結成25周年を迎えたPerfumeの歩みを振り返るドキュメンタリー映画『Perfume“コールドスリープ”-25 years Document-』は、その軌跡をたどると同時に、人生の大きな転機に立った3人が、それぞれの「これから」と向き合っていく姿を映し出した作品でもある。
なかでも印象的なのは、ユニット結成時から彼女たちを支え、ともに走り続けてきた演出振付家・MIKIKOが、コールドスリープという選択をした3人に向ける眼差しだ。子どもの頃からPerfumeにすべてを捧げてきたあ〜ちゃん、のっち、かしゆかに、「自分たちの人生のことも考えてほしい」と願うその言葉は、誰かの期待に応え続けるあまり、自分のことを後回しにしてしまいがちな私たちに、自分自身の幸せをどう考えるかという問いを静かに投げかけてくる。
長年Perfumeを追い続けてきた本作の監督・佐渡岳利に、この映画に刻まれた3人それぞれの人生の選択と、その姿が私たちに投げかけるものについて聞いた。
※この記事には、映画『Perfume“コールドスリープ”-25 years Document-』のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
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1990年にNHKに入局。以来、音楽番組やエンターテイメント番組を中心に多数の制作を手がけ、これまでの主な担当番組は『紅白歌合戦』『MUSIC JAPAN』『スコラ坂本龍一 音楽の学校』『岩井俊二のMOVIEラボ』『Eダンスアカデミー』など。Perfume初の映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』や細野晴臣の『NO SMOKING』などのドキュメント映画の監督も務めている。また、『MUSIC AWARD JAPAN』のプロデュース・演出、『MUSIC EXPO LIVE 2025』の演出も担当。
佐渡監督とPerfumeの濃密な関係性
─佐渡監督とPerfumeとの関わりは、どのようにして始まったのでしょうか。
佐渡:もともと僕はNHKの職員だったのですが、Perfumeが“ポリリズム”でブレイクして、テレビ出演が増えていった頃に最初にお会いしました。その後、初めて『紅白』に出場された時期は、僕もかなり深く関わっていて。さらに翌年、『MUSIC JAPAN』という音楽番組が始まり、彼女たちが司会を務められたので、そこから毎週のようにお会いするようになりました。
初めて東京ドームに立たれた時のドキュメント番組も僕がプロデューサーでしたし、2012年頃に初めて海外ツアーに出られた際も、その特番を担当していました。その後、NHKからNHKエンタープライズに出向することになり、NHKにいると商業作品は作れなかったのが、ちょうどタイミングも合って『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』を監督することになったという流れです。
─かなり長く、そして濃密な関係性ですね。
佐渡:3人からすると、「あ、いつもの人が来たな」という感覚だったんじゃないでしょうか(笑)。プライベートで食事に行くとかもないですし、日常に近い距離感の中でお互い慣れていったというか。空気みたいな存在に近かったのかもしれませんね。
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2019年から始まった撮影。コロナ禍も含めた、Perfumeの激動の7年
─本作の撮影は2019年から始まったそうですね。コロナ禍も含め、彼女たちにとっては激動の7年間だったのではないでしょうか。

佐渡:2020年にいろいろと大きなプロジェクトが予定されていたため、そこに向けて、ちょうど『コーチェラ』出演の頃から撮影を始めていました。でも、ご存知の通りコロナ禍になってしまい、Perfumeに限らず、社会が止まってしまった。状況が戻ってきてからぽつりぽつりと撮影を再開していきました。
─最初は20周年に向けた企画だったものが、コロナの影響で25周年へずれ込んでいったと。
佐渡:そうですね。25周年では東京ドームもあるし、いろんな活動もあるから、そこに向けたドキュメンタリーを制作しましょうと。ただ、いったん立ち止まらざるを得ない時間があったことで、メンバーもいろいろ考えただろうし、MIKIKO先生もその間、さまざまな思いを巡らせていたはずです。自分たちのことはもちろん、これからエンターテイメントがどうなっていくのかという、もっと大きな視点でも考える時期だったんじゃないでしょうか。
ただ、メンバーのメンタリティー自体が大きく変わったという感じは、あまりなかったですね。昔から、いい意味でずっと変わらないんですよ。「より良いものを作ろう」という気持ちは変わらずある。その一方で、その時代に合ったものをどう作っていくかについて、より深く考えるようになっていった時期だったと思います。バルセロナの『プリマヴェーラ』出演やアジアツアーでこれまで行っていなかったバンコク公演をしたりなど、新しい動きもありましたし。
─結成25周年ということもあり、映画には初期の映像がこれまでになくたくさん出てきて新鮮でした。
佐渡:ご家族からお借りしたものもかなりありましたし、事務所が持っていた素材もありました。VHSやminiDVで撮っていたものなので、そもそも再生できなかった素材もたくさんあったのですが、再生できるものはとにかく全部見て、使えるかどうかを確かめていきました。写真もかなりお借りしています。幼い頃のものはご家族しか持っていないですから、かなり貴重だと思います。
─“ポリリズム”を初めて人前で披露した時のライブ映像は特に驚きました。冒頭のコード進行が音源と違っていたりして。
佐渡:あれは相当珍しいと思いますよ。僕らも発見した時は「おお!」となりました(笑)。振り付けも違うんですよね。メンバーも懐かしがっていました。
─本編のクライマックスは、やはり2025年9月22日・23日に東京ドームで開催された『Perfume ZO/Z5 Anniversary “ネビュラロマンス” Episode TOKYO DOME』で、映画としての臨場感や音楽的な高揚を存分に味わいつつも、コールドスリープ発表へ向かうドキュメンタリーとしてのドラマ性も両立していました。どんなことを意識しながらまとめていきましたか?
佐渡:今回は25周年ということもありますし、コールドスリープのニュースで興味を持って初めて観る方にも、ちゃんと理解できて楽しんでもらえる作品にしたいと思っていました。そのため、“ポリリズム”や“チョコレイト・ディスコ”などの代表曲はしっかり入れたり、ヒストリーも駆け足にならないように構成しました。
結成の経緯などは、コアファンにとっては説明不要だと思います。でも、ヒットしてからのPerfumeは知っていても、そこに至るまでを深く掘ってきたわけではない人の方がおそらく多いですよね。そういう方にとっては、「こういう成り立ちのグループだったんだ」とか、「最初はお母さんたちがああやって支えていたんだ」といったことがわかることで、3人の人となりができていく過程に立ち会える。今回はそのほうがいいと思ったんです。
─なるほど。
佐渡:Perfumeをよく知る古参ファンの方にはある種「親目線」でご覧いただくのもいいのではという気持ちもありました。
