購入すると、『コレクション展 1』にも入場できる。『スイミング・プール』地下部への入場は、対象となる展覧会のチケット購入と、当日朝9時に開始となる入場の順番待ち予約が必要となる。

展覧会名 Lines—意識を流れに合わせる
会期 2024年6月22日(土)~10月14日(月・祝) 
休場日 月曜日(ただし7月15日、8月12日、9月16日、9月23日、10月14日は開場)、7月16日、8月13日、9月17日、9月24日
開場時間 10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)
 ※観覧券販売は閉場の30分前まで
会場 金沢21世紀美術館 展示室7~12、14、交流ゾーン
出品作家数 16組
作品数 35点 
料金 一般 1,200円(1,000円) / 大学生 800円(600円) / 小中高生 400円(300円) / 65歳以上の方 1,000円
※本展観覧券は同時開催中の「コレクション展」との共通です 
※( )内はWEB販売料金と団体料金(20名以上) 
※当日窓口販売は閉場の30分前まで 
日時指定ウェブチケット購入方法 当館ウェブサイト(https://www.kanazawa21.jp)よりご購入いただけます。
主催 金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団] 、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁 委託:令和6年度日本博 2.0事業(委託型)
助成 スカンジナビア・ニッポン ササカワ財団、デーニッシュ・アーツ・ファウンデーション
後援 北國新聞社 
お問合せ 金沢21世紀美術館 TEL: 076-220-2800

出品作家(姓のアルファベット順)
エル・アナツイ、 ティファニー・チュン、 サム・フォールズ、マダディンキンアーシー・ジュウォンダ・サリー・ガボリ、 マルグリット・ユモー、マーク・マンダース、 ガブリエラ・マンガーノ&シルヴァーナ・マンガーノ、 大巻伸嗣、エンリケ・オリヴェイラ、 オクサナ・パサイコ、 ユージニア・ラスコプロス、SUPERFLEX、 サラ・ジー、 ジュディ・ワトソン、 八木夕菜、横山奈美

コレクション展 1
期間:
2024年6月22日(土)〜9月29日(日)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
会場:
金沢21世紀美術館
料金:
一般 450円(360円)
大学生 310円(240円)
小中高生 無料
65歳以上の方 360円
※( )内は団体料金(20名以上)
※当日窓口販売は閉場の30分前まで
休場日:
月曜日(ただし7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開場)、7月16日、8月13日、9月17日、9月24日
美術奨励の日:
会期中の毎月第2土曜日(7月13日、8月10日、9月14日)
金沢市民の方は本展を無料でご覧いただけます(要証明書の提示)

お問い合わせ:金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

ポップ・アップ・アート コレクションとパフォーマンスを楽しむ
期間:
2024年4月6日(土)~7月15日(月・祝) ※会期中無休 10:00~18:00
会場:金沢21世紀美術館 交流ゾーン
料金:無料
出品:12組20点
お問い合わせ:金沢21世紀美術館
TEL: 076-220-2800

出品作家(姓の五十音順)
ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス、ライアン・ガンダー、シルパ・グプタ、小金沢健人、さわひらき、島袋道浩、ローリー・シモンズ、須田悦弘、サラ・ジー、トーチカ、パトリック・トゥットフオコ、ヤノベケンジ

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