石川県・金沢21世紀美術館の2025年度企画展スケジュールなどが発表された。
「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」を目的に設立され、現代美術を中心とした展覧会 / プログラムを展開している同館。キュレーター / 美術批評家の長谷川祐子が館長を務め、開館時に200点だった美術館のコレクションは、開館20周年を迎えた2024年時点では約4200点に達している。令和6年能登半島地震の影響により一時展覧会(有料)ゾーンなどが閉鎖されていたが、約半年後に再開して現在に至る。また、2027年5月から2028年3月までを予定に長期休館することが明らかになっている。
4月29日(火・祝)から9月28日(日)までは、『積層する時間:この世界を描くこと』を開催。戦後ドイツの画家、ゲルハルト・リヒターとアンゼルム・キーファーを起点に、絵画における表現の可能性を探究し、それぞれの手法 / 視点から独自の「絵画」に取り組むアーティストの作品を紹介するグループ展となる。精神的なものから社会情勢までこの世界との繋がりをもつ絵画が、物理的 / 空間的な関係を現実世界と築きながら、多くの思考と気づきを与えることが期待される。

撮影:田口まき

金沢21世紀美術館蔵
撮影:木奥惠三

金沢21世紀美術館蔵
撮影:木奥惠三

撮影:Alastair Levy
10月18日(土)から2026年3月15日(日)までは、アートチーム・SIDE COREによる企画展『SIDE CORE』を開催する。SIDE COREが2024年度の同館アーティスト・イン・レジデンス(AIR)プログラムに参加し、金沢市内および能登半島で行ったリサーチと作品制作の成果を展示。特に能登半島でのリサーチは、能登半島地震を契機に行われ、震災がもたらした土地の変化への理解を深めることを目的としたものとなっている。これまでの地域リサーチの蓄積を踏まえ、「危機に対してアートは何ができるのか」という根源的な問いに挑戦し、SIDE COREの公共空間に対する独自の視点と、芸術がどのように社会に対して新たなバイパス(抜け道)としての可能性をもたらすのかを紹介する内容となる。

© SIDE CORE

© SIDE CORE
photo: OHNO Ryusuke

© SIDE CORE
photo: Kichiro Okamura
Courtesy of Oku-Noto Triennale 2023

© SIDE CORE
また、企画展と並行するような日程で、美術館の収蔵作品に焦点をあてたコレクション展を実施。5月24日(土)から9月15日(月・祝)までは『コレクション展1 マテリアル・フィーバー(仮)』として物質世界への関心を出発点としたコレクション作品、9月27日(土)から2026年1月18日(日)までは『コレクション展2 文字の可能性(仮)』として書 / 絵画 / 陶 / インスタレーションなどのコレクション作品を展示。2026年1月31日(土)から5月10日(日)までは『コレクション展3』を開催する。

金沢21世紀美術館蔵
© KAWAI Masayuki
撮影:木奥惠三

金沢21世紀美術館蔵
© KAKINUMA Koji
撮影:末正真礼生
さらに、無料展示として、5月24日(土)から9月15日(月・祝)まではカナダのアーティストであるジャネット・カーディフ(Janet Cardiff)によるサウンドインスタレーション『40声のモテット』、9月27日(土)から11月24日(月・祝)まではナイジェリアに生まれ、ベルギーを拠点に活動するオトボン・ンカンガ(Otobong Nkanga)の新作や新たに収蔵したタペストリー作品を公開。12月13日(土)から2026年3月1日(日)までは能登半島地震と奥能登豪雨の復興支援事業として企画展『ひと、能登、アート』を開催する(石川県立美術館と国立工芸館でも時期を前後して開催)。

Johanniterkirche, Feldkirch, Austria, 2005. Photo by Markus Tretter.
Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York / Gallery Koyanagi, Tokyo.

金沢21世紀美術館蔵
photo: Wim van Dongen

※『ひと、能登、アート』展示予定作品
そのほか、芸術交流事業として、6月21日(土)から29日(日)までは禅をテーマに市民とチェルフィッチュの岡田利規がつくる映像演劇プログラムを実施。石川出身の哲学者・西田幾多郎や鈴木大拙の「禅の思想」を再考し、現代の生活の中にいかしていくアートプロジェクトとして実施され、岡田による滞在調査とワークショップを経て、オーディションで選ばれた市民とともに「禅」をモチーフにした「映像演劇」作品がつくられる。

札幌文化芸術交流センター SCARTS
©Kenzo Kosuge
『積層する時間:この世界を描くこと』

撮影:田口まき
期間:4月29日(火・祝) – 9月28日(日)
会場:金沢21世紀美術館 展示室7〜12、14
料金:
一般 1,200円(1,000円)
大学生 800円(600円)
小中高生 400円(300円)
65歳以上の方 1,000円
※本展観覧券は同時開催中の「コレクション展」との共通です
※( )内はWEB販売料金と団体料金(20名以上)
※当日窓口販売は閉場の30分前まで
休場日:
月曜日(ただし5月5日、7月21日、8月11日、9月15日は開場)5月7日、7月22日、8月12日、9月16日
『SIDE CORE』

期間:2025年10月18日(土) – 2026年3月15日(日)
会場:金沢21世紀美術館 展示室7〜12、14
料金:
一般 1,200円(1,000円)
大学生 800円(600円)
小中高生 400円(300円)
65歳以上の方 1,000円
※本展観覧券は同時開催中の「コレクション展」との共通です
※( )内はWEB販売料金と団体料金(20名以上)
※当日窓口販売は閉場の30分前まで
休場日:
月曜日(ただし10月27日、11月3日、11月24日、1月12日、2月23日は開場)10月28日、11月4日、11月25日、12月29日〜1月1日、1月13日、2月24日
『コレクション展1 マテリアル・フィーバー (仮)』

期間:2025年5月24日(土) – 2025年9月15日(月・祝)
会場:金沢21世紀美術館 展示室 1〜6
料金:
一般 450円(360円)
大学生 310円(240円)
小中高生 無料
65歳以上の方 360円
※( )内は団体料金(20名以上)
※当日窓口販売は閉場の30分前まで
休場日:
月曜日(ただし7月21日、8月11日、9月15日は開場)7月22日、8月12日
美術奨励の日:
会期中の毎月第2土曜日(6月14日、7月12日、8月9日、9月13日)
金沢市民の方は本展を無料でご覧いただけます。本人確認書類(免許証・保険証・住民票など住所の確認できる公的書類)を総合案内でご提示ください。
『ジャネット・カーディフ 40声のモテット』

Johanniterkirche, Feldkirch, Austria, 2005. Photo by Markus Tretter.
Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York / Gallery Koyanagi, Tokyo.
期間:2025年5月24日(土) – 2025年9月15日(月・祝)
会場:金沢21世紀美術館 展示室13
休場日:
月曜日(ただし7月21日、8月11日、9月15日は開場)7月22日、8月12日
『オトボン・ンカンガ (仮)』

金沢21世紀美術館蔵
photo: Wim van Dongen
期間:2025年9月27日(土) – 2025年11月24日(月・振)
会場:金沢21世紀美術館 展示室13
休場日:
月曜日(ただし10月13日、10月27日、11月3日、11月24日は開場)10月14日、10月28日、11月4日
『ひと、能登、アート。』

期間:
2025年12月13日(土) – 2026年3月1日(日)
会場:
金沢21世紀美術館 展示室13
休場日:
月曜日(ただし1月12日、2月23日は開場)12月29日〜1月1日、1月13日、2月24日
※石川県立美術館(2025年11月15日~12月21日)、国立工芸館(2025年12月9日~2026年3月1日)でも開催